ドイツで森林浴 – Waldbaden

 

ドイツ人にも通じる日本語には、「ハラキリ」、「ゲイシャ」、「アニメ」、「ラーメン」等など、特に近年の日本食やアニメブームのお陰でだいぶ増えてきていますが、「シンリンヨク」というボキャブラリーを知っているドイツ人も稀にいらっしゃいます。

実は、ドイツでは日本発祥の森林浴がひそかな健康ブームとなっているんです。

 

 

森林浴(Waldbaden)のすすめ

 

森林浴はドイツ語では、「Waldbaden」と直訳されています。

森林浴とは、森林内を歩いて清浄な空気に浸り、精神的にリラックスすることを目的に、森林に入ることです。

森林に入って新鮮な空気を吸い込み、その香気を浴びることで健康面でのメリットがあるとされています。

日本語の「森林浴」は、1982年に、当時の林野庁長官が「温泉浴」「海水浴」「日光浴」などになぞらえて考案した和製漢語だそうです。

2017年にはアメリカで 「shinrin yoku」が商標登録され、2018年になってヨーロッパとアメリカを中心として「Shinrin-yoku ブーム」が起きました。

ドイツでも2020年のコロナ禍において、感染リスクが少なく安全な余暇の過ごし方としてハイキングや森林浴が大きな注目を集めました。

ドイツは、国土の約三分の一が森林で覆われているので、もともと森 はドイツ人にとって身近な存在です。

ハイキングコースも非常に充実している国ですが、日本発祥のリクリエーションである「シンリンヨク」には、東洋の神秘的な魅力があるようで、ドイツでも森林浴ファンは年々増加中

森林浴専門ガイドによるツアーも数多く開催されています。

森林浴の魅力は、なんといっても「特別決まったルールがないこと」、ただ「自分の感覚を研ぎ澄まして森を感じること」、というシンプルさに尽きるかもしれません。森林浴は、しんどい登山とは異なり、目的を設定する必要もなく、移動距離も関係ありません。

森林の中を歩いてもいいですし、ピクニックシートを広げてただ座っているだけでもいい。

森林の中で、湿り気のある木々の香りを鼻で感じ取り、森の静寂さや葉っぱがカサカサと風に揺れる音を耳で聞きとり、苔や樹皮を手に触ってその感触を確かめ、四季毎に異なる木々の色彩や、時間ごとに変化する光や影を目で捉える―森林浴はまさに自然と一体化することです。

可能であれば定期的に約二時間程度、森を感じ取ることを意識して森林浴を実践すると心身共に効果的であるそうです。

 

 

有給特別休暇で森林浴セミナーへの参加も可能

 

ドイツにはBildungsurlaubといって、従業員が専門能力開発や語学学習などの教育訓練を受けるために、法律に基づいて取得できる有給の特別休暇があります。

これは労働者の権利であり、雇用主は正当な理由がなければ拒否できず、休暇中も給与が支払われます。

連邦州ごとにルールが異なりますが、一般的には年5日程度、専門スキル向上や語学力アップのために使われ、自己啓発やキャリアアップを支援する制度となっています。

森林浴に興味がある人は、このBildungsurlaub制度を利用して、森林浴のセミナーに参加することも可能です。

数日間に及ぶ森林浴セミナーでは、森林浴専門ガイドの指導のもとで森林浴を実践し、心身共にリフレッシュし、ストレスを軽減させる方法を学ぶことで今後の職業生活をより豊かにする目的があります。

また子供と一緒に参加する森林浴コースもあるようで、これは子供たちにとって自然について学べる良い機会になるだけでなく、森の中で親子水入らずの時間を過ごせるため、親も子も成長できる貴重な経験にもなりますね!

さらには、飼い犬との森林浴コースまであるんです!

これには、私も自分の犬と一緒に参加しました。

私の犬は狩猟犬なので、森の中の散歩となると、常にイノシシや鹿の気配をすぐに感じ取って興奮してしまうのですが、一緒に森林浴を実践することで「そうか、森はリラックスするところでもあるだなぁ。」と愛犬も徐々に理解してくれるようになりました。

誰にとってもメリットの大きい森林浴。

たまには、森林の中でただ森をシンプルに楽しんでみませんか?

