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2021.05.24

ドイツ語

ハイコンテクストな日本文化、ローコンテクストなドイツ文化


外国語で意思疎通を図ることの難しさ、これは単純に言語の違いによるものでしょうか?否。一言一句、間違いなく訳したとしても、相手にその意図が伝わらない場合が多々あります。これは、そもそも文化により、コミュニケーションの形式そのものが違うために陥ってしまう問題ですが、異文化間のコミュニケーション不全は、ハイコンテクスト文化、ローコンテクスト文化という概念で説明することができます。

ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化の違い

ハイコンテクスト文化、ローコンテクスト文化という概念は、アメリカの文化人類学者エドワード・T・ホール(1914-2009)によって提唱された概念のひとつで、言語によるコミュニケーションを類型化するための指標です。ここでいうコンテクストとは、「言語以外の情報」のことで、文脈や状況、そして社会的基盤や歴史的背景などを指しています。ハイコンテクスト文化に属する文化は、言語以外にも、共通の認識基盤や発話状況、文脈などの非言語的な要素(コンテクスト)も意思疎通する際の重要な要素となるため、曖昧な言語表現も多く、暗黙の了解で物事を伝達する傾向が高いとされます。「空気を読む」、「察する」、「忖度する」といった対応がコミュニケーションの場で求められやすい日本語は、このハイコンテクスト文化に属し、様々な言語の中でも最もその傾向が高いとされています。日本に続き、中国、アラブ、ギリシア、スペインなどもハイコンテクスト文化と分析されています。

確かに、日本語には婉曲的な表現が多く、状況や様々な背景をくみ取りながらコミュニケーションが行われます。その際、話されている言葉とは真逆の真意が隠されている場合もあるので、日本人同士でも誤解が生じやすいともいえます。

一方、ローコンテクスト文化に属する言語は、伝達される情報は全て明確に言語化する形式をとり、直接的表現と論理的思考を原理としたコミュニケーションが図られています。理路整然としたコミュニケーションスタイルを取る欧米諸語はこの傾向が強く、ホールの分析によると、最もその傾向が強いのがスイスのドイツ語圏とされ、ドイツ、スカンジナビア諸国、アメリカと続きます。ドイツ語の特徴は、格変化の多さによる厳密な文法構造により、明確な言語表現が成されるため、このことも納得がいきます。

グローバル社会ほど明確な言語化が必要とされる

ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化に見られる違いは、共通する認識、常識、価値観や歴史観といった、発話される言語以外の情報を基準に分類されています。そして、人々の流動性の高い土地ほど、ローコンテクスト文化の傾向が強くなります。異なるバックグラウンドや慣習がある人間が集まる移民国家や、3つの公用語を持つスイスがまさにこれに当たり、明確にコード化された言語によるコミュニケーションスタイルを取ることで、齟齬が起こることを回避しています。

グローバル社会が進み、多様な価値観を持ち、様々な背景を持った人々が共存する社会づくりは、現代における共通課題となっていますが、「常識」を共有していない―つまり、相手は自分とは違う価値観とコミュニケーションスタイルを持っているという認識を持つことは、これからの社会で、より一層重要な姿勢となりそうです。

様々な国籍の社員がいるトランスユーロではそれぞれの文化の知識も豊富でコンテクストを正しく理解した上で翻訳を作ります。ドイツ語から日本語への翻訳または日本語からドイツ語への翻訳については気軽くお問い合わせください。


参考HP

参考文献

  • エドワード・T・ホール 岩田慶治/谷 泰訳『文化を超えて』TBSブリタニカ 1979

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