モーツァルトクーゲル(MozartKugel)その1
時の流れは本当に早いものでブログを開始してからもう半年になります。
徐々に皆様にも私の名前を憶えて頂けると嬉しいです。
皆様の旅行の楽しみはどのようなものでしょうか?
食事、美しい眺め、世界遺産観光等、様々な楽しみがあると思います。
今回はお土産ということで、国家公認ガイドの私もついつい買ってしまうお土産に関して、お付き合いを頂ければと思います。
そもそもモーツァルトクーゲルとは
ドイツ語をそのまま訳すとモーツァルト(Mozart)と球体(Kugel)の組み合わせになります。
文字を見ただけでは想像するのが少し難しいかもしれません。
正解は次の写真になります。
モーツァルトの絵が描かれた包みにくるまれた球形のチョコレート菓子のことです。
実際に私自身、2025年8月にウィーン-成田間のフライトでオーストリア航空を利用した際にも、Mirabell社のモーツァルトクーゲルをお土産として渡されました。
現在ではガイドブックで紹介される有名なお土産です。
有名なだけではなく、なんと累計数十億個以上を売り上げているベストセラーになっています。
現在でも10社以上が参入し、様々な種類のモーツァルトクーゲルが販売されています。
存続の危機!?
昨年のニュースでザルツブルクに衝撃が走ります。
それはモーツァルトクーゲルの売り上げ不調を理由にザルツブルクにある工場を閉鎖する必要があるとのことです。
2024年12月6日の記事
見出し「Die letzte Mozartkugel: Mirabell produziert ab heute nicht mehr in Salzburg」、つまり「最後のモーツァルトクーゲル:ミラベルは本日付でこれ以上ザルツブルクでの生産をしません」。
2025年3月27日の記事
見出し「Das Ende der „echten Salzburger Mozartkugel」つまり、「生粋のザルツブルク産のモーツァルトクーゲルの終焉」です。

元々工場に160名ほどいた従業員ですが、コロナ禍のあおりを受け、2024年時点では65名まで減っていました。
現在ではMondelez社に事業を売却し、チェコかポーランドに工場を移転したとのことですが、株式会社でないので、売り上げ等も含め詳細の情報を開示する義務がなく、現段階でも詳細は不明です。
この「„echten Salzburger Mozartkugel“」は数ある中でもMirabel社のことを指します。
1枚目の写真に映っているモーツアルトクーゲルは、このMirabel社のものです。
モーツァルトクーゲルを巡る争い
先ほどのMirabell社ですが、過去にReber社と戦いの火花を散らしているので、そのうちの有名な2つの大事件をご紹介させて頂きます。
モーツァルトクーゲルの2大会社といえば、Mirabell社とReber社になります。
こちらの会社が商標権をかけて争いました。
商品名事件
両社とも、「Echte Mozart Kugel」という名前で商品を売り出していました。
結果的に、Mirabell社が勝訴し、Mirabell社が「Echte Mozart Kugel」を名乗り、敗訴したReber社は「Echte Reber Mozart-Kugel」とMozartとKugelの間に「-」を入れることを義務付けられました。
形状事件
これは先ほどKugelとは「球体」であるというお話をしましたが、商標権が絡むとそういう簡単な話では終わりません。
実際に工場で生産されているモーツァルトクーゲルが完全な球体で販売を許されているのはMirabell社のみとなります。
他社に関しては必ず、球体の中に直線状の部分が存在し、正確には球体になっていないという特徴があります。

両者を比較すると形状の差がわかりやすく、底面が異なります!
Mirabell社がなぜこの様に優遇されたかというと、オーストリア、ザルツブルクを生産拠点としていたから自国の会社と認識をされ、反対にReber社はドイツ、バートラインハルに生産工場がある為にドイツの会社、つまり外国の会社という認識をされてしまったからです。
しかしながら今回の売却事件で、Mirabellのモーツァルトクーゲルがアメリカに本社を置く会社の手に渡り、味も少し変わってしまったそうです。
語っていたらアッという間に文字数の制限になってしまったので、次回は歴史を絡めながら、真のオリジナルモーツァルトクーゲルとは?ということで、モーツァルトクーゲル完結編をお届けします。
さらにそれに加えて、ザルツブルクでしか購入できない私もついつい買ってしまう商品もご案内しようと思います。
また皆様にお会いできるのを楽しみにしております!