ものづくりの国ドイツ 活版印刷の誕生

ヨハネス・グーテンベルクはルネサンスの三大発明と言われる活版印刷技術の発明者です。活版印刷は1445年頃に発明された凸版印刷の一種で、活字を並べて文章にした活版、組版を作り、それに塗料を塗って印刷する技術で、デジタル印刷が世に出る前は、書籍の印刷には欠かせないものでした。

 

ドイツは実に多くの発明者を輩出しており、その中でもこの活版印刷を発明したグーテンベルクは世紀の大発明家といえるでしょう。今日は発明家グーテンベルクと活版印刷についてお届けします。

 

謎の人、グーテンベルク

 

活版印刷の発明者として有名なグーテンベルクですが、実際には不明な点も多く、その生涯と人物像は謎に包まれています。

生年月日すら不明で、おそらく1394年から1404年の間に生まれたと推測されています。そして、名前も実はグーテンベルクではなく、ヨハネス・ゲンスフライシュ(Johannes Gensfleisch)が本名とのこと。

しかしマインツ生まれというのは間違いない事実のようです。

今日出回っている彼のポートレートも彼の死後100年に作られたもので、実際の外見がどのような人物だったのかは、誰にもわかりません。

ただ、裁判記録に彼の名は残っており、パトロンであったヨハン・フストに、未返済の借金のための訴訟を起こされ、その負債を支払えなかったグーテンベルクは、印刷機と活字、印刷済みの聖書の半分などを抵当として受け渡し、パトロン関係も決裂しました。

発明家としては大業を成し遂げましたが、資金繰りで難儀しているところから事業を起こす才能にはあまり恵まれていなかったといわれています。

 

活版印刷とは

 

ルネサンス、宗教改革、啓蒙思想、科学革命の発展に寄与した活版印刷。

当時、文書をコピーする手段は、時間のかかる書き写しか1ページずつの木版印刷しかなかったので、これは大革命でした。

大量印刷を可能にした印刷技術は羅針盤、火薬とともにルネサンスの三大発明のひとつにあげられています。

この発明の画期的だった点は、活字量産方法の発明、油性インクの採用、農耕用スクリュープレス(ブドウを絞るための圧縮機)のような既存の技術を印刷機に応用するなどして、様々な技術の組み合わせで印刷機をシステム化した点にあるといわれています。

 

世界初の印刷による聖書、新しい技術との融合

 

慶應大学の慶應義塾図書館には1455年頃に印刷された初の聖書である「グーテンベルク42行聖書」が収蔵されており、アジア圏では唯一この聖書を収蔵している図書館となります。

この聖書の出版数は約180部で、そのうち現存するのは48部のみとなります。

1987年に丸善がオークションで落札したものを、慶應大学か購入しました。正式な購入金額は公表されていませんが、約八億円にものぼると言われています。

この購入の目的は、稀覯古刊本(歴史的価値のある古い書物)の鑑定基準を作るためで、1996年に文科省から5年間の補助金を得て、プロジェクトが立ち上げられ書のデジタルアーカイブ化も試みられました。

また、ドイツ国内では、2018年にグーテンベルク没後550年を記念して、Gutenberg 4.0 と称された一大文化プロジェクトまで開催され、印刷メディアに関する様々なイベントが行われました。

特権階級にのみ許された書物の世界を、革命的技術で民衆にもその世界を開いたグーテンベルク。

それは、ルターによる宗教改革の基盤となり、伝統的なキリスト教社会のあり方にもメスをいれ、社会のあり方そのものを変えてきました。そして、人間の新しい知的活動も切り開きました。

時代は今、インターネットによる新しい革命期を迎えています。インターネットという新しい媒体が普及した今日、印刷業界は大きな変革期を迎えていますが、どのような新しい世界が今後切り拓かれていくのでしょう。


参考HP

Comments

(2 Comments)

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  • lina

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