スイスの大自然を楽しむ前に知っておくべきこと

 

日本では殆どの場所で桜のシーズンが終了し、春真っただ中で過ごしやすい気温になりましたね。

スイスでも5月に入るとかなり温かくなって、草原が様々な植物で色鮮やかに埋め尽くされる時期です。

そのため、私自身がスイスの自然を楽しむために最も好きなのがこの季節で、外国人に対してもスイスを5月~6月に訪問することをお勧めしています。

特に、ハイキングが趣味という方はあらゆる所で、新緑や高山植物の数々を目の当たりにできますのでアルプスの美しさを満喫するにはうってつけです。

そんな春のスイスは絵にも描けないほど綺麗ですが、自然に関する最低限の知識を持っていないと厄介な目に遭う危険も潜んでいます。

例えば、春になるとキャンプ場などで冬眠から目覚めた腹ペコな熊がウロウロしていて、細心の注意を呼び掛けていますよね?

幸か不幸かスイスでは熊が120年以上前に絶滅したため、稀にイタリアから国境を超えてやってくる例外を除けば、熊に遭遇する恐れはまずございません。

しかし、自然界で注意しなくてはならないものは猛獣だけではなく、むしろ小さくて見落としがちだけど人間に相当な被害を加える可能性を秘めている動植物に気を付けなくてはいけません。

そこで、今回は皆様が安心してスイスの自然を楽しめるように、事前に知っておくべき情報をご紹介させていただきます。

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Lawine, Föhn, Schuldenbremse, Heimweh
スイスドイツ語講座その17:他言語にも導入されたスイス生まれの言葉

 

今までのスイスドイツ語講座では、主に標準ドイツ語に対してスイスドイツ語にはどのような違いがあるのかを示してきたことが多かったかと思います。

スイスドイツ語はアレマン語に属するドイツ語の方言のひとつであることから、標準ドイツ語を基に異なる点をご説明するのは決して間違っていません。

しかし、スイスドイツ語は独自の発展を遂げたドイツ語のバリエーションであるため、標準ドイツ語が必ずしもその語源となっている訳ではないのです。

例を挙げるとすれば、過去の記事でも何度か登場したフランス語を始め、他の言語に由来する表現などがありましたよね?

それ以外にも、スイスはドイツ語圏に含まれるものの、地理、地質および気候といった自然はもちろんのこと、文化や政治においてもドイツやオーストリアとは異なる点が多いです。

それらの要素も長い歴史の中で言語に影響を与えてきましたので、スイスドイツ語だけに存在し、標準ドイツ語にはない独自の単語や表現も少なくありません。

そして、その一部はなんと時間の経過とともに標準ドイツ語をはじめ、様々な言語にもわたりました。

したがって、今回はそんなスイス発祥で、いわゆる「逆輸入版」としてドイツ語圏全域やその他の言語にまで広がった言葉をご紹介させていただきます。

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4つの古城を囲む城下町スィオン

 

スイスについてのお話をすると、早かれ遅かれ「ヴァレー州」(Canton du ValaisまたはKanton Wallis)という地方名が登場します。

本ブログにおいてもアルプスの魅力ラクレット、さらに直近ではアルプスマーモットをご紹介した際にその名前が出てきましたし、スイスを訪れたことのある方ならヴァレー州に行かれた可能性が高いです。

特に、スイス旅行の定番とも言えるあの世界的に有名なマッターホルン(Matterhornを実際に観望された人がそれに該当し、その美しさに感銘を受けて印象に残る体験をしたという旅行者も少なくはないでしょう。

この点に関しては外国人のみならず、自国民も例外ではなく、ヴァレー州が有する数々の名峰、雄大な氷河、そして緑豊かな谷や森林が織り成す感動的な風景に加え、その独自の自然環境が生んだ歴史と文化はスイス人から見ても別格です。

したがって、今回はそんなフランスならびにイタリアと国境を接するスイス南西部にあるヴァレー州の州都で、古くから同州の政治的中心地として栄えたスィオン(SionまたはSitten)をご紹介させていただきます。

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スイスのご当地スイーツ:ケーキ編

 

皆様、ごきげんよう。

しばらくの間、当ブログで食事に関するネタを採り上げていないように感じます。

また、過去にはレーシュティラクレットなどの代表的なスイス料理に加えて、チーズやワインといったスイスの特産品もご紹介し、スイスドイツ語講座でもビール、そして様々な食材を取り扱ったものの、スイスチョコを除けば甘味はほぼ登場しませんでした。

個人的には甘い物が大好きなだけでなく、スイスには商品をグローバルに展開しているお菓子メーカーも存在しますので、今までスイーツに関する記事を書いてこなかったのが逆に不思議に思えるほどです。

