ドイツの出産についてのあれこれ

ドイツでの出産ってどんなものでしょうか？

私もかれこれ１０年以上前に経験しましたが、色々驚いたことや感動したことがありました。

ドイツで出産する場合、一般的なのは病院での出産ですが、妊婦さんが希望すれば、水中出産や自宅での出産も可能です。

ドイツのBeleghebammeが素晴らしかった！

海外での出産や、人生初の出産といった場合、妊婦さんの不安は尽きないものです。

ドイツ語で、助産師さんはHebammeと言います。

病院で出産する場合、いざ生まれるという時になって初めて助産師と対面することになるかと思うのですが、このようにシフト勤務制で分娩室で働く助産師さんとは別に、ドイツにはBeleghebammeと呼ばれる助産師さんがいます。

彼女たちは特定の病院に雇われているのではなく、いくつかの病院と提携契約を結び、フリーランスのような形態で働いているのですが、このBeleghebammeは、自分が担当する妊婦さんを、妊娠中から出産、そして産後まで、ずっとマンツーマン対応でサポートしてくれる、非常に心強い存在なのです。

妊娠が判明してから無事出産するまで、一人の助産師さんに寄り添って欲しい妊婦さんは、Beleghebammeに依頼することをお勧めします！

またBeleghebammeにかかる費用も法的健康保険でほぼカバーされます。

専門職の人材不足が深刻なドイツでは、自分に合った助産師さんを探すのも結構大変。

私がドイツで出産したのは、かれこれ１０年以上ですが、妊娠が判明してから、すぐに自分の地区を担当するBeleghebammeのリストを入手し、連絡を取りました。

私のBeleghebammeを引き受けてくれたのは、Frau Heil（Heilには健康、無事という意味がある）という、まさに助産師さんにピッタリの名前の大ベテランの方。

Frau Heilは妊娠中から定期的に自宅を訪問してくれ、身体の調子や出産にまつわる不安など、本当に色々相談にのってもらいました。

さらに妊娠３７週目からは、２４時間体制で彼女に電話できるようになっていました。

「そろそろかも！？」と感じた時に、Frau Heilの携帯電話に連絡を入れると、「じゃあ、これから病院に向かってね。分娩室の前で待ってるね！」と言われて病院に着くと、Frau Heilがすでに段取りを済ませて待っていてくれました。

出産が判ってから、マンツーマンで寄り添ってくれた彼女の存在がとっても心強かったです！

ドイツでは妊婦さんの１５～２０パーセントが、無痛分娩を選択します。

分娩時の痛みや不安を経験しなければ、母性が損なわれるといった考えはドイツにはないようで、母体に負担をかけないように合理的に無痛分娩を選ぶことが一般的になっています。

私はFrau Heilに「あなたは自然分娩でも大丈夫そうだけどねえ（身体が丈夫そうだし）」と言われたのですが、せっかくなら合理的なドイツ式に無痛分娩を体験したかったので、無痛分娩を選びました。

結果、本当に楽な出産となり、お陰様で母子ともに健康だったので、「病室に他の患者を入れたいから、あなたはもう家に帰りなさい」と、出産した翌朝に自宅に帰らされました（出産当日に退院するケースもあり）。

それに日本の産院とは違って、ドイツの病院では、出産を頑張ったお母さんたちをいたわって配膳される「お祝い膳」なんて一切出てきません。

私の場合、出産当日の夕食はパンとチーズとハムのみでした。

「こんなひもじい思いをするなら、早く退院した方がいい」と思ったのも事実ですが、出産という一仕事を終え、慣れない新生児を抱えた私はオロオロ。

しかし、出産後もしっかりとサポートしてくれる頼もしい存在がBeleghebamme。

Frau Heilは出産後１１日間は毎日自宅を訪問してくれ、新生児の世話の仕方を教えてくれたり、産後ケアをサポートしてくれました。

出産後１２日以降は、Frau Heilの自宅訪問が数日おきになり、自分が新米ママとして奮闘しているうちに、彼女が自宅訪問してくれる回数が徐々に減っていきました。

ドイツ語が苦手な場合は、英語でサポートしてくれるBeleghebammeもいます。

これからドイツで出産を予定されている方は、プロフェッショナルなドイツのBeleghebammeによるマンツーマンのサポートを受けることをお勧めします！

大阪育ちの日本人。ベルリン自由大学卒業。現在ドイツ・コブレンツ在住。趣味は山登り、テニス、アスリート飯作り。担当する新シリーズ「住んでみてわかったドイツ」では、ドイツ居住歴16年の経験を生かして、現地からの生情報をお伝えしたいと思います。皆様からのリクエストや感想もお待ちしてます！