ドイツが舞台の日本の漫画
~ナチス、ベルリンほのぼの生活、ドイツ文学研究室内での恋愛模様~

 ドイツが好き、ドイツに居住経験がある、パートナーがドイツ人…様々な理由でドイツへの興味が尽きない方々がいらっしゃると思いますが、日本の漫画でもドイツが舞台となった作品があります。そんな作品に出会うとなんだか親近感がわきますよね。今日はそれらの作品を個人的な意見を添えてご紹介します。

アドルフに告ぐ(Adolf)/手塚治虫

 

漫画の神様とも称される手塚治虫氏の名作のひとつである『アドルフに告ぐ』は、講談社マンガ大賞(1986)もとった代表的な作品で、世界各国の言語に翻訳されており、ドイツ語にも翻訳されています。独語タイトルは『Adolf』(アドルフ)。

第二次世界大戦前後のナチス支配下のドイツと、戦前・戦中の日本が舞台となっており、神戸に住むアドルフという名の二人の少年と、アドルフ・ヒトラーを主軸に、歴史的事件も合わせて描かれている超大作です。

私がこの作品を初めて読んだのは小学生の時ですが、歴史的背景はやはり難しすぎて理解できないながらも、登場人物の人間関係の強烈さに衝撃を受け、またドイツという国の最初のイメージを得た作品でもあります。史実的な表現には異論もありますが、『まなぶ漫画100選』にも選ばれた作品でもあり、日本漫画界に留まらない名作中の名作ですので、ドイツに興味があってもなくても、一読する価値のある漫画です。

モンスター(Monster)/浦沢直樹

 

こちらも漫画界の名作として名高い作品で、ドイツ語訳もされている長編漫画です。ドイツとチェコを舞台としたサスペンス作品で、主人公はドイツ・ドュッセルドルフ大学の医学部でキャリアを積み、天才脳外科医として活躍するDr.テンマが、重症患者として運び込まれた少年ヨハンを手術し、命を救うことによって物語の扉は開かれます。猟奇殺人、医療倫理、幼児虐待、ベルリンの壁崩壊以前以後のドイツ社会など、様々なテーマ性で描かれており、ドイツ留学直前にこの作品を読んだ私は、「ドイツ…怖い…」と震え上がりながらも(単純ですね)、緻密なストーリー展開に目を離せず、読み続けた記憶があります。

ねこと私とドイッチュランド(Meine Katze und ich in Deutschland)/ながらりょうこ

 

こちらは私が最近見つけたお気に入りの漫画でもあります。作者自身の体験を基にしたエッセイ漫画は昨今珍しくなく、外国での滞在経験を基にしたものはいくつかありますが、こちらの作者、ながらりょうこさんもベルリン在住の漫画家さんです。しかし、単なるエッセイ漫画と違い、擬人化された猫のむぎくんと主人公のトーコさんのドイツ・ベルリン生活が描かれている本作品は、お喋りな猫が可愛く、ファンタジー的要素も楽しめますし、トーコさんの日本人目線からドイツ文化を描いているため、エッセイ要素も楽しめます。ドイツ滞在の経験がある方は「そうそう!ドイツってこうだよね!」なんて、懐かしい気持ちになるのではないでしょうか。

長閑の庭(Schöner, Ruhiger Garten)/アキヤマ香

 

 

ドイツ文学の教授(64)とドイツ文学専攻の大学院生(23)による年の差恋愛模様を描いた作品です。主人公の大学院生、朝比奈さんは、内気な女の子でいつも黒い服ばかり着ていることから、シュバルツさん・シュバちゃん(黒=ドイツ語でSchwarz/シュバルツ)というあだ名がついています。大学院生の集まりで教授から自分の研究を褒められたことによりほのかな恋心を抱き始める…といった内容。穏やかな恋愛模様を中心に描かれており、前述の作品に比べるとドイツ的要素は少なめで、少女漫画的要素が多い作品ですが、魔女やメルヘン、ファウストなどドイツ文学に纏わるモチーフなどがチラホラでてくるのはドイツ文学研究室を舞台としているからこそ。ちなみにこの作品の監修は立教大学文学部ドイツ文学科の方々のバックアップも受けています。2019年にはドラマ化もされました。

ドイツが舞台となると、戦争ものは定番のようですが、ドイツ文学研究室というニッチな環境が舞台となっている漫画もあるんですよ。他にもドイツを舞台にした漫画や小説などはご存じですか?コメント欄で教えてくださいね!


参考HP

 

 

Comments

(2 Comments)

  • なめ

    若い方はご存じないかもしれませんが、萩尾望都先生の「トーマの心臓」「11月のギムナジウム」なんかも、いちおうドイツが舞台のお話じゃなかったかな。

    • HH

      コメントありがとうございます。そうですね。その二作品はギムナジウムを舞台とした作品ですね。
      ギムナジウムという独特な世界で繰り広げられる思春期の切なさや友情を描いている作品は多くあるので、ひとつのジャンルともいえるかもしれません。

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