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トランスユーロアカデミーHP開設


トランスユーロでは今年の春より「トランスユーロアカデミー」を開校し、代表取締役の加藤が自ら教壇に立ちドイツ語特許翻訳入門講座をスタートしました。講座は順調に進み、16名の受講生が無事に入門講座を修了する見込みです。

 

そのトランスユーロアカデミーのホームページが完成しましたので、お知らせ致します。是非ご覧になってください。

https://www.trans-euro.jp/TAex/

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2018.05.14

トランスユーロについて

「トランスユーロにおける「英語」という言語の特殊性~英語が「マイノリティ」である環境での経験から」


今回、英和翻訳を主に担当している古谷さんに「英語」という言語の特殊性について記事を書いていただきました。ドイツ語が主力である翻訳会社では英語はどのように認識されているのでしょうか?


トランスユーロの主力言語はドイツ語です。翻訳者も大半はドイツ語の翻訳者として入ってきて、ドイツ語の翻訳者がドイツ語と平行して英語をやるというスタイルが多いです。これは、他の翻訳会社には見られない特殊な点であり、うちの会社の強みでもあります。このような一般的に見れば特殊な環境において、一般的には世界的な主力言語とされている英語というものがどういう位置づけになっているか、ということは、入社以来仕事をしてくる中で日々考えさせられるものがありました。

ドイツ語と英語に対する意識の違い

特許翻訳者として働き始めた当時、仕事としては英語の新願の翻訳を添削してもらいながら、ドイツ語の勉強も並行して行いました。英語の仕事が少なかった当初はいずれドイツ語も担当できるようにドイツ語を勉強していましたが、英語圏以外の国でも特許出願を英語でするようになっていく時代の流れもあって英語の仕事は減るどころか増える一方でした。さらに、PCT出願が増えたことも英語が増えていった大きな要因だったと思います。当時は、出願の大半はパリ出願でしたが、PCTの割合がどんどん増えていって、今やパリ出願の明細書を見ることのほうが珍しく思えるほどになってしまいました。そういうわけで、一時的な波はあったにせよ、長期的に見て英語の仕事が減るということはまったくなく、安定的に英語を中心に仕事をして、ドイツ語の明細書も少し勉強させてもらうという状況がしばらく続きました。

そういうわけで、ドイツ語中心の会社において英語を中心に仕事をするという立場ができあがったわけです。最初のうちはいずれ自分もドイツ語の特許新願翻訳も手がけるのだと思っていたので、あまりドイツ語、英語の違いについては意識していなかったと思いますが、いつぐらいからか、たまに、あまりに周囲の翻訳者の認識がドイツ語中心すぎるのではないか、と思うこともあったりしました。トランスユーロでは英語はドイツ語に次ぐ2番目の言語であり、これは世の中の事情とは違っています。それが、いいとか悪いとかではなく、それがうちの特徴だということです。そういう環境にあって、どうしても、翻訳者が売りであるドイツ語を強化してレベルアップしてお客さんに売り込んでいくという意識が中心になっていくのは当然です。

ドイツ語の場合、英語に比べると、勉強の環境や、辞書、資料などの情報源が限られているということが、より一層ドイツ語翻訳者たちの意識をドイツ語に向かわせるのかなと思います。つまり、英語だったら、かつては本で、今ではインターネットで比較的簡単に訳語や技術用語が見つけられる場合でも、ドイツ語では見つけるのが簡単ではありませんから、ドイツ語翻訳者たちはある単語をどう訳すかを話し合ったり、ミーティングをして知識を共有しあったり、かつては文書で回覧したりもしていました。件数が多いことと、情報源が少ないことの両方が、相乗効果でよりドイツ語に対する意識を強めていたような気もします。

 

英語辞書

Photo by jdurham at Morguefile.com

英語が一般的で、それ以外が特殊?

