ドイツの外国語教育事情

このトランスユーロアカデミー・ブログは、ドイツ語を学習中の皆様やドイツ・スイス文化に興味をお持ちの皆様にお読み頂いていることと思いますが、今日はドイツ国内での外国語教育についてお伝えしたいと思います。ドイツ人は外国語をどのようなスタンスで学んでいるのでしょうか?第一外国語はやっぱり英語?何歳からどのように学んでいるのでしょうか?

ドイツの第一外国語は…?

 

様々な外国を旅行された方からの意見として、ドイツ人は英語が上手な印象があるということをよく聞きます。それもそのはず。ドイツ語自体が英語と同じゲルマン語族で言語的な類似性が高く、またEU内での人々の流動性の高さからも、英語との接触頻度が高いので、英語を実践的に使用する機会が多いのも理由のひとつでしょう。

さて、外国語教育がドイツ国内全16州の小学校に必須科目として導入されたのは2004/2005年の年度からです。(ドイツの教育機関は9月が年度始まり)

全小学校の約半数が英語を第一外国語として学んでいますが、フランスとの国境に位置するザールランドではフランス語が第一外国語、ドイツ最北部シュレースヴィヒ・ホルシュタイン州はデンマークと隣接しているためデンマーク語が第一外国語であり、日本のように、国内一様に第一外国語が決められているわけではありません。そして導入年次も州ごとにまちまちで、第一学年(6歳)の州もあれば、第三学年からの州(8歳)からの州もあります。

小学校以上の教育機関であるレアルシューレ(職業訓練を中心とした実科学校)では、学校の特性上、実学を重視しているので、英語が第一外国語です。そして、ギムナジウム(大学進学を目指す高等学校)では、ラテン語、古典ギリシア語は必須科目となっています。これは古典語中心の人文学的教養の育成が古くからの伝統であるためです。

コミュニケーション重視の語学学習

 

ドイツでは外国語が幼少期から身近な存在のようですね。島国日本に比べると、内陸国であるドイツは外国人との接触が多いのは当然です。小学校での外国語教育は「外国語学習によって異文化への興味を高めること」を目的として掲げており、「話す・聞く」を中心とした学習法で授業が行われており、文法は二の次のようです。コミュニケーション中心。これは日本でも実行しようとしてなかなか達成できていないところですね。

その一方で、学生が学ぶラテン語や古典ギリシア語といった、いわゆる文献解釈を中心とした学術的研究のための言語は、読解中心の学習となります。

いずれにせよ、語学学習の仕方は、実践的な目標に沿って進められ、趣味の場合でも、ネイティブ話者を見つけ、積極的に語学に取り組む姿勢がよく見られます。このような能動的で実直な学び方はあまり日本の外国語教育ではみかけない気がしますが、いかがでしょう?

近年、移民を多く受け入れてきたドイツにおいて、ドイツ語ネイティブへの外国語教育と、外国人のためのドイツ語教育は切実な社会問題ともなっています。政治的な状況とも密接に関わり合う外国語教育、さて、私たち日本の外国語学教育はどのように発展していくのでしょう。


 

参考HP

 

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