不親切なウィーン人

「ウィーン人は不親切だ」という声を聞いた事がありますか?それとも実際にそう感じたご経験がありますか?私が日本とオーストリアの違いを最も実感するのは帰国の際に日本の飛行機からオーストリアの飛行機に乗り換える時です。オーストリアの飛行機に乗ったとたん、フライトアテンダントの態度がガラリと変わり、すぐに「あぁ、オーストリアに帰ってきたんだ!」という気持ちになります。オーストリアのフライトアテンダントが失礼だとは言いませんが、日本のフライトアテンダントのように親切ではありません。お客さんを面倒臭そうな表情で迎えて、目に見えて不機嫌になることもあります。もちろんいつもそうとは限らないのですけど、不親切さはウィーン人を象徴する特徴の一つです。

 

 

ウィーンは「不親切な街のランキング」で上位

コンサルティング会社Mercer社が発表した「生活の質の高い都市ランキング」(Quality of Living Ranking)によると、ウィーンは2009年から2019年まで世界で一番生活の質が高い街として表彰されました。これは、ウィーンがインフラや経済情勢から自然保護まで世界で一番暮らしやすい街だという意味です (Stadt Wien 2019 (https://www.wien.gv.at/politik/international/vergleich/mercerstudie.html)

)。ただし同じコンサルティング会社が海外駐在員を対象に調査した「Expat City Ranking」というランキングによると、ウィーンは世界の都会の親切ランキングで恒常的に一番下の方にあります (Der Standard 2019a (https://www.derstandard.at/story/2000111800368/wien-unfreundlich-aber-dennoch-lebenswert))。2019年に発表された「不親切な街のランキング」ではクェート、パリに次いで三位になりました。このときに、Der Standard というオーストリアの日刊新聞がホームページでユーザーの意見を募ったところ、2,767通にも及ぶコメントが寄せられ、そのほとんどは不親切なウィーン人にまつわるエピソードでした。コメントを読むと、どうやらウィーン人は、不親切さは悪い事というよりも面白い事だと認識しているようです。ウィーン人が不機嫌になることをWienerisch(ウィーン方言)でgranteln「グランテルン」と言います。「不機嫌になる」とか「イライラする」という意味です。このgrantelnの意味には実は冗談やユーモアの面も含まれています。あるユーザーがこれらのコメントを読んだところ、あまりの面白さに3日かけて2千通を超えるコメントを全部で読んでしまったそうです。大笑いさせてくれたので、エピソードをシェアしてくれた人に対して感謝の言葉を述べていました (Der Standard 2019 b ( https://www.derstandard.at/story/2000111809282/wie-unfreundlich-waren-die-wiener-schon-zu-ihnen)。

 

 

ウィーン人の不親切さにまつわるエピソード

ウィーン人の不親切さは生で体験するのが一番面白いですが、なかなかそうもいきませんね。そこで、ウィーン人の不親切さにまつわるエピソードを集めた本をご紹介したいと思います。私は去年のクリスマスにこの本をプレゼントしてもらいました。タイトルは『Wiener Blut – Eine Ode an die Unfreundlichkeit – Die Donaumetropole in Anekdoten』(ウィーン気質 ― 不親切さの頌歌 ― ドナウ首都のエピソード)です。この本には、ウィーン人の不親切さの面白いエピソードが盛りだくさん収録されていますが、ここではその中でも飛びきり面白い3つのエピソードをご紹介しますね。面白いでしょうか?私はとても笑いました。

 

Letztens im Kaffeehaus:

Ich: „Herr Ober, bringen’s ma bitte an frischen Kaffee.

Den do kann man ja net saufen!“

Ober: „Na der nächste is a ned bessa.“

                       (Seite/ページ 32)

この間カフェで:

私:「ウエーター、新しいコーヒーを持ってきてくれないか。これはとてもじゃないが飲めたものではない!」

ウエーター:「はい、でも淹れ直しても変わりませんよ。」

Letztens beim Spazieren am Zentralfriedhof mitbekommen.

Eine alte Dame fragt den Angestellten: „Verzeihung, ich suche die Gruppe 7A.“

Der Angestellte sieht vom Handy auf und blickt die Dame kurz an.

„Oide, was kreust ausse, wenn’st dann nimmer heimfindst?“

                            (Seite/ページ 146)

この間、ウィーン中央墓地を散歩したときのこと。老婦人が墓地の従業員に尋ねます:「すみません、第7A区画へ行きたいのですが。」

従業員は携帯から目を上げて老婦人を一瞥すると「婆さん、帰り道が分からないのに、なんで墓から這い出ちゃったの?」

Sommer 2019 bei einer Hochzeit.

Ich lausche unbewusst dem Gespräch am Nebentisch.

Mann: „Die Flugzeuge hier san voi laut!“

Frau: „Geh Schatzi, jetzt hör auf zum Grantln. Wir sind auf aner Hochzeit.“

Mann: „Ich grantl nicht, ich Wiener.“

                                                                                                                              (Seite/ページ 141)

2019年の夏、結婚式にて。隣のテーブルの会話に何気なく聞き耳を立てていると

男:「まったくここは飛行機がものすごくうるさいな!」

女:「あなた、不機嫌になるのはやめてくださいな、結婚式の席なんですから。」

男:「オレは不機嫌になんかなってない、オレはウィーン人をしてるんだ。」

 

日本語に翻訳してみましたが、面白さは伝わりましたでしょうか? やはり本場のウィーン方言で聴くのとはちょっと違いますよね。でもウィーン方言で聴くと、本当に面白いんですよ!

 

実は私はウィーン人の不親切さが好きです。ただウィーンにいるときは、いつも日本人の親切さに感謝しています。特に役場で手続きがある時など…

 


参考ホームページ

Bettschart, Rafael (2021) Wiener Blut – Eine Ode an die Unfreundlichkeit – Die Donaumetropole in Anekdoten. Vachendorf: Kampenwand Verlag.

Der Standard (2019 a) Wien ist die drittunfreundlichste Stadt der Welt, aber lebenswert

Die Bundeshauptstadt verteidigt erfolgreich ihren Ruf, eine der unfreundlichsten Städte weltweit zu sein – das sagen jedenfalls Expats, die in Wien leben (https://www.derstandard.at/story/2000111800368/wien-unfreundlich-aber-dennoch-lebenswert)

Der Standard (2019 b) Wie unfreundlich waren die Wiener schon zu Ihnen? (https://www.derstandard.at/story/2000111809282/wie-unfreundlich-waren-die-wiener-schon-zu-ihnen)

Stadt Wien (2019) Lebensqualität – Wien ist und bleibt Nummer eins (https://www.wien.gv.at/politik/international/vergleich/mercerstudie.html)

 

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