
ドイツでボードゲーム文化がユネスコ無形文化遺産に登録!その背景と広がる魅力
目次
2025年3月、ドイツの「ボードゲームを遊ぶ文化(Brettspiele spielen)」が、ユネスコ(UNESCO)の無形文化遺産に登録されました。
このニュースは世界中のボードゲームファンにとって大きな話題となり、SNSやニュースサイトでも大きく取り上げられました。
なぜボードゲームが文化遺産として認められたのか?そして、ドイツにおけるボードゲーム文化はどのような広がりを見せているのか?
今回はその背景と魅力についてお伝えします。

なぜボードゲームが「文化遺産」に?――世代を超えて受け継がれる遊びの力
ボードゲームといえば、子どもの遊びや家族団らんのイメージが強いかもしれません。
しかし、ドイツではボードゲームは単なる娯楽を超え、世代や文化を超えて受け継がれる「社会的な知恵とつながりの場」として根付いています。
ドイツの家庭では、週末や祝日に家族や友人が集まり、ボードゲームを囲む光景が日常的です。
子どもからお年寄りまで一緒に楽しめるため、世代間の交流やコミュニケーションのきっかけにもなっています。
また、ボードゲームはルールの理解や戦略的思考、協力や競争など、さまざまな能力を自然に育む教育的な側面も持っています。
ユネスコ無形文化遺産の登録理由には、「知識や経験の共有」「コミュニティの形成」「包摂(インクルージョン)」といった社会的な価値が挙げられています。
ボードゲームを通じて、異なるバックグラウンドを持つ人々が集い、互いに学び合い、信頼や友情を育む――まさに現代社会に求められる「つながり」が、ボードゲームの中に息づいているのです。
ボードゲーム大国ドイツ――世界をリードする“Spielkultur”の広がり
ドイツは「ボードゲーム大国」と呼ばれるほど、ボードゲーム文化が発展しています。
毎年エッセンで開催される世界最大級のボードゲーム見本市「シュピール(SPIEL)」には、世界中から数万人のファンや業界関係者が集まり、最新作や名作が一堂に会します。ドイツ発の有名なボードゲームには『カタンの開拓者たち』や『カルカソンヌ』などがあり、これらは世界中で愛され続けています。
また、ドイツには「ボードゲームカフェ」や「ボードゲームクラブ」が数多く存在し、誰でも気軽に新しいゲームに挑戦したり、仲間と交流したりできる環境が整っています。
学校教育や福祉施設でもボードゲームが積極的に活用されており、子どもたちの社会性や論理的思考力の育成、高齢者の認知症予防などにも役立っています。
今回のユネスコ無形文化遺産登録は、こうしたドイツの“Spielkultur(遊びの文化)”が国際的にも認められた証です。
今後はさらに多くの人々がボードゲームの魅力に触れ、世代や国境を越えて「遊び」を通じた交流が広がっていくことでしょう。
ドイツでボードゲーム文化がユネスコ無形文化遺産に登録されたことは、遊びが持つ奥深い社会的・文化的価値を再認識させてくれる出来事でした。
ボードゲームは、世代や国籍を超えて人々をつなぎ、知恵や経験を共有する「生きた文化遺産」です。
あなたもぜひ、ボードゲームの世界に一歩踏み出してみてはいかがでしょうか?
参考HP
Immaterielles Kulturerbe Brettspiele spielen Deutsche UNESCO-Kommission:https://www.unesco.de/staette/brettspiele-spielen/
Fünf Gründe, warum Sie mehr spielen sollten! Deutschlandfunk:https://www.deutschlandfunkkultur.de/brettspiele-unesco-kulturerbe-100.html#:~:text=Das%20Spielen%20von%20Brettspielen%20ist,Deutschland%20ist%20ein%20Spieleland.

これまで【日本人からみると不思議なドイツ事情】、【ものづくりの国ドイツ】を担当してまいりました、HHです。京都生まれ。ドイツ・フライブルク大学卒。留学中に得た経験をもとに、独自のアンテナを張って様々な側面からみたドイツをお伝えしていきたいと思います!皆さまのドイツ文化に関する興味・関心、ブログの感想もぜひ聞かせて下さいね。
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