ドイツでシエスタ?猛暑を乗り切る提案

 

今年も35度以上の猛暑日が連日続き「災害級の暑さ」とまで言われていますが、これは日本のみならず、世界中が熱波に苦しんでおり、7月初旬には地球の平均気温が過去12万5千年間で最も高い気温を記録したとのニュースもあるほどです。

北米やヨーロッパ各地でも高温による山火事の被害は大きく、WMO(世界気象機関)も「命にかかわる暑さ」と、死亡リスクの高まりに警鐘を鳴らしています。ドイツでも7月半ばは猛暑日が続き、年々厳しくなる熱波への対策を取るべく新たな議論がされています。

 

近年続く猛暑 生活様式の見直し

 

 

今年の7月、ドイツ国内では熱波への健康対策として、南欧の習慣であり制度でもある「シエスタ」(siesta)を導入することがドイツ連邦公衆衛生医師会(BVÖGD)の会長医師から提案されており、ラウターバッハ保健相からも肯定的な意見が出ていることが注目されています。

 

シエスタという言葉はスペイン語ですが、熱帯、亜熱帯地域や地中海沿岸地域の日照時間が長く、暑い気候の地域でよくみられる習慣で、昼食後の日差しのきつい時間帯にとる長めの昼休憩のことです。

この時間帯は、商店や企業、官公庁などは14時から17時、18時まで休業となり、家に帰って昼食を取った後に休憩をとり昼寝をし、その後は再び職場へ戻って業務再開し、3時間ほど働くというのが一般的なスタイル。

このため南欧では夕食も遅く、就寝も遅いのですが、それでも早朝から業務を開始することで、涼しい時間を有効活用しています。

さて、ドイツでは夏季に気温が35度以上になった場合にこのシエスタ導入しようという提案ですが、世論の動きはどうなっているのでしょうか。

 

ドイツでシエスタ導入は実現されるか?

 

 

成意見には、BVÖGDの会長医師からの提案や、元来のシエスタの目的と効果を肯定した意見が多く、早朝時間の活用とシエスタにより、健康被害の防止と業務の効率化及び生産性を高める効果を望んでいるようです。

反対意見には、シエスタの法的導入は現実的ではなく、現行のシステムで補える問題だとの主張があります。

起業家であり、FDP(ドイツ自由民主党)の党員でもあるマリー=クリスティーヌ・オスターマン氏によると、フレックスタイムを利用すれば、多くの業種で労働時間の調整ができるため、シエスタ導入の必要性はないと述べています。

また、スペインですら、様々な問題によりシエスタを廃止する動きがあることも見逃せません。

長らく続くスペインの経済危機も一因ですが、シエスタのスタイル自体も問題となっているようで、家と職場が遠距離の場合は、オフィスで時間を潰すしかないため手放しの休息ともいえないようです。

これは農業中心だった時代には有用だったシエスタも、オフィスワークという現代的な労働環境には見合わなくなってきたからかもしれません。

 

昨年2022年のヨーロッパでの熱波による死者数は6万人を超え、ドイツ国内でも8千人の死者数を記録しました。気候変動の影響がいよいよ目に見える形で進んでおり、ドイツでシエスタが導入されるかはわかりませんが、生活様式の変化を強いられていることは確かのようです。

 


参考HP

 

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