Blog

  • TOP
  • Blog
  • ドイツで通訳者になるためには

2020.07.13

通訳

ドイツで通訳者になるためには


日本で通訳者になるための国家資格は、全国通訳案内士のみで、これはいわゆる通訳ガイドと呼ばれる通訳業務のための資格で、通訳ガイドは、通訳者自身が外国人旅行者の観光案内や送迎をすることがあるため、添乗員的な仕事でもあります。(2017年からは規制も緩和され、この資格がなくても通訳ガイドを請け負うことができます)

これとは別に、いわゆる一般的な通訳者のための国家資格は日本には存在しません。一方、ドイツでは、通訳士のための国家資格が存在します。

通訳士国家資格

ドイツでは、国家資格がなくても通訳業務を行うことはできますが、専門性の高い業務の通訳や、裁判所・役所などでの司法通訳の業務となると、国家資格を取得していることは必須となります。

この国家検定通訳士は、Staatliche geprüfte Dolmetscherが正式名称で、ドイツ国内の8つの州(参照 https://bdue.de/der-beruf/wege-zum-beruf/staatliche-pruefung/)で試験が実施されており、州ごとに検定される言語も違います。しかし、どの州で受験する場合も、大学もしくは専門学校での職業訓練と専門知識の取得と、実務経験の証明が必須条件となります。

そしてこの国家検定通訳士を前提条件とした資格が、一般宣誓通訳士-Allgemein beeidigte Dolmetscher(州によっては公的選任通訳士-Öffentlich bestellte Dolmetscherという場合もあります)といい、当該の州の地方裁判所で公的に宣誓を受けたうえで認定される資格です。資格があれば、司法通訳を請け負うことが可能となります。

また国家資格ではありませんが、大学の通訳学科を修了することで取得できるDiplom-Dolmetscherという学位も存在します。また、国家資格取得者は、ドイツ国内の商工会議所が実施している、経済分野の外国語及び専門知識に特化した試験IHK-Prüfungを受けて、さらなるキャリアアップを目指すこともできます。

学ぶチャンスは日本よりも多い

ドイツは、様々な国に囲まれた9か国と国境を接する国で、移民も多く多国籍であることから、外国語が日本より身近なようです。そういった事情もあってか、通訳を学ぶための機関も日本より多くあります。ドイツ国内の大学で学べる通訳学科(学士)は22の教育課程があり、語学、通訳技術はもちろん、異文化コミュニケーション、地域・文化研究、技術・経済分野での専門知識など、その履修内容は多義にわたります。

また、大学だけでなく、通訳専門学校や養成学校や、国家資格受験のための予備校ともいうべき教育機関も存在します。

このように、ドイツでは、通訳者になるための教育環境が整っているため確かな技術を学ぶことができ、資格制度も整っているため社会的に認められて、実践、実務へと歩む道が準備されているようです。


参考HP

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


お問い合わせ

Page Top