 


参考ウェブサイト

https://www.ndr.de/ratgeber/gesundheit/Waldbaden-Wie-Baeume-uns-gesund-machen,waldbaden116.html

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A3%AE%E6%9E%97%E6%B5%B4

https://waldbaden-akademie.com/

 

Comments

(4 Comments)

  • Rockin' KAT-TON

    アカデミー講師の加藤です!
    JOJOさんのブログを読んで、20年ほど前に、長野県の、とある自治体の第三セクターの宿泊施設が実施したドイツ視察旅行を思い出しました。視察目的は、同施設が周辺の森で実施予定の「夏の森林浴ツアー」の準備のためにKur先進国・ドイツの実情を調査するためで、同施設の施設長が私の友人だったこともあって、私もドイツ語サポートとして同行することになりました。行き先は、ドイツ有数のスパリゾート・バートヴェリスホーフェンBad WörishofenとフュッセンFüssenでした。当地では、クナイプ療法(Kneipp-Heilverfahren)の一環として森の中で冷水の中を裸足で歩いたり、木片の上を裸足で歩いたりして身体に刺激を与えて心身を活性化させる療法が行われていました。

    視察中、案内のドイツ人相手に「森林浴」をそのまま「Waldbaden」と表現してもドイツ人には全く通じずキョトンとされ、そのときに私は初めて「森林浴」なる言葉が日本発祥の言葉であり、ドイツ語には相当する概念がないことを知りました。それから20年経った今、JOJOさんの記事を読んで「Waldbaden」なる日本語由来の翻訳語がドイツでも通用するようになっていることを知り、非常に驚いたと同時に何か感慨深いものを感じました。翻訳語が肉付けされて異国の文化に定着した1例で、素晴らしいことだと思います。

    もっとも、私が視察した当時、ドイツではクナイプ療法に対して全面的に国が支援していて、療養中の費用はほぼ健康保険でほぼカバーできるし、しかも数週間の有給休暇も保証されていました。この文化は残念ながら日本には持ち込まれなかったようですね。

  • JOJO

    加藤先生、コメントをありがとうございます。20年前にドイツに「森林浴」視察ツアーに同行された経験がおありなんですね!お陰様で当時は珍しかった「Waldbaden」という言葉は、ドイツに浸透しつつあります。日本発祥の「Waldbaden」は東洋的なイメージも相まって、ひそかなブームとなっています。確かにクナイプ療法の一環としてのBarfußpfad(裸足で水の中を歩いたり、木片の上を歩ける散歩道)はドイツ全国に沢山あり、特に小さな子供がいる家族連れに人気があります。が、わざわざそこに行く必要があり、散歩道を「歩かねばならない」点が少々面倒くさいです。。。森林浴は近所の森に行けばすぐ実践できるし、ただボーっとしているだけでいい、その気軽さと緩さが人気の秘訣なんでしょうね。

  • Ken

    初コメント失礼します。
    「Waldbaden」や「Shinrin yoku」という単語をウィーンでは聞いたことがなかったので、同じドイツ語圏でも違う発見があり面白く読ませて頂きました。「Kur」という温泉地で療養するという制度があり、お医者さんに「Kur」をする必要と判断をされると3週間ほど有給とは別に休みをもらって、温泉地で療養することができます。日本よりも自然に触れてリフレッシュをするという感覚が強いのかも知れませんね。

  • JOJO

    KENさん、コメントありがとうございます!オーストリア同様、ドイツにも健康保険が適用されるKUR制度があります。私が羨ましいと思ったのは、Mutter-Kind-Kurといって、子育て中のパパやママが育児ストレスや慢性の病気等により休養が必要であると医師が診断した場合は、子供と一緒に北海やバルト海にある保養所に3週間静養に行けることです。なので、小さいお子さんがいるママさん達は「どうにかして医師の診断書がもらえないものか」と皆色々策を練っていましたね~(笑)。
    オーストリアにも温泉地があるのですね。日本の温泉事情とは随分異なるかと思うので、そちらも興味深いです。

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