Grüß Gott!オーストリアのご紹介と挨拶の言葉

ドイツ語と言えば、ドイツだけではないですね。ドイツとスイスのほかに、ドイツ語が使われている国がもう一つありますよ。それはオーストリアです。

皆様、はじめまして!今回からオーストリアについてのブログを担当するSchmankerlです。オーストリのウィーンに生まれ育ち、ウィーン大学で勉強しながら日本に引っ越しました。自然の中で過ごすのが好きなので、登山や散歩が趣味です。好きな食べ物はお寿司と果物。オーストリアに関するネタ、たとえば言語、社会、文化、自然等の面白い事やおかしいところをご紹介させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

オーストリアはどういうところ?

 

まず今回はオーストリアという国と挨拶の言葉をご紹介したいと思います。

皆様はオーストリアと聞くと何のイメージが浮かび上がるでしょうか?

まず基本的な情報をご紹介いたします。オーストリアはヨーロッパの真中にあり、スイス、リヒテンシュタイン、ドイツ、チェコ、スロバキア、ハンガリー、スロベニア、イタリアの8ヶ国と隣接します。面積は83,883km2 (Statistik Austria) で北海道と同じくらい(Hokkaido Government)であり、人口は約890万人(Statistik Austria)で東京都より少なく、割と小さい国だと言えます。

ザルツカンマーグート地域にあるクリッペンシュタイン
ザルツカンマーグート地域にあるクリッペンシュタイン

そんな小さい国でも色んな景色があります。西はスイスのようにアルプス山脈に形作られています。オーストリアアルプスと言えば、サウンド・オブ・ミュージックをイメージしませんか?オーストリア本国では実はそれほど人気があった映画ではないのですが、日本でオーストリアの印象を聞くと必ずサウンド・オブ・ミュージックと言われます(Uta Gruenberger)。一回アルプスについて話した時、日本人の友人が大きい声で突然「エーデルワイス」を歌い出しました。サウンド・オブ・ミュージックの歌をあまり知らない私はとても驚きました。

アルプスのイメージが強くても、オーストリアは山だけではないです。東方に行けば行くほど高い山は低い丘に変わります。オーストリアの東方はワインの葡萄園の景色が広がります。

シュタイアーマルク州の葡萄園
シュタイアーマルク州の葡萄園

Grüß Gott, Hallo und Servus 挨拶語

 

ドイツ語を勉強している人は大抵「グーテン・ターク」(Guten Tag ) や 「ハロー」(Hallo)の挨拶を習います。もちろんオーストリアでもこの挨拶は使えますが、やはりオーストリアドイツ語の挨拶語もあります。ちなみに、スイスで話されているドイツ語は「Schweizerdeutsch」という呼称がありますが、オーストリアドイツ語に対して同じ様な表現はありません。

では、オーストリアではどう挨拶すればいいでしょうか?

オーストリアのどこにいるか、または相手と親しいか親しくないかで違う言葉を使います。ドイツの「グーテン・ターク」に最も近い一般的な挨拶は「グリュース・ゴット」(Grüß Gott)です。元々「神のご加護を」という意味に基づいている挨拶ですが、親しくない人や良く知らない人に対して丁寧な挨拶としてオーストリアのどこでも使えます。

知り合いや家族等の親しい間柄は前記「ハロー」(Hallo)または「ゼアブス」(Servus)がよく使われています。しかし「ハロー」の使い方には気を付けないといけないと思います。ウィーンにいる時は「ハロー」と言っても構わないですが、地方にいる時や年上の人に挨拶する時は「ハロー」を使わない方がいいと思います。地方に住んでいた祖父母の周りに「ハロー」を使ったら、必ず怒られます。私も「ハロー」はウィーンに住んでいる家族と友人にしか使いません。逆に「ゼアブス」はウィーンでも地方でも親しい挨拶として使われています。しかも「ゼアブス」は送別の時でも使えますので、かなり便利な言葉だと思います。

ただし地方で最も耳にする挨拶語は「グリアス・ディ」(Griaß Di) 又は「グリアス・アイヒ」(Griaß Eich)です。「グリアス・ディ」は一人に対して、「グリアス・アイヒ」は二人から数人のグループに対して使います。オーストリアの地方では基本的に丁寧語をそこまで使わないので、例えばお店に入る時、店員に「グリアス・ディ」と挨拶してもおかしくないです。ところで、登山では標高1000メートルを超えたら、誰でも形式張らずに気軽に話すことが推奨されています。

送別についても色々な言葉があります。ドイツと同様の「アウフビーダーゼーエン」