アルプスの少女ハイジも愛したラクレット

 

スイス人として日本で生活しているとあの人気アニメ「アルプスの少女ハイジ」を話題にされることが非常に多く、中でもアルムおんじが暖炉でチーズを溶かしてハイジに「ラクレット」(Raclette)を振る舞うシーンには大半の方が衝撃を受けたと度々お聞きします。その影響もあって、「私もラクレットを食べてみたい」と思っただけでなく、わざわざスイスを訪れてその目標を達成された人までいるそうです。

とはいえ、近頃は日本国内でラクレットを提供するお店が増えていることもあって、遠く離れた現地に足を運ばなくてもハイジと同じ体験ができるようになっています。

しかし、「ラクレット」の名前が付いているからといってそれが必ずしも本場スイスのラクレットと同じ料理であるとは限りません

というのも、私自身も日本で何度かラクレットをいただいたことがありますが、アレンジレシピなどオリジナルとは少し違うものが出てきたケースが多かったので、少し残念な気持ちになったのが正直なところです。

また、ラクレットは誰でも容易に作れるチーズ料理と思われがちですが、食材、調理法、食べ方などが形式化された独自の食文化が存在するため、それらをある程度遵守しないとラクレットではなく、ただの焼きチーズになってしまいます。

そこで、スイス人としては日本の皆様にせめて正統派を知った上でアレンジバージョンを楽しんでいただきたいと強く思っておりますので、今回はアルプスの少女ハイジも愛したラクレットについて色々とお話しさせていただきます。

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チューリッヒの春祭り

 

日本の冬は乾燥していて、晴れる日が比較的多いのに対して、スイスでは曇りや雨の日が多いです。そんな少し憂鬱な冬が終わり、ますます晴れ天候が増えてきて、さまざまなお花が咲き綻びる春になりました。

今回は、そんなチューリッヒの春を語る上で欠かせないチューリッヒ独自のお祭りを紹介したいと思います。

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オーストリアと君主制

Schmankerlさんのブログシリーズ『ちょっと気になるオーストリア』ですが、Schmankerlさんには今後はドイツ語で執筆していただくことなり、今回はその第1号のオリジナルドイツ語版を当アカデミーにて日本語に翻訳した翻訳文を掲載しております。あらかじめご了承くださいませ。なお、Schmankerlさんのオリジナルドイツ語版はこちらよりご覧いただけます

 

オーストリアは、皇帝がいなくなってから既に100年以上も経っていますが、今でも何らかの形で君主制時代の華やかさや絢爛さを残しています。特に、歴史的に帝室と深い関わりを持つウィーンのような都市では、君主制時代の霊のようなものを如実に感じることができます。

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ドイツの中世祭り Mittelaltermarkt

 

欧米諸国、主に英米圏の各地で開催されている中世祭りをご存じですか?

英語圏では、ルネッサンス・フェア(Renaissance fair)、ドイツ語圏ではMittelaltermarktと呼ばれており、中世やルネッサンス期をモチーフにして当時を再現したお祭りのことを言います。

ドイツでは1980年代に始まり、2010年代のピーク時には国内で1000以上も開催されてきました。

日本でも戦国時代の武将にちなんだお祭りは津々浦々で開催されており、歴史をモチーフにした文化的イベントは世界中で親しまれています。

 

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四旬節、復活祭、聖霊降臨祭 ― オーストリアの春

 

4月9日は復活祭でした。3月のウィーンはまだ雪が降っていましたが、復活祭の季節になると春もやっと来たという気持ちになります。

復活祭という言葉を聞いた事があるかと思いますが、どういうイメージをお持ちでしょうか。

キリスト教の祝祭日の中で一番有名で人気があるのはクリスマスですね。例えば日本のようにキリスト教があまり普及していない国でもクリスマスは祝われます。

しかし、キリスト教にとって最も重要な祝祭日は復活祭だということをご存知でしょうか。

今回は復活祭を迎えるオーストリアの春について色々紹介させていただきます。

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ドイツの街で見かける面白い広告柱「Litfaßsäule」

 

ドイツの街を歩いていると、日本の都市と違って、屋外広告物や看板が少なく美しい街の景観が損なわれていないな~と実感します。

もちろんドイツの街頭でも広告物は見かけるのですが、ちょっと変わっています。街中でよく目にするのは、直径約1.4メートル、高さが2.6~3.6メートル程の大きな円筒形の広告柱です。

この広告柱には、様々なサイズの多くの広告がベタベタ貼られているのですが、存在感があるので人目を惹き、また街の景観も損なわず、なかなかオシャレなんです。

このドイツの街中で見かける広告柱はLitfaßsäuleと呼ばれ、ドイツ人に長く愛されてきた歴史を持っています。

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ドイツの学校では、なぜラテン語を学ぶのか?

 

ドイツの子供たちは、小学校を卒業後、ギムナジウムや実科学校など、それぞれの進路に合わせた中等学校に進級します。

中等学校の段階で、外国語として英語だけ学ぶ日本の子供たちとは違って、ドイツの子供たちは第一外国語と第二外国語の最低2つの外国語を学ぶ必要があります。第一外国語は英語であることが殆どですが、第二外国語は、主にフランス語、ラテン語、スペイン語のいずれかという選択肢の中から、自分が興味のある言語を選びます。

ラテン語は今はバチカン市国で使用されているのみで、すでに死語となっている言語ですが、今でもドイツのギムナジウムの約80パーセントの学校で、ラテン語の授業が行われています。そして意外にも、第二外国語としてラテン語を選択する子供たちが多いことに驚きます。

生きた言語のフランス語やスペイン語などを第二外国語として習うのは理解できますが、なぜドイツの子供たちはラテン語を学ぶのでしょうか?

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スイスのカーニバル文化

 

まだまだ寒い日々が続いていますが、節分が近づくと、春がすぐそこまで来ていると感じる方も多いのではないでしょうか?

中国では一足先に春節を迎えて、新たな季節に突入した気分になったものの、日本では豆をまいて邪気を追い払うまでは、春が近づいている気持ちは沸きませんよね?因みに、ドイツ語圏でもこれから各地でカーニバルが開催され、 これらを機に冬から春への移行を実感する方が多いです。

当サイトでは「日本人からみると不思議なドイツ事情」のブログでドイツのカーニバルがご紹介されたことが何度かあり、その中で国と地域によって風習や内容に違いがあることにも言及されていました。

この点に関してはスイスも例外ではないので、今回は冬の終わりを告げる風物詩とも言えるスイスのカーニバル文化についてのお話をさせていただきたいと思います。

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ドイツの学食 メンザ

ドイツの学生食堂メンザ(Mensa)は、大学生活には欠かせない存在です。
基本的には日本の学食と大きな違いはなく、良心的な価格で食事が提供される場であることには違いありませんが、『安い、多い、まずい』などと揶揄されることも少なからずあります。価格は割高になりますが学外の人でも利用できるため、ドイツ文化を直接的に感じられる場ともいえるのではないでしょうか。

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