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2021.10.12

特許翻訳

特許翻訳とは?-特許翻訳初心者に向けて分かりやすく解説-


トランスユーロのブログでは、特許翻訳についての記事がたくさん掲載されていますが、今回は「特許翻訳とは何なのか?」といった最初の第一歩の質問に、特許翻訳とはどのような翻訳分野のことなのか、特許翻訳者はどのようなスキルが必要か、どのような書類が翻訳されるか、ご説明したいと思います。

1. 特許翻訳とは?

1.1 そもそも「特許」とは?

まず、特許とは何かですが、特許とは知的財産の一形態です(知的財産には他にも「商標」「意匠」などの種類があります)。特許権は、権利を取得した人に、定められた年月、その発明を排他的に使用する権利を認めるものになります。ただし、発明を排他的に使用できる代わりに、その発明の概要は公開され、他の発明者や技術者、つまり競合している同業の者も発明の内容を見ることができ、知識を共有することができるようになります。

その前に、特許として権利を認められるためには、いくつかの基準を満たさなければなりません。その基準を満たすかどうか審査してもらうために提出する書類の一つに「特許明細書」があります。発明は、「現物」ではなく、文字と図面で構成された「文書」に落とし込まれます。



1.2 特許翻訳の特徴

特許翻訳とは、特許取得のプロセスのなかで必要になる書類を翻訳することです。書類には、上にあげた特許明細書・特許庁から発送される通知書・補正書という審査の過程で明細書を補正するために提出する書類・国外の弁理士やクライアントとやり取りする書類などが含まれます。特許に関する書類は、一定の規則のもとに書かれるため、一般の文書とは書き方や言い回しが異なります。特許翻訳者には高度な翻訳スキルに加え、法律や技術に関する専門的な知識が豊富であることが求められます。

1.3 何故、特許翻訳が必要?

実は、全世界共通の特許制度というものがありません。国によって異なります。そのため一般的には、特許の権利を取得したい全ての国に、個別に、特許を出願しなければいけません。国外で特許を出願したい場合、必要書類はその国の指定言語に翻訳する必要があります。例えば、日本以外の国籍の個人・法人が日本に特許を出願するのであれば、特許明細書等は日本語に翻訳しなければいけません。

この翻訳をする専門家が「特許翻訳者」です。

1.4 だれが特許翻訳を必要とする?

主に特許出願人、企業の知的財産担当者、特許事務所の外国出願担当者などが当てはまります。

2.特許翻訳者になるために必要な資格

2.1 語学力-外国語能力だけではなく、日本語能力も

特許翻訳者になるための公的な資格はありませんが、特許翻訳者は他分野の翻訳者同様、翻訳する両言語に精通している必要があります。特許文書は技術文書でもあり、法律文書でもありますので、原文にできるだけ忠実に正確に訳す必要があります。一般的な文書に比べると表現の自由度は低いですが、外国語だけでなく、日本語でも文法知識や専門用語の知識が必要です。

2.2 特許に関する知識

さらに、特許翻訳者には特許分野における独特の言い回しや特許明細書などの提出書類の書き方について、十分な知識を身に付けていないといけません。定型表現が多く、ある程度習熟するとやりやすいというメリットもあります。

2.3 技術に関する知識と調査力

特許で訳すのは“ 発明”であり、内容を理解するだけでも難しいです。発明の内容・発明者の意図を正確に読み取れるだけの専門的な技術知識が要求されます。一人の翻訳者が幅広い技術分野の翻訳をするには限界があります。そのため、特許翻訳者は自分の得意とする技術分野を集中的に深め、得意とする技術分野の翻訳をします。しかし、技術は日進月歩進歩していますので、基本知識だけでは理解できない内容があるのも当たり前です。その都度技術概念や用語の調査も必要になりますので、ネット検索のコツや情報の信頼度を見抜く力も必須です。

3.特許翻訳者が翻訳する書類

3.1 特許明細書

まず最初に挙げられるのは「特許明細書」です。特許明細書には、発明の概要・背景技術・実施形態・特許請求の範囲(クレームと呼ばれる)・図面(ある時と無い時がある)などが含まれます。特許明細書は特許を申請する際に特許庁に提出されます。

特許請求の範囲で、特許の権利範囲が決まりますので、この部分の翻訳は特に気を使います。元となる特許請求の範囲と同一の権利範囲を取得するためには、不適切な用語選択や表現・ニュアンスの違いなどで差が出てしまっては困るからです。

3.2 特許庁との応答

特許は出願すれば、権利がもらえるわけではなく、審査が必要になります。その審査プロセスの中で、特許庁の審査官が、出願された内容が特許となる基準を満たしていないと判断した場合、「拒絶理由通知」が発送され、そこには審査官が拒絶する理由が書かれています。これも出願中の特許庁がある国の言語で書かれていますので、海外から出願している方は自国の言語に翻訳して内容を確認することになります。

3.3 その他の書類

以上の「特許明細書」と「特許庁との応答」が一般的な特許翻訳の対象となりますが、そのほかの書類の中で代表的なのは「補正書」や「意見書」の翻訳になります。補正書は明細書中の誤記を修正したり、拒絶理由に対応するために特許請求の範囲を補正する目的で作成される書類です。特許事務所内で翻訳を済ませてしまうことも多いのですが、特許翻訳者に翻訳を任されることもあります。

4.特許翻訳ならトランスユーロにお任せください

前述のとおり,特許翻訳には技術知識が必須です。トランスユーロの特許翻訳者は長い翻訳経験と、深い技術知識を持っています。前身となった法律特許事務所の翻訳部で培われた100年以上の翻訳経験の蓄積が、トランスユーロの翻訳力を支えています。トランスユーロに特許翻訳のご用命をいただければ、技術知識のあるプロフェッショナルな翻訳者が対応致しますのでご安心下さい。特許分野における数多くの翻訳経験と実績を持つ弊社に、ぜひ一度ご相談ください。

また、特許翻訳についてもっと詳しく学んでみたいという方は、トランスユーロの語学スクールトランスユーロアカデミーもご覧ください。いくつかのコースから、ご自身に合った講座を選択していただくことができます。


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