また、あまり知られていませんが、スイスには各地方特有の伝統的なご当地菓子があり、京都の生八つ橋のように定番のお土産として高い人気を誇ります。

しかも、ご当地菓子には想像以上の種類があり、代表的なものだけをピックアップしても相当長いリストになるため、それらを1編の記事に収めるのは厳しいのが現状です。

しかし、甘党大将としてスイス各地の甘味を皆様にご紹介せずにはいられませんので、分野を限定し、何回かにわたってご対応することにしました。

そこで、今回はスイスのご当地スイーツの中でおやつの定番とも言える「ケーキ」についてのお話をさせていただきます。

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スイスが舞台となった名作映画

 

皆様は映画を鑑賞する際、「これってどこで撮影したんだろう?」と、映画の舞台となった場所が気になって、そこに行ってみたいと思ったことはありませんか?

私自身はファンタジー冒険映画の代名詞であるロード・オブ・ザ・リング(The Lord of the Rings)に登場する数々の舞台に感銘を受け、そのロケ地がニュージーランドだったことを知って以来、死ぬまでに一度はニュージーランドを訪れて撮影現場となった場所を実際に見てみたいという目標を立てました。

それから既に20年以上が経過し、残念ながら未だに目標を達成できていません。

しかし、いつかは必ず念願のニュージーランド旅行を実現させる思いで日々頑張っております。

このように、私の場合はとある映画をきかっけに将来の目標を決めましたが、近年では映画のみならず、ドラマやアニメの舞台を訪問する「聖地巡礼」と称されるロケ地巡りを行う観光客も増えていることから、世界中で同様な気持ちを抱いている人が相当いるのが窺えます。

したがって、読者の皆様の中にもそのような方が一定数いる筈で、訪れてみたいロケ地がスイスにあるという人が最低でも1人ぐらいはいるのではないでしょうか?

特に、人気アニメで知られる「アルプスの少女ハイジ」を観ていた世代なら画面上に広がる世界に魅了され、一生に一度はスイスに行ってみたいと願った視聴者も少なくありません。

とはいえ、スイスが舞台となっている作品は決してハイジだけではなく、他にもスイス各地の場所が映る様々な映像コンテンツがあります。

そして、ストーリー上その作品または一部シーンの舞台がスイスであることが明らかな場合がある一方、景色を観ただけではスイスで撮影されたという事実が分かりづらいケースもあります。

割合で言えば、むしろ後者の方が大半を占めるので、殆どの視聴者はロケ地がスイスであったことを認識しないまま作品を鑑賞していることが多いです。

そこで、今回は皆様もよくご存知だけど、撮影現場がスイスだったことを意外と知らない世界的に有名な映画をご紹介させていただきます。

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Danke, Ade, Messi!
スイスドイツ語講座その16:感謝の言葉

 

皆様お久しぶりです!

今までかなりの頻度でスイスドイツ語講座を行ってきましたが、実は先日重要なことに気付いてしまいました。

本講座ではなるべく実用的なスイスドイツ語を中心に、色々な場面で使用できる言葉をご紹介することを心掛けているものの、使う回数が最も多いと言っても過言ではない感謝の表現を教えていませんでした。

感謝は仕事、私生活を問わず対人関係において決して忘れてはならないもので、それをするのとしないのとでは周りの人の印象を大きく左右する一番大切な感情表現です。

したがって、今回はスイスドイツ語をマスターする気がなくても、観光でスイスを訪れたり、どこかでスイス人と遭遇したりした際のために知っておくべき感謝の言葉について色々とご説明させていただきます。

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スイス初の首都だった都市アーラウ

 

以前、スイスには「首都」がなく、ベルン(Bern)を連邦機関の所在地として「連邦都市」と定めていることをご説明させていただきましたよね?

スイスが元々国家連合として設立されたことから、連邦州の平等性を維持するためにあえて首都を定めず、各州の代表者が集会する場所をローテーション制で毎年変えていました。

そして、1848年に国家連合から連邦国への改革を行った際にひとつの州に政治的な優勢性を持たせず、全州の平等性を引き続き確保する解決策として生まれたのが「連邦都市」の制定でした。

とはいえ、過去を振り返るとなんとスイスにも一時的に「首都」が存在していた期間があったのです。

この事実は国外ではあまり知られていませんが、スイス人にとっては自国の歴史を知る上では重要な1ページと言えます。

したがって、今回はアールガウ州(Kanton Aargau)の州都であり、スイス初の首都でもあったアーラウ(Aarau)をご紹介させていただきます。

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日本で初めてスキーレッスンを行ったのはスイス人だった件

 

12月になって今年ももうあと僅かのところまでやってきました。

年末と言えば忘年会やクリスマスに加え、大掃除も控えていることから、何かとバタバタする時期ですよね?

