ドイツの宗教  

外国の文化と触れ合うことで、その国に根付いている宗教、宗教観と自ずと向き合うことになります。ドイツは地理的にも政治的にもヨーロッパの中心となっていますが、ドイツの宗教は今日どのような在り方をしているのでしょうか。

ドイツで最も大きいケルンの大聖堂
ドイツで最も大きいケルンの大聖堂

 キリスト教徒は人口の約半数以上

 

ドイツで最も多く信仰されている宗教はキリスト教ですが、人口の28%がカトリック、26~27%がプロテスタント(その多くはドイツ福音主義教会/ Evangelische Kirche in Deutschlandである)を信仰しており、人口全体の53.2%がキリスト教を占めています。

キリスト教の二大宗派の他には、オーソドックスといわれる正教会(1.9-2.1%)、既成の教会組織に属さない自由教会など合わせると、およそ57%の約4700万人の人々がキリスト教に属していることになります。(2018年現在)ドイツは、宗教改革の主導者であるマルティン・ルターの出身でもあることから、ヨーロッパのその他の地域に比べてプロテスタントの比率も多く、主に北ドイツで信仰されているのが特徴です。

またイスラム教も2015年時点の統計では5.7%前後を占めており470万人ほどの信者を抱え、そのほかにはユダヤ教や、その他の新興宗教、外来の宗教である仏教などが1%以下に数えられています。

無宗教、そして深刻な教会離れ

 

しかしこの統計の数値からは、無宗教(konfessionslos)の人口が37%にも及ぶということも明らかになっています。「神への信仰」に関するドイツの週刊誌シュピーゲルのアンケート調査(2019)によると、ドイツ国内では神を信じている人は2019 年現在で55%、2005年に比べて11%も減っており、東ドイツに至ってはわずか26%という結果で、こちらも2005年に比べて10パーセントの減少となっています。

カトリックおいていえば、2015年には、復帰者も含めて、9千人以上の信者が増えた半面、計18万2千人近くの人々が信仰から離脱したとのことです。このような宗教離れ、教会離れはドイツに限らず、現代的な現象といえますが、この傾向の一因には、教会税の徴収が大きいともいわれています。

教会税(Kirchensteuer)というのは、自身の信仰する宗教を役所に正式に申告している場合に課税され、州により額は異なりますが、所得税の8~9%とのことです。そう、ドイツでは役所への提出書類に宗教を書く欄があるので、宗教に対する確固たる姿勢を意識しているということでもあります。また、国が教会に代わって税金徴収するのは不思議なように思えますが、これは「コンコルダード」(Staatskirchenvertrag)という国家と宗教団体の間で締結されているパートナーシップによって遂行されています。ちょっと日本では想像しにくいですね。

このような税金の負担と信仰を秤にかけて人々は信仰から離れていくのでしょうか。昨今では使用されない教会も増えており、これらを博物館、コンサートホール、カフェやレストランとして再利用しているところもあるのだとか。

このような伝統宗教からの離脱の他方では、増大した移民たちの宗教への理解もドイツでは問題となっているようです。また仏教などの外来の宗教もマイノリティながら興味を持つ人々が多いそうです。多様化していく宗教の在り方はどのように国と文化を変えていくのでしょうね。


 

参考HP

 

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