Wetterpate ‐高気圧と低気圧の名付け親

 

ドイツの天気予報ニュースを聞いていると、「高気圧のオスカーが、明日は非常に乾燥した空気をもたらします」だとか、「低気圧のポリーによって強い雨が発生します」だとか、天気図の高気圧と低気圧に人の名前が付けられていて、なかなか面白いんです。

実は、ドイツでは毎年9月に、翌年発生する高気圧と低気圧の名付け親(Wetterpateが募集されていて、自分の名前だったり、誰か大切な人にプレゼントとしてその人の名前を応募できたりと、ユニークなシステムになっているんです。

始まり

 

1954年、当時ベルリン自由大学の気象学研究所の学生だったカーラ・ヴェーゲ博士(のちにテレビで気象予報士として活躍)が、天気図をより分かりやすくするために、中部ヨーロッパで発生する高気圧と低気圧に人のファーストネームを付けることを提唱したことが発端だそうです。

 

 

その後、高気圧には男性のファーストネームが、低気圧には女性のファーストネームが、アルファベット順で付けられるようになったそうです。

つまり、その年の最初に発生した高気圧には、Aから始まる名前、例えばAntonが、その次の高気圧には、Bから始まるBenというように、アルファベット順で名前が付けられ、最後のZまで進んだら、また最初のAから新たに名前を付ける、ということが繰り返されていました。

しかし1998年に、「低気圧にいつも女性のファーストネームを付けるのは、男女差別ではないか?」という議論が交わされるようになりました。

というのも、低気圧は悪天候になる頻度が高いですよね。

確かにニュースで「低気圧のシャルロッテによって、激しい強風とあられが発生」なんて聞くと、全国のシャルロッテさんが気分を害するのも、うなずけます。

この批判を受けて、ドイツ気象庁は、高気圧と低気圧に付ける名前の性別を毎年交互に変更することに決定しました。

 

Aktion Wetterpate – 名付け親の募集プロジェクトの開始

 

 

さらに2002年に「Aktion Wetterpate」というプロジェクトによって、高気圧と低気圧の名付け親を募集するプロジェクトがスタート。

応募して採用されれば、誰でも名付け親になることができるんです。

高気圧と低気圧の性別は毎年変更になり、偶数年では、高気圧に男性名が、低気圧には女性名が採用され、奇数年にはこれが逆となります。

毎年、平均して約55の高気圧と約140の低気圧に名前が付けられるそうです。

自分が名付け親になるには、「名付け親料」を支払う必要があるのですが、高気圧と低気圧のどちらの名付け親になるかで料金が異なります。

高気圧の名付け親料は390ユーロ、低気圧の名付け親料は260ユーロとなっています。

なぜ料金が異なるのかというと、低気圧は悪天候をもたらして短期間の間に気象図から去っていく傾向があるのに対して、高気圧は「寿命」が長く、より長い期間、気象図に留まっているからだそう。

ちなみにこの名付け親料で得たお金は、大学の気象学部や研究機関にすべて回されて、研究や教育目的に使用されます。

ちなみに2023年9月6日から、Aktion Wetterpateのウェブサイトより、来年2024年の名付け親の募集が開始されています。

2024年は偶数年なので、高気圧には男性名、低気圧には女性名が募集されています。

ちなみに日本から応募することも可能だそうで、これまでに欧州15カ国、日本、ブラジル、アメリカ合衆国、南アフリカなどの海外から2000名の名付け親が誕生しています。

どうでしょう、あなたも名付け親になってみませんか?

 

参考ウェブサイト

https://www.wetterpate.de/index.html

 

 

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