また、気温も下がって、風邪を引かないように体調にも気を配る必要がありますので、冬はどちらかというと苦手な方も少なくはないと思います。

しかし、ウィンタースポーツを楽しむ人にとっては逆に待ち望んだ季節で、これからが本番であると感じているのではないでしょうか?

雪国であるスイスにおいてはスキーやスノーボードが国民的なスポーツと言えるほど人気で、冬が嫌いな人を含め、国民の殆どが恒例行事のように最低でも年に一回はゲレンデに足を運ぶのが普通です。

それに対して日本では地域差があるものの、ウィンタースポーツを一切しない割合が意外と高い印象を受けます。

生まれ育った場所が雪の降らない沖縄か積雪が数メートルにも及ぶ北海道かで、ウィンタースポーツとの関わり方にも大きな違いが生じるのは無理もありませんし、スポーツは個人で好き嫌いが分かれますが、競技人口がもう少し多くてもいいのではと感じます。

因みに、日本でスキーと言えば、日本において初めてスキーレッスンを行ったのはスイス人だったことをご存知でしたか?

この事実は今から100年以上も前の出来事で、教科書にも掲載されていないことから知らない方も多いと思いますので、今回はとあるスイス人も大きく関与している日本のスキーの歴史についてご説明させていただきます。

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スイスのノーベル賞受賞者

 

先月ノーベル賞の受賞者が順次に発表され、以前からノミネートが期待されている村上春樹さんの受賞は今回も実現しなかった一方、平和賞が日本被団協に贈られると決まったことに驚いた人も多いのではないでしょうか?

日本人によるノーベル平和賞の受賞は50年ぶりの出来事ですが、過去を振り返ると山中伸弥教授や吉野彰博士をはじめ、特にこの25年間で数多くのノーベル賞受賞者を輩出してきた実績があり、さほど異例なことでもないかもしれません。

また、そのような背景から日本国民の間でノーベル賞に対する関心が年々高まっており、皆様の中にも今年の受賞者が気になってその発表に注目した方が少なくないと思います。

しかし、大半の人はあくまで自国の人物がノーベル賞を受賞するか否かに着目しており、他国の受賞者にはさほどの興味がないように感じます。

というのも、ノーベル賞を受賞したスイス人を聞かれると、日本では殆どの方が一人も答えられず、稀に1人か2人の名前を知っている人がいるのが現状です。

また、そもそもノーベル賞を受賞したスイス人が過去に存在したのか分からない方まで僅かながらいますので、スイス人である私にとっては非常に悲しい現実に直面しております。

そこで、今回は日本人以外のノーベル賞受賞者に関する一般的知識を広める目的で、過去にノーベル賞を受賞したスイス人についてご説明させていただきます。

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スイスを代表する動物:アルプスマーモット

 

突然ですが、皆様はそれぞれの国を象徴する動物が存在することをご存知ですか?

もちろん、全ての国がそのような動物を有している訳ではないものの、基本的には大多数の国や地域が何らかの動物を自身のシンボルとしています。

有名な例としては、オーストラリアのカンガルー、中国のジャイアントパンダ、そしてアメリカ合衆国のハクトウワシなどがあります。

また、特定の動物をいわゆる「国獣」または「国鳥」に定めている国や、非公認のまま象徴にされているケースも少なくありません。

というのも、日本はキジを国鳥に指定している一方、が日本航空(株)の機体の垂直尾翼に描かれていることもあって、特に外国人からすれば鶴が日本のシンボルであるとの印象を受けます。

それと同様に、スイスも様々な製品や意匠でを国の象徴にしていますが、国家としてスイスは国獣も国鳥も指定していないのが現状です。

実際のところ、スイス国内では地域を問わずどこでも牛に出会えますし、アルプスで放牧している姿は定番の光景です。

しかし、牛は全ての大陸に生息し、数量的に見れば頭数が最も少ないのがヨーロッパ大陸であることから、スイスを象徴する動物と位置付けるには少々無理があります。

むしろ、スイスらしさで言えば、生息地がアルプス山脈に限定されていて、他の国では殆ど見かけない動物がいくつかございます。

中でも、アルプスマーモットは古来よりスイスの山々の代表的な住人であり、国民を始め、観光客の間でも高い人気を誇るので、個人的にはそれをスイスの国獣にすべきだと考えます。

という訳で、今回はスイスの国獣に匹敵すると言っても過言ではないアルプスのマスコット的存在についてご紹介いたします。

 

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