2025年ドイツの流行語大賞 Das Wort des Jahres 2025
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あけましておめでとうございます、2026年の幕開けです。
毎年恒例となって参りましたが、今年もまずはドイツ語協会(GfdS)が選んだ2025年のドイツの流行語大賞についてお伝えします。(2024年の流行語大賞、2023年の流行語大賞)
2025年もドイツは政治的にも社会的にも多くの課題を抱えていましたが、同時にテクノロジーの進化が社会を大きく変えた1年でもありました。
それは流行語にも表れています。
2025年のドイツの流行語大賞はKI-Ära:「AI時代」
2025年のドイツ流行語大賞に選ばれたのはKI-Ära(AI時代)でした。
人工知能(ドイツ語:KI)は、もはや科学研究の象牙の塔から抜け出して、社会の中心に到達したとドイツ語協会は説明しています。
インターネット検索、写真の編集、テキスト作成でも、今や多くの人々がAIツールを日常的に利用しています。
興味深いことに、このテーマは過去数年間の流行語選出でも見られました。
2023年にはKI-Boom(AIブーム)が、2024年にはgenerative Wende(生成的転換)がランクインしています。
つまり、ブームから転換期を経て、ついに「時代」の到来が認識されたということです。
ドイツ語協会(GfdS)の事務局長アンドレア・エーヴェルス氏は、「KI-Äraという言葉は短く、わかりやすく、感情的に訴える力がある」と述べています。
この言葉は、この技術に関連する機会とリスクの両方を象徴する強力なシンボルであり、2025年の雰囲気とテーマを表すのに理想的だとのことです。
ドイツ語協会の見解では、この時代の始まりは否定できないものであり、「多くのチャンスがある一方で、悪用のリスクや、独立した批判的な思考、発言、執筆を失う危険性もある」としています。

第2位 Deal:「取引」
第2位に選ばれたのはDeal(取引)という言葉です。
これはアメリカのドナルド・トランプ大統領のお気に入りの言葉の一つで、彼は貿易協定、関税協定、外交協定などを自分の成功として提示する際にこの言葉を使っています。
「彼の支持者にとっては行動力を示すシグナルであり、批判者にとっては表面的でショー的だと見られている」とエーヴェルス氏は説明しています。
トランプ大統領の再登場がドイツの言語にも影響を与えているのは興味深い現象ですね。
第3位 Land gegen Frieden:「領土と引き換えの平和」
第3位にはLand gegen Frieden(領土と引き換えの平和)という表現がランクインしました。
この言葉は、ウクライナが領土の損失を受け入れることで平和を実現するという和平交渉の論点を表しています。
「平和取引(Friedensdeal)」や「降伏平和(Kapitulationsfrieden)」といった表現も公共の議論で見られますが、専門家や政治家の間では、領土の割譲だけでは持続的な平和の保証にはならないと広く考えられているそうです。

4位以下のランキングは次の言葉が選ばれました。
第4位 Sondervermögen:「特別基金」
ドイツの壊滅的なインフラを修復するため、2025年3月に設立された総額5000億ユーロの巨大投資プログラムのこと。
道路、橋、鉄道、学校、デジタル化などに今後12年間かけて投資されます。
通常の国家予算とは別枠で、借金をして資金を調達する仕組みであるため、「債務を美化する言葉だ」という批判もあり、実際に研究機関の調査では、約半分が本来の目的以外に使われているという指摘もあります。
第5位 Wehrdienst-Lotto:「兵役くじ」
兵役制度の再導入をめぐる議論の中で、連邦軍への志願者数が不足した場合、将来的には兵役義務者を抽選で決定する可能性が議論されています。
第6位 Drohnisierung:「ドローン化」
西側諸国では、軍事施設上空でのドローン目撃、つまりスパイ活動に使われると思われるドローン飛行の観測が著しく増加しています。
ドローン戦争に備えてNATOは軍備を強化する必要があり、その半ば皮肉を込めた造語です。
第7位 Strafzölle:「懲罰関税」
トランプ大統領が貿易収支の均衡を図るために好む措置の一つ。
EUは不利な関税取引に同意することで、貿易戦争の危険を当面回避しました。
第8位 Wohlstandsverlust:「豊かさの喪失」
ドイツ経済は長期的な景気後退に陥っています。
経済界と政界はすでに豊かさの喪失を警告しており、この懸念は国民の間でも広がっています。
第9位 klimamüde:「気候疲れ」
気候変動への関心そのものが消えたわけではありませんが、継続的な危機や経済的プレッシャーの中で、気候保護を最優先課題として捉える人が減少しています。
調査では、「自分に責任がある」と考える人が、2021年の69%から2025年には53%に減少し、半数が「今は他の問題があって、個人的に気候保護に気を配る余裕がない」と回答しています。
2025年のドイツ社会の現実を映し出す言葉として流行語リストに入りました。
第10位 Vertiktokung:「TikTok化」
特に若い人々が、いわゆるソーシャルメディアから情報や意見をますます得ているという現象。
短編動画プラットフォームTikTokの例を通じて、ドイツ語協会はこの傾向を指摘しています。
いかがでしたか。
AIの台頭、トランプ大統領の影響、ウクライナ戦争の長期化、経済不安、そして気候変動への関心の低下など、2025年のドイツ社会が直面した複雑な課題が如実に表れています。
特に第1位のKI-Äraは、2023年のKI-Boom、2024年のgenerative Wendeに続く、AIをめぐる3年連続のランクインとなり、この技術が社会に与えた影響の大きさを物語っています。
2026年はどのような流行語が選出されるのでしょうか。
少しでも明るい話題が増えますように。
参考HP
Wörter des Jahres 2025 Gesellschaft für deutsche Sprache:https://gfds.de/worter-des-jahres-2025/

これまで【日本人からみると不思議なドイツ事情】、【ものづくりの国ドイツ】を担当してまいりました、HHです。京都生まれ。ドイツ・フライブルク大学卒。留学中に得た経験をもとに、独自のアンテナを張って様々な側面からみたドイツをお伝えしていきたいと思います!皆さまのドイツ文化に関する興味・関心、ブログの感想もぜひ聞かせて下さいね。

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