オーストリアのコロナ禍の状況

新型コロナウイルスが発生してもうすぐ3年目に突入します。ニュースを読むとコロナ禍に対する対応は国ごとにそれぞれ異なることが判りますが、人々の実際の様子や生活状況などはなかなか想像しにくいです。私は新型コロナウイルスが発生して以来、オーストリアには帰らず、ずっと日本にいます。最近はオーストリアの状況についてニュースや家族の話を聞いて心配が募るばかりです。感染状況が収拾つかない状況になってきたというニュースが次々に舞い込んで来ます。2021年11月10日には検査陽性者数が1万人を超え、今後も増加が予想されるそうです。なぜオーストリアでは現在の第4波をしっかりと抑え込めなかったのか、それは初動の対応のまずさとオーストリア人のコロナに対する考え方に深く関係しているようです。今回の記事では、オーストリアにおけるコロナ禍の状況を新型コロナウイルス発生当初から振り返ってみたいと思います。

スキーリゾート地からの蔓延

 

オーストリアは観光の国です。ウィーンやザルツブルクなどの比較的大きな街では美しい街並みが人気で夏には登山客も多く集まるのですが、オーストリアの地方では最も盛んな観光業はやはりウィンタースポーツです。特にチロル州はウィンターリゾート地が多く、一番有名なリゾート地はキッツビュール(Kitzbühel)とイシュグル(Ischgl)でしょうか。新型コロナウイルスはちょうど2019年から2020年にかけてのウィンタースポーツシーズンに発生しました。オーストリアのスキーリゾート地は世界中から人気があるので、オーストリア人よりも外国からの観光客の方が多いです。2020年の3月にイシュグルで感染が発生し、爆発的に二次感染者を生む「スーパー・スプレッディング現象」が起こりました。そして、ここイシュグルからヨーロッパ全土へと蔓延したのです。

2020年3月16日から1ヶ月間、オーストリア全土に都市封鎖が発令されました。日本には緊急事態宣言やまん延防止等重点措置がありますが、オーストリアの「ロックダウン」と呼ばれる都市封鎖はもっと厳しくてスーパーマーケットと薬局以外の店舗は全て閉まり、人々は外出を制限されました。公園なども閉鎖されたので、リフレッシュのため公園に行く事さえできませんでした。街から人が消えて違和感を抱いたと家族から聞きました。このころに初めて「マスケンプフリヒト」(Maskenpflicht)というマスク着用義務が実施されました。日本と違って、オーストリアには元々マスク文化がありません。新型コロナウイルス以前は、風邪を引いてもマスクを着用する人など誰もいなかったと思います。マスクに慣れていないため、マスクをしたくない人や、マスクなど意味がないと思う人が多くいて不満と反対の声が上がりました。結局、感染者数が少し落ち着くとマスク着用義務を解除し、感染者数が再び増えるとまた着用義務を実施する、といった曖昧な対応になってしまいました。ちなみに今年の1月からは、着用するマスクについて厳しい条件が課され、マスクは従来の布マスクではなく、FFP2と呼ばれるヨーロッパが定めたEN規格に適合した微粒子用マスクをしないといけなくなりました。

ワクチン忌避

 

2020年の秋から2021年の春までほぼロックダウンの状況で過ごした人々はコロナ疲れを感じて経済にも悪い影響を与えました。2020年の12月に新型コロナウイルスワクチンの接種が日本より早く始まりました。しかしオーストリアでは1年経ってもワクチン接種を終えた住民は2021年11月21日現在でまだ66%しかいません (ORF 接種状況)。理由は色々ですが、ワクチンを信頼しない人が多いようです。他の数カ国と同様に新型コロナウイルスが発生した当初から、「新型コロナウイルスなど嘘だ」とか「感染しても大病しない」という「陰謀論」を信じ込んでいる人がかなりいるようです。ドイツ語で「コロナ・ロイグナー」(Corona-Leugner)と呼ばれるコロナ否定論者です。最近、もう一つよくオーストリアのニュースに出てくる言葉は「インプフゲーグナー」(Impfgegner)、つまり接種反対者です。ワクチンを受けたくない人に受けさせるのは問題だと言います。でも、接種率が低いかぎり、感染率が上がって医療機関に大きな負担をかけてしまいます。政治家の中でもワクチンに反対する人がいるので、なかなか難しい状況ですが、11月19日オーストリアのシャレンベルク首相は22日から全土で全住民を対象に外出制限などの4回目のロックダウンを実施し、来年2月からはワクチン接種を義務化する方針を明らかにしました。

 

 

3Gルール

 

以前の日常を取り戻すために、今年の5月から3Gルールが導入されました。3G「ドライ・ゲー」とは「Genesenネーゼン」(治癒証明)、「Geimpftインプフト」(ワクチン接種証明)、「Getestetテステト」(検査による陰性証明)の3語の頭文字「G」から取ったものです。レストランや映画館や職場に入りたい人はこの3つの証明のいずれかを提示しないといけません。ワクチン接種率が上がらないので、11月15日からは「ワクチン接種証明」と「治癒証明」の2Gに変更されました。これ以降は、感染から治癒した人とワクチン接種を済ませた人だけが自由に外出したり、職場やレストランに立ち入ることができます。まだワクチン接種を終えていない人に対しては立ち入り禁止の制限が増えますが、この制限はさまざまな方面から批判されています。ここ日本から見るとあり得ない状況に映るかもしれませんね。皆が協力しないとコロナ禍を乗り越えられませんが、今のオーストリアは理解し合えない状況から脱却できないようです。

Bleibt gesund,

Schmankerl

(この記事は2021年11月22日現在の情報に基づいています)


参考ホームページ

 

 

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