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トランスユーロアカデミーHP開設


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2020.06.25

法律翻訳

法律翻訳における「GmbH & Co. KGをめぐって」 -ドイツ独自の会社形態


皆さんも、ドイツの会社名の末尾にGmbHと付いているのを見かけたことがあると思います。では、 「GmbH & Co. KG」はどうでしょう? どのように訳せば良いと思いますか?

 „GmbH & Co. KG“とは

ドイツ企業において採用されている会社形態でもっとも多いと言われてきたのが有限会社、GmbH(Gesellschaft mit beschränkter Haftung)で、「有限会社法(GmbHG)」という法律によって規定されています。この会社形態のドイツ語をそのまま翻訳すれば「有限責任会社」となりますが、訳語は「有限会社」が通例です。

しかし、ドイツの同族会社においては、中小企業から世界的に有名な大企業にいたるまで、相当数に採用されている会社形態は„GmbH & Co. KG“、すなわち„Gesellschaft mit beschränkter Haftung & Compagnie Kommanditgesellschaft“、「有限合資会社」です。これは日本の法律、会社法にはない会社のあり方ですが、事業契約書や普通取引約款などの契約書の相手方としてご覧になったことがあるのではないでしょうか。

„GmbH & Co. KG“の特徴

ドイツの会社(商事会社)は、「商法典(HGB)」以外の法律によって規定される資本会社(株式会社,株式合資会社、有限会社)と、商法典によって規定される人的会社(合名会社、合資会社)に区別されます。後者のドイツ会社法にいう人的会社は、日本会社法の持分会社(合名会社、合資会社、合同会社)に対応するものですが、日本の法律上、持分会社が法人格を有するのとは違って、法人格を有しません。ただし、商号(Firma)を商業登記簿に登記することによって、訴訟当事者となることができます(HGB 17条2項)。

合名会社が会社債権者との関係で、連帯して無限責任を負う無限責任社員だけによって構成されるのに対して、合資会社は無限責任社員と有限責任社員とからなる会社であることは、日本法上の合名会社と合資会社と同じです。この合資会社の無限責任社員に有限会社がなること、そして多くの場合、無限責任社員である有限会社の取締役が当該合資会社の有限責任社員になること、これが有限合資会社の特徴と言えます。

なぜ„GmbH & Co. KG“か?

以上のように、或る意味ではかなり面倒な法律構成をする有限合資会社を、会社形態に採用するメリットはどこにあるのでしょうか。1つには、法人格を有さない以上、有限合資会社は法人税を課されないという税務上の利点があります。

もう1つは、合資会社の無限責任社員は、自分自身の個人的な財産によって会社の負債を支払わなければならないにもかかわらず、その無限責任社員が、有限責任しか負わない社員によって構成されている有限会社であるならば、その有限会社の出資者は自分の出資額の範囲内でしか、当該合資会社の負債に対する責任を負う必要がないことです。

以上からご理解いただけるように、大企業であっても、出資者一族が安全にその会社を支配する形態として、有限合資会社は法律的にも経済的にもきわめて合理的なものとなります。


参照

  •  ドイツ連邦司法および消費者保護省
  • ● e-Gov法令検索
  • ● 村上淳一=守矢健一/ハンス・ペーター・マルチュケ『ドイツ法入門 改訂第9版』(有斐閣、2018年)
  • ● 神田秀樹『会社法 第22版』(弘文堂、2020年)
  • ● 吉森 賢「ドイツ同族企業の法形態」(『政経研究』50巻2号、日本大学法学部、2013年)

トランスユーロでは、ドイツ語の法律翻訳(契約書から裁判文書まで)を得意としています。当然のことですが、英語を介すことなく、ドイツ語から日本語へ直接翻訳致します。

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