„Birne“ の発音は本当につづり通り?

皆様こんにちは。南ヨーロッパでは40度を超えた地域もあり、ドイツもしばらく暑い日が続きましたが、急に気温が下がりお天気も不安定になりました。

気候変動をひしひしと感じます。日本は猛暑が続くようですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて、今回のテーマは発音に関するちょっとしたお話をしたいと思います。

ドイツ語を学習する際に「ドイツ語は発音のルールも比較的固定されるし、例外もないから学びやすい」と言われることがあるかと思います。

実際、英語やフランス語に比べればドイツ語のスペルと発音の関係性は比較的学びやすく、覚えやすいものが多いというのが、私が初学者の頃に感じたものでした。

そんな風に感じながら学習歴を数年重ね、当時タンデムパートナーであった夫とタンデムをしていた学生時代。

とある単語の発音について笑われるという出来事がありました。それが„Birne“の発音だったのです。

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ロマンシュ語ってどんな言語?

 

本ブログでは今まで何度かにわたってスイスにドイツ語、フランス語、イタリア語およびロマンシュ語という4つの公用語があることに触れてきました。

日本の皆様からすれば公用語がいくつもあること自体が既に不思議な状況であるだけでなく、その内訳についても違和感を抱く人が少なくありません。

というのも、ドイツ語、フランス語、イタリア語に関してはメジャーな言語であることからよくご存知である一方、4カ国語目のロマンシュ語は殆どの人がまず耳にすることのない詳細不明の言語だからです。

そのため、読者の中にも過去の記事で登場した際に「ロマンシュ語ってそもそも何?」と、思った方が多いのではないでしょうか?

そこで、今回はスイスの第4公用語でありながらも、世界の大半にとって得体の知れないロマンシュ語について色々とご説明させていただきます。

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発音のバリエーション

 

前回はお休みを頂きました。南ドイツはまだまだところどころ寒い日もありますが、それでも春に向かっているような空気を感じます。季節の変わり目ではありますが皆様いかがお過ごしでしょうか。

今回は発音にフォーカスしたテーマでお送りしたいと思います。

突然マニアックに聞こえるかもしれない質問からスタートしますが、皆様にはドイツ語に限らず好きな発音はありますか?(好き、というと抽象的すぎるかもしれませんが。)

「この発音は自分にとってはドイツ語らしく聞こえて好き」だったり、「フランス語の多様な鼻音が好き」だったり、「好き」の判断基準は様々だと思います。

私がとりわけドイツ語の中で好き、というか非常に興味を強く感じる発音はタイトルにもあるとおり、例えばドイツ語の一人称単数主格のichや、形容詞schwierig、前置詞のdurchなどに見られる、ドイツ語のつづりで言えば“gまたは“chの発音です。

そもそもヨーロッパの言語の中に見られる各口蓋垂の発音分布と各言語間における関係性は、私が大学で音声学や音韻論を学んだ時にそのバリエーションや推移についてロジカルだなあと感じることが多々ありました。

そして特にドイツ語における発音に対する関心がとりわけ強まり、日々観察するようになったのが、ドイツで生活を始めてから、もっと言えば南ドイツに引っ越してきてからでした。

今日は関連する発音のバリエーションについて取り上げたいと思います。

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Lawine, Föhn, Schuldenbremse, Heimweh
スイスドイツ語講座その17:他言語にも導入されたスイス生まれの言葉

 

今までのスイスドイツ語講座では、主に標準ドイツ語に対してスイスドイツ語にはどのような違いがあるのかを示してきたことが多かったかと思います。

スイスドイツ語はアレマン語に属するドイツ語の方言のひとつであることから、標準ドイツ語を基に異なる点をご説明するのは決して間違っていません。

しかし、スイスドイツ語は独自の発展を遂げたドイツ語のバリエーションであるため、標準ドイツ語が必ずしもその語源となっている訳ではないのです。

例を挙げるとすれば、過去の記事でも何度か登場したフランス語を始め、他の言語に由来する表現などがありましたよね?

それ以外にも、スイスはドイツ語圏に含まれるものの、地理、地質および気候といった自然はもちろんのこと、文化や政治においてもドイツやオーストリアとは異なる点が多いです。

それらの要素も長い歴史の中で言語に影響を与えてきましたので、スイスドイツ語だけに存在し、標準ドイツ語にはない独自の単語や表現も少なくありません。

そして、その一部はなんと時間の経過とともに標準ドイツ語をはじめ、様々な言語にもわたりました。

したがって、今回はそんなスイス発祥で、いわゆる「逆輸入版」としてドイツ語圏全域やその他の言語にまで広がった言葉をご紹介させていただきます。

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ドイツ語の付加疑問詞

こんにちは。皆様素敵なクリスマスを過ごされたでしょうか?

