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2026.06.26
~トランスユーロの知恵ふくろう~ 翻訳・通訳ブログ
特許翻訳とは?出願人が権利を守るための会社選びや依頼時の注意点

特許とは、簡単に言うと「新しく生み出された発明を保護するための知的財産権の形態の一つ」であり、発明者の権利を守るとともに、さらなる産業の発展を促すための制度です。
特許の制度は世界中で運用されていますが、全世界共通で取得できる特許は存在しません。
自国で特許権を取得しようとした法人・個人が外国でも特許権を得るには、その国またはエリアを管轄する特許庁に指定された言語で書類を提出し、適切な方法で手続きをする必要があります。
そのような自国以外の国や地域での特許取得の際に必要となるのが「特許翻訳」です。
本記事では、ドイツ系法律特許事務所の翻訳部から独立・創業して以降、長く特許翻訳に従事してきたトランスユーロが、特許翻訳とは何か、翻訳依頼時の注意点等と一緒に解説します。
特許とは?日本の場合を例に概要を解説
冒頭でも触れたように、特許出願の適切な手続きは出願先によって変わってきます。
しかし、特許制度そのものや出願に必要な情報、権利取得までの流れはあまり変わりません。
そこで、後述する特許翻訳への理解を深めるために、まずは日本のケースを例に特許の出願から登録(=特許権の取得)が完了するまでの「特許審査の流れ」について、簡単に説明します。
特許庁のサイトによると、特許審査の大まかな流れ(2026年4月時点の情報)は以下の通りです。
日本における特許審査の大まかな流れ
- 特許出願を行う
- 出願書類が形式的、様式的要件を満たしているかを審査(方式審査)
- 出願日から1年6ヵ月経過後、公開公報で出願内容が公開される(出願公開)
- 出願日から3年以内に「出願審査請求」を行うと、出願が審査待ちに入る
- 4から平均で10ヵ月程度の間に、特許審査官から何らかの審査結果が通知される (実態審査)
- 登録できない理由が発見された場合は、出願人に「拒絶理由通知書」が送付される
- 拒絶理由通知書に対し、出願人が「意見書」や「補正書」で反論または補正する
- 意見書や補正書に基づき、拒絶理由が解消された場合は 「特許査定」が送付される(意見書、補正書による応答を経ても拒絶理由が解消されない場合は 「拒絶査定」が送付される)
- 特許査定を受けた出願人は、3年分の登録料を納付する
- 1~9までの手続きをクリアすると設定登録が完了、特許権が発生する
【参考】初めてだったらここを読む~特許出願のいろは~ | 経済産業省 特許庁
まとめると、まず出願人または代理人が特許庁に特許出願を行い、定められた期間中に審査請求をかけます。審査請求を受けた特許庁は、出願内容に対する実態審査を実施し、その結果を出願人または代理人に通知します。
審査結果として拒絶理由通知を受けた出願人は、拒絶理由に応じて意見書や補正書で反論、出願内容に関する補正等の手続きを行います。その結果、拒絶理由が解消されて特許査定を受けられた場合は、3年分の登録料を納付することで特許権を取得できます。
出願後に出願内容が公開される時期や、出願審査請求の期日などは国や地域によって異なりますが、国が変わっても、特許の出願から権利を取得するまでの大まかな流れはほとんど同じです。
出願内容を審査してもらうのに請求が必要なところや、拒絶理由通知書に対する応答が発生するところなど、特許出願時のポイントについて覚えておくと良いでしょう。
※特許出願に関する詳細については、必ず代理人弁理士や特許事務所にてご相談ください。
外国への特許出願のルート・方法とは
私たちトランスユーロでは、日本語⇒ドイツ語の特許翻訳をお引き受けするケースが多いです。
そこでここからは、日本で特許出願した後にドイツへ特許出願する場合を例に、外国へ特許出願する際の基本的なルート・方法についても簡単に紹介します。こちらも参考にしてください。
日本からドイツなどの外国に特許出願をする場合、その方法には大きく以下の2つがあります。
- PCTルート:日本の特許庁を通じ、PCT(特許協力条約)に国際出願を行う方法
- パリルート:日本で特許出願をした後、優先権を行使して第二国に出願する方法
PCTルートでドイツに特許出願する場合は、優先日(日本で出願した日)から31ヵ月以内の国内移行期限までに特許明細書をドイツ語に翻訳し、書類一式をドイツの特許庁(ドイツ特許商標庁)に提出します。審査通過後に有効化手続きを行うと、ドイツで特許権を取得できる仕組みです。
なおPCTルートでドイツに特許出願を行う場合は、ドイツ特許商標庁への出願時(日本での出願後、ドイツで国内移行の手続きをする時)にドイツ語の書面を提出する必要があります。
