ものづくりの国ドイツ 1 ~自動車の誕生

 トランスユーロアカデミーは、ドイツ語特許翻訳講座を開講しています。今回はこの特許に関連する事柄として、ドイツの「ものづくり」についてお届けします。ベンツやフォルクスワーゲンといった自動車産業や、工作機械においても世界でもトップクラスの技術を誇るドイツ、世界有数の工業大国として、一体どのような歴史を背景にこの地位を築いてきたのでしょうか。工業大国の中でも、世界初のエンジン自動車を発明したのはドイツ人だったことをご存じですか?

 

工業大国・ドイツ

 

ドイツの産業といえば自動車産業、ドイツ車といえば、ベンツ、BMW、アウディ、ポルシェなどの名だたる高級車が挙げられます。工作機械産業も発展しており、世界有数の工業大国であり、昨今ではインダストリー4.0という製造業におけるデジタル化を目指す国家戦略的プロジェクトを打ち立て、その国力を注いでいます。

さて歴史的には、第一次産業革命は、18世紀半ばにイギリスで始まりましたが、ドイツは、19世紀後半の第二次産業革命後に工業力をあげ、鉄鋼資源にも恵まれ飛躍的な発展を遂げました。また、ドイツ西部に位置するルール工業地帯は、ライン川とルール川に挟まれ、物質輸送の水運に恵まれ、またルール炭田を持っているという背景から、鉄鋼、機械などの工業が発達し、自動車産業にも大きく貢献してきました。第二次世界大戦中は戦略爆撃の攻撃目標とされ、敗戦後は賠償として、西欧諸国の管理下におかれましたが、1952年にはこの国際管理から解放され、現在もドイツの重工業を牽引しています。

 

世界初のガソリン自動車 Patent-Motorwagen

 

世界初のガソリン自動車の誕生

 

さて、1885年、第二次産業革命のまっただ中、世界初のガソリン自動車がドイツで誕生しました。これはBenz Patent  Motorwagen(ベンツ・パテント・モトールヴァーゲン)と名付けられました。 発明者はカール・ベンツ、そう、あの高級車でおなじみのベンツなのです。そして1886年1月29日、自動車として初の特許を取得しています。この日は、いわば自動車の誕生日ともいえる日です。ゴットリープ・ダイムラーとヴィルヘルム・マイバッハもこれとは別に、自動車開発に取り組んでおり、1885年に二輪車に取り付けたガソリンエンジンの特許を取得しています。1883年にベンツはベンツ社を設立、ダイムラーは1990年にダイムラー・モトーレン・ゲゼルシャフトを設立し、1926年にはダイムラーベンツ社として、二つの会社が合併しました。これが現在のダイムラー社です。

ベンツ夫人の内助の功

 

世界初の内燃機関自動車は、当初売れ行きも悪く、当時の主な交通手段である馬車の邪魔者として認識されていたそうです。そこでベンツの一大発明を後押しするために、ベンツの夫人ベルタ・ベンツは、この自動車を使い、居住地のマンハイムから彼女の実家であるプフォルツハイムまでの194キロの自動車旅行に挑戦し、成功させました。彼女は運転手もこなす傍ら、道中で車のメンテナンスも行ったそうです。このとき彼女が運転したルートは、ベルタベンツ・メモリアルルートという名で、産業遺産の道路として2008年に登録されました。世界初の自動車長距離運転を成し遂げたのはドイツ人女性だったのですね!

 

ベンツが取得した世界初の自動車のドイツ特許37435号ガソリンを動力とする車両-Fahrzeug mit Gasmotorenbetrieb」は、2011年に「世界の記憶」(UNESCOが主催する古い文書や歴史的記録物の保全事業)として登録されました。ドイツ経済を支える自動車産業の大発明は、人類の歴史を刷新する発明であったといっても過言ではありませんね。

 トランスユーロでドイツ語の特許翻訳を学び、世紀の大発明に関わってみたいと思いませんか?

 


参考HP

 

 

 

 

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  • ものづくりの国ドイツ 2 職人への道 - トランスユーロアカデミー

    […] 前回の「ものづくりの国ドイツ」では自動車の誕生についてお届けしました。自動車産業はドイツを、まごう事なき工業大国へと成長させた立役者といえますが、ドイツ特有の職人育成制度である「マイスター制度」も大きく貢献しているといえるでしょう。ドイツも日本も、ものづくり大国といわれ、また職人による伝統と技の継承を重んじできた点でも共通点が見いだせます。このマイスター制度について今日はご紹介します。 […]

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