トランスユーロでは英語の位置づけはいつも2番手であったと思うのですが、そもそも一般的に見て「英語」という言語はどういう特徴があるのでしょうか?よく、英語以外の言語を特殊言語といったりします。つまり、英語が一般的で、それ以外が特殊という位置づけです。使用人口からすればそれは当然ですが、逆にそれこそが英語の特殊性でもあります。つまり、世界中の人が、圧倒的に多くの人が使う言葉だということです。そういう意味では英語こそが世界に2つとない唯一の特殊な言語であるということもできます。英語という言語は、英語を母国語としない人たちによって世界中で使用されるという点で、ほかのどんな言語とも異なる特徴を持っていると思います。特許明細書の和訳をやっていると、その点を実感することが多くあります。たとえば、われわれが翻訳する明細書はドイツ人とかスイス人とか、そのほかのヨーロッパ人が書いたものが多いと思います。

英語圏

青色:英語が第一公用語または事実上の第一公用語、水色:英語が公用語の一つである

そうすると、だいぶクセのある英語がお目見えすることが多々あり、解読に苦労することもあります。そもそもアメリカ人やイギリス人が書いたからといってきれいな読みやすい英語だという保証はなく、むしろネイティブならではの自由すぎる書き方も翻訳者泣かせなのですが、ここではその問題をとりあえず置いておき、英語を母国語としない人、特にここではドイツ人にしておきますが、が英語で書いたものをわれわれが翻訳するということを考えます。

たとえば一番多いのが、characterizeという単語の最後のzeがseになっているものです。いうまでもなくこの単語はクレームでよく使用される単語ですけど、ドイツ語でsagenとかsehenとか、sを「ざじずぜぞ」で発音するので、ドイツ人的にはcharacterizeという音だけでスペルを書くとzがsになるので、これはとてもよく見かけます。この程度は些細なことですが、似たようなことがいろいろあると思います。たとえば、ドイツ語では前置詞が2格を取って、ある単語のうしろについて「~の」という意味を表しますが、英語だとたとえばofとかでつながないといけないところ、ofでつながないで単語が2つ並んでいるだけということもたまにあり、ああこれは2格をそのまま英語に置き換えたのかなと想像することもあります。あとは、at least one少なくとも1つというときに、at least a とは言わずにat least oneというと思うのですが、ドイツ語ではeinとかeineという冠詞がaでもあり、oneでもあったりするので、at least a なんとかと書いてあることも時々あります。そういうとき、はたして「少なくとも1つ」と訳していいのか、それとも「少なくとも、それ」なのかがはっきり分からず困ったりします。これば、ドイツ語に絡んだ少しの例ですが、フランス語の特徴が紛れ込んでいるかもしれないし、スペイン語の特徴が紛れ込んでいるかもしれないし、日本人の癖が入っているかもしれないし、そういうのは英語の和訳をする以上は切っても切れない特有の問題かなと思います。

それで、これは、英語には、英語を母国語としない人が世界中で英語を使うという点に関連する特徴ですが、それともう一つ、別の特徴があると思っています。

どんな職業の人でも英語を使う

それは、どんな職業の人でも英語を使う、ということです。英語以外の言語の場合、出来る人が英語ほどはたくさんいないので、ある程度正式な文書を作成するときなどは多くの場合は翻訳者に依頼することになると思いますが、英語の場合は翻訳者や通訳者でなくとも意外と周りに英語ができる人が多くいたりするので、職業翻訳者でない人が、翻訳者がやるのと同じ内容のことをやってしまう、と言うか、やれてしまうことが多いと思います。これも、ドイツ語などとは違う英語の特徴だと思います。

あともうひとつ、社会的にメジャーな言語であることから、英語に関しては多くの資格試験が存在することも特徴かもしれません。このたび知財翻訳検定に関してはドイツ語と中国語の試験も行われることになりましたが、英語だけが実施されている資格検定も多いと思います。英語だけ級の数が多かったりもします。ほかの言語と比べて資格試験の選択肢が多く、手軽に受けられるということは、メリットもあるけど、デメリットもあると思います。というのは、なんとか検定何級に合格したからそれでオッケーという認識が生じやすいのではないかということです。検定試験の機会が多いにもかかわらず、検定試験の知識で対応できないような場合も多いという皮肉な状況がおこりやすいのも、英語の特徴かと思います。世の中には教科書からはずれた英語で書かれた明細書が溢れているような中で、そのようなきれいな英語で書かれていない明細書をたくさん読み込んで、いろんなパターンの英語を頭にインプットしてそのときそのときの対応力を上げていくことが、ほかの言語よりも英語の場合よりいっそう必要とされるのではないかと感じます。

(以上は、社内の座談会で、主に英語翻訳を担当している社員向けに古谷さんに語っていただいた内容です)

長年、英語がマイノリティな翻訳会社で英日翻訳者として活躍してきた古谷さんの英語についての視点はいかがだったでしょうか?是非コメントをお寄せ下さい。

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