次に説明をするパリルートとは異なり、ドイツでの出願を日本語の書面で行い、後からドイツ語の翻訳文を提出するという対応はできませんので、注意しましょう。
対して、パリ条約に基づくパリルートでは、第一国となる日本での出願から1年以内(優先権主張)に特許明細書をドイツ語に翻訳し、第二国としてパリ条約加盟国であるドイツの特許庁に直接出願を行います。出願後に審査請求を行い、審査に通れば、特許権を取得できます。
なおパリルートでは、日本語の書面をもってドイツに特許出願を行うことも可能です。その場合は、出願日から3ヵ月以内にドイツ語の翻訳文を提出する必要があると覚えておきましょう。
※ただし、審査請求期限はドイツでは出願から7年以内、日本では出願から3年以内と大きく異なるため、日本から外国に特許出願を行う際には注意が必要です。
なおPCTルートでは国内移行先を、パリルートでは第二国の出願先をEPO(欧州特許庁)にすることで、ドイツを含むEPO加盟国で有効な欧州特許の他、欧州単一効特許の取得も可能になります。
欧州単一効特許とは、2023年からドイツを含む18ヵ国(2024年9月時点)で導入された比較的新しい特許制度の名称です。一度出願すれば、18の加盟国すべてで特許権を取得できます。
以下の記事では、ドイツなどの海外で特許出願を行う際の流れや、特許翻訳が必要になる具体的なタイミングについても詳しく紹介しているので、興味のある方はぜひ併せてご確認ください。
【関連記事】
ドイツでの特許出願 - PCT・EPO・パリ条約
海外の特許を日本で出願するには?-外国籍の法人や個人が日本で特許を取得する流れの概略
特許翻訳とは?主な対象書類やAI利用の可否

ここからは特許翻訳とは何か、その特徴や対象となる書類の具体例も交えながら説明します。
特許翻訳とは、外国での特許の出願から取得までの手続きに必要な書類を翻訳することです。
実際の特許翻訳において翻訳の対象となる書類は出願先によっても異なりますが、基本的なものとしては以下の4種類が挙げられるでしょう。
特許翻訳の対象となる代表的な書類
- 出願書類(特許明細書、特許請求の範囲、図面、要約書など)
- 出願国の特許庁から送付される拒絶理由通知書、特許査定の書類
- 拒絶理由通知書に反論・返答するための意見書、補正書
- その他、現地の弁理士やクライアントとやり取りするための書類(レター)
上記のうち、特に特許明細書や特許請求の範囲の翻訳については、翻訳によって権利範囲の乖離が生じないようにするため、基本的に加筆や修正、改変、意訳することは許されません。
またPCTルートでの出願では、特許明細書や特許請求の範囲の翻訳文を提出する際に正確なミラートランスレーション(誤記も含めできるだけ原文を尊重して翻訳する)が求められ、翻訳者にも明細書の内容を理解できるだけの技術的・法的な知識が求められるのが特徴です。
特許明細書や特許請求の範囲の翻訳では、少しの誤訳や訳し漏れが拒絶理由につながったり、出願人が意図した権利範囲(クレーム)を狭めるなどの不利益につながる恐れがあります。
だからこそ、発明内容やその独自性、新規性、進歩性等を出願先の国にも忠実に伝えることができる正確な翻訳が重視されているのです。
そして、そのような翻訳を実現するには、翻訳者がソース言語である日本語とドイツ語等のターゲット言語だけでなく、特許関係の書類で使われる規則的で独特な文書の書き方・言い回しについても熟知・理解していなければなりません。
他の翻訳と比べても特に正確な翻訳が求められる特許翻訳は、特許翻訳の経験と実績が豊富な翻訳者、及びそのような翻訳者を抱える翻訳会社に依頼する必要があると覚えておきましょう。
【関連記事】特許翻訳とは?-特許翻訳初心者に向けて分かりやすく解説-
特許翻訳にAIなどの機械翻訳を使うリスク
特許関係書類をAIを活用したアプリなど機械翻訳にかけることには、以下のリスクがあります。
特許翻訳を機械翻訳で行う場合の2大リスク
- 機密情報である発明内容が漏えいしてしまう恐れがある
- 誤訳や訳し漏れの他、特許翻訳には不適切な表現が混在する
特に、フリーソフトや無料版のアプリを使った翻訳を行う際に懸念されるのが、セキュリティ上のリスクです。また、少しずつ翻訳精度が上がってきているとはいえ、まだまだ技術的な内容に深く踏み込んだ翻訳や、出願人の意図を理解した特許翻訳は、AIだけでは難しいとされます。
ちょっとしたミスが出願人の不利益につながるからこそ、特許翻訳をAIや機械にすべてまかせるのはおすすめできません。特許翻訳は、特許翻訳に強い翻訳者や翻訳会社に依頼しましょう。
特許翻訳を翻訳会社に依頼する時の注意点
ここからは、翻訳会社に特許翻訳を依頼する時に注意するべき2つのことについて説明します。
特許翻訳を翻訳会社に依頼する時に注意するべき2つのポイント
- 「値段を最重視した会社選び」は絶対NG!