このブログも今年の夏に書き始めて第四回目を迎えることとなりました。

私のドイツ語をめぐる経験談を、専門であるドイツ語諸言語学の観点から専門的になりすぎないくらいに記事として書き、興味をお持ちの皆様にこうしてお伝えするのはとても楽しく、読んでくださった知り合いの方々からも「これからも楽しみにしているよ!」と、たくさんの温かい声をかけていただいております。本当に励みになります。ありがとうございます。

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2024年ドイツの流行語大賞Das Wort des Jahres 2024

あけましておめでとうございます、2025年の幕開けです。

毎年恒例となって参りましたが、今年もまずはドイツ語協会(GfdS)が選んだ2024年のドイツの流行語大賞についてお伝えします。(2023年の流行語大賞2022年の流行語大賞)2024年もドイツは政治的にも社会的にも多くの課題を抱えていました。それは流行語にも表れています。

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二重完了形はいつの話?

 

こんにちは。第三回目となる今回もドイツ語の多様性、とりわけ口語の豊かさの一つである二重完了形(ドイツ語:Doppelperfekt, Ultra-Perfekt)をテーマに、私の経験を交えてお伝えしたいと思います。

 

ドイツ語学習者の皆さんの多くは、ドイツ語の文法のうち時制について学んだ際に、「ドイツ語では、過去のことを話す時には現在完了形で表現する」と言われているのではないでしょうか。

私個人としては少々一般化しすぎた言い方なのではないか、と思うところはあり、過去形の出番が全くないわけではないので、是非学習者の皆様には過去形も一緒に覚えてもらいたいと願っているのですが、確かにドイツ人の方と「昨日こんなことがあってさー」なんていうおしゃべりをする際に、現在完了形の出番が非常に多いのは事実です。

逆に言えば、学習者である私たちが、この現在完了形をマスターすることができれば、ネイティブの人との会話の幅が広がり、ドイツ語を使う楽しみが増える、そんな文法事項であるとも言えるでしょう。

私がドイツで生活を始めて数ヶ月が経った頃、ドイツ語での会話には完全に慣れ、文法を気にしながら話すというよりは、むしろ会話の場や文脈に適した語彙選びの方に気が向くようになっていくという時期を迎えました。

その頃の私は「文法事項はもう問題ないし、分からないことはなくなったな」と、文法に関しては大きな自信を持っていました。

しかし、ドイツへ来て初めて聞いた上に、相当な頻度で会話の中に見られる文法事項を前にその自信は打ち砕かれます。

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標準ドイツ語と南のドイツ語の微妙な違い

 

こんにちは。

第二回目となる今回は「標準ドイツ語と南のドイツ語の違い」というタイトルでお送りしますが、特に私たちが日本の大学や語学学校で学ぶいわゆる標準ドイツ語と少し異なる南ドイツの表現をテーマにお届けしたいと思います。

なぜこれをテーマにしようと思ったかというと、私が南ドイツへ引っ越してきて初めて見かける単語はもちろん面白いのですが、「あれ?私が今まで習って使ってきた標準ドイツ語と微妙に違うかもしれない…」「もしかして私が間違えて学んでいたのかな?」と感じ、調べてみるとそれは南の方で使われる地域のバリエーションだったということが分かることがたびたびあるからです。

そしてこのような経験から、自分の持っている知識をさらに深めることができる喜びに触れ、言語を学ぶことの奥深さを実感できます

今回は、標準ドイツ語とは微妙に違う南ドイツのドイツ語について具体的に例を挙げ、標準ドイツ語以外のドイツ語に触れることの楽しみを共有することができればと思います。

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通りの名前から感じるドイツ語の地域多様性

 

初めまして。

7月から2ヶ月に一度くらいのペースで「ドイツ語と日本語の観察記」と題したこのブログを執筆させていただくことになりましたTellerと申します。

ここではタイトル名のとおり、ドイツ語と日本語を使いドイツで生活する中で特に関心を持ち、観察してきた、あるいは現在観察中のことばに関するテーマを取り上げ、読者の皆様にお伝えできればと考えています。

日本語の話をする際は、ドイツ語と比較しながら記事を書いていきたいと思っているので、ドイツ語の話もしつつ私たちの母語である日本語についても読者の皆様と一緒に考えていけたら嬉しいです。

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スイスドイツ語講座その14:地名の呼び方

 

皆様は地名の呼び方を間違えたという経験をされたことはございますか?

日本で生活していれば、呼び方以前に地名の読み方が分からず困ってしまうことが多々あると思います。

特に北海道では当て字が使用されている地名の割合が多く、既に知っている名前でなければ正しく読むことがほぼ不可能ですが、比較的簡単な文字しか使わない「三田」であっても「ミタ」なのか「サンダ」なのか見分けが付きません。

さらに、私自身は沖縄県にある慶良間諸島国立公園にある阿嘉島の北浜ビーチを、実は「ニシハマビーチ」と読むことを知った際には、ただただ大きなはてなマークが脳みそを埋め尽くしました。

音読みと訓読みが混同していたり、当て字が用いられていたりする場合でも何らかの関係性が見出せますが、「北」という方角を「西」に変えられたら流石に理解に苦しみます。

とはいえ、よくよく考えればスイスの地名に関しても文字通りの読み方をしないケースは、意外と頻繁に見受けられるので、スイス人が日本の地名をとやかく言う筋合いはありません。

そこで、今回はそんな少し理不尽でありながらも日常で度々目にする地名の呼び方問題についてのお話をさせていただきたいと思います。

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