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2025.07.03
特許翻訳
最新知財動向 特許庁ステータスレポート2025からみる気になる今後の動向
4月に日本の特許庁が「特許庁ステータスレポート2025」を公開しました。
今年は2年ぶりにドイツ語特許翻訳会社のトランスユーロならではの視点で、特許庁ステータスレポートをもとに2024年特許出願状況を振り返っていきます。
2024年日本の特許出願件数はどう変動した?
コロナ禍が明けた後、日本国内の特許出願数は復調してきており、2024年は前年の2023年(300,133件)からさらに増加し、306,855件となりました。2022年時点では、このまま299,000件前後で落ち着くかとも予想していましたが、出願数がガクッと落ちた前年の2019年の数字に達する数になりました。
このまま今年2025年も上昇していくことを願いたいですが、しかしながら、トランプ政権による関税引き上げをはじめとする世界的な情勢不安は、日本経済にも大きな打撃を与えることが予想され、今年の出願件数にもその影響が現れるかもしれません。今年の動向については来年(2026)のステータスレポートを待つばかりです。
一方、審査請求をかけて、特許の権利化を行った数「特許登録件数」は2023年からダウンして200,284件となっていますが、2022年以降おおむね安定している印象です。
ドイツからの出願数は伸び悩み
ここで日本の特許庁への「出願人国籍・地域別特許出願件数」を見てみましょう。
ドイツは相変わらず欧州諸国内ではトップを維持していますが、2022年に韓国とドイツの順位が入れ替わった後、ランキングは安定しているようです。ドイツを追い抜いた韓国は少しずつその出願件数を伸ばしている印象ですが、ドイツからの出願件数について少し詳しく見てみると、ここ数年は2022年が5700件、2023年が5,878件と5千件台後半を推移し、2024年はわずかに減少する結果となりました。米国からの出願も前年に比べて減少しているため、ドイツだけに限ったことではないようですが、ドイツ語特許翻訳会社としては、もう少し件数が伸びてほしいところです。
次に、特許の登録件数を見てみると、国外企業の特許登録件数のランキングベスト10に入っているドイツ企業は、ロベルト・ボッシュ社(Robert Bosch)の1社のみです。前年のランキングは13位と圏外でしたが、登録件数も増えカムバックをして10位につけています。
ボッシュ社といえば、日立の空調事業部であるジョンソンコントロールズ日立空調を買収することを発表しました。近年ドイツをはじめとしたヨーロッパ諸国でも、記録的な真夏日が増加するなど、地球温暖化への解決策と並んで「暑さ」への対策が模索されています。これにより、今後の特許出願動向にも何らかの影響が出てくるのか、注目していきたいと思います。
今後の特許件数の動向は?
これからの特許出願数はどう変動していくのでしょうか。世界の特許出願自体は、わずかですが引き続き増加傾向にあります。しかし中国、アメリカ、日本、韓国、欧州特許庁の出願件数推移を見ると、中国以外はほぼ横ばいの印象があります。
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ドイツでは、「信号連立Ampelkoalition」と言われたショルツ政権が終わり、CDU党首のメルツ新政権が発足しました。すでにトランプ大統領の関税措置による混乱が予想されていますが、国内にも政治や経済に関して多くの問題を抱えているドイツです。今後のドイツ経済はどのような方向に向かっていくのでしょうか。低迷するドイツ経済が今後、特許出願にどのような影響を与えるのか、注視していきたいと思います。
また、日本への出願とは逆方向の、日本からドイツへの出願動向についても簡単に触れておきたいと思います。近年、日本企業がEPやPCT出願ではなく、ドイツ一国のみのパリルート出願を増やしている感触があります。当社は、もちろんドイツへの出願の際の日本語→ドイツ語翻訳も扱っておりますので、その意味でも日本企業のドイツ出願に影響を与えるドイツ経済の今後の動向が気になるところです。また、2023年よりヨーロッパ統一効特許がスタートしており、その影響も注視していきたいと思います。
さて日本国内では、2024年5月に経済安全保障推進法に基づく特許出願の非公開制度の運用が始まりました。2024年9月には、解説漫画「漫画で分かる特許出願非公開制度のポイント」が公開されており、事業者が広く制度を理解できるような取り組みがなされています。
トランスユーロ株式会社では、国内外の特許動向や関連する制度にも注視し、お客様のご要望に沿った翻訳文をご提供することを第一とし努めて参ります。
日ごろの業務での外内・内外出願用の特許明細書や中間処理書類などの翻訳について何かお困りのことがあれば、トランスユーロ株式会社までどうぞお問い合わせください。
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