- 翻訳の方向性に関する希望は依頼時に伝達!
1. 「値段を最重視した会社選び」は絶対NG!
先述した通り、特許翻訳の正確性・品質は取得する特許の権利範囲に大きく関わってきます。
そのため、「見積額が安いから」「文字やワードあたりの翻訳単価が安いから」という理由だけで依頼する会社を選ぶと、正確性を欠いた特許翻訳で出願人が不利益を被る恐れがあります。
特許翻訳の依頼先を選ぶ時は、料金が自社の予算と見合うかどうかと併せて以下のポイントについても確認し、「こちらが求める品質での翻訳が可能か」という視点でも精査しましょう。
特許翻訳の依頼先を選ぶ上でチェックするべきこと
- 特許翻訳の実績があるか(件数、技術分野、納期、文書など)
- 特許翻訳に特化した、あるいは得意とする会社か
- ソース言語⇒ターゲット言語の直接翻訳に対応できるか(他言語を挟むと誤訳リスクが高まる)
なお、上記の3点やその会社の特許翻訳への考え方、得意分野を探る方法としては、依頼を検討している翻訳会社が公開する記事やコラムを読むのもおすすめです。
【関連記事】特許翻訳に関するトランスユーロの解説・情報発信はこちらから!
2. 翻訳の方向性に関する希望は依頼時に伝達!
翻訳時の表現について、出願人側に好み・こだわりがある場合は、事前に翻訳会社と翻訳担当者にその旨を伝えておくと、初稿から納得のいく翻訳をしてもらえる可能性が高くなります。
具体的には、前もってこだわりのある単語・訳語についてまとめた「指定用語リスト」を作成しておき、資料として原文に添付する形で特許翻訳を依頼する会社に渡すとスムーズでしょう。
トランスユーロによる特許翻訳の特徴6選

私たちトランスユーロは、長年にわたり日本語⇔ドイツ語・英語の特許翻訳に従事して経験と知識を積み上げ、お客様に高品質な特許翻訳を提供するための仕組みを構築してきました。
以下に、私たちトランスユーロによる特許翻訳の特徴をまとめましたので、ご確認ください。
トランスユーロによる日本語⇔ドイツ語・英語の特許翻訳の特徴
- 翻訳品質の維持・向上のため、クロスチェックと校正を徹底
- 日本語⇒ドイツ語・英語への直接翻訳ではネイティブチェックも通常工程として実施
- 長年蓄積してきた経験・知識をもとにした「権利範囲を意識した翻訳」ができる
- 出願から拒絶理由通知書等のやり取りに至るまで、包括的なサポートが可能
- ドイツ語・英語の両言語への特許翻訳に対応できる翻訳者が在籍
- 上記翻訳者による「ドイツ語原文参照付の日英翻訳サービス」も提供可能
トランスユーロの「ドイツ語原文参照付の日英翻訳サービス」とは?詳細はこちら!
原文の構造や発明内容をしっかりと理解し、忠実に伝えるとともに、こちらが求める請求範囲を意識した特許翻訳ができる会社を探しているという企業・研究機関等の知財部や、特許出願担当の方、特許事務所及び弁理士の方は、ぜひ一度、私たちトランスユーロにもご相談ください。
ドイツ語・英語への直接翻訳のご相談はトランスユーロへ

トランスユーロは、ドイツ系法律特許事務所の翻訳部から独立・創業した翻訳のプロ集団です。
各分野の専門スキルを持つ熟練の翻訳者を社内外に抱え、日本語からドイツ語・英語への翻訳はもちろん、ドイツ語・英語から日本語への翻訳時にも他の言語を挟まない直接翻訳に対応。
主に特許翻訳など、専門的かつ翻訳難易度の高い以下のような文書の翻訳を得意としています。
- 特許翻訳:出願から中間処理、知財裁判まで翻訳を通してトータルサポート
- 技術翻訳:産業マニュアルや取扱説明書、カタログ、技術論文等の翻訳
- 法律翻訳:判決文などの法律関係文書、企業の契約書などを正確に翻訳
- 医療翻訳:医療機器の添付文書(英⇔日・独⇔日)、医薬翻訳(英⇔日のみ)
- 証明書翻訳:海外の各種証明書、公文書(ドイツ語認証翻訳含む)の翻訳
- ビジネス文書翻訳:会社案内やホームページ、契約書、社内規則等の翻訳
翻訳の工程においては、クロスチェック・校正はもちろんのこと、日本語からドイツ語・英語への直接翻訳の際には通常工程としてネイティブチェックも実施し、翻訳品質を担保しています。
日本語からドイツ語・英語、ドイツ語・英語から日本語、そして英語・ドイツ語間の直接翻訳、及びこれらの言語を用いた専門文書の高品質な翻訳に対応できる翻訳会社を探しているという場合は、ぜひ一度、私たちトランスユーロにもお気軽にご相談・お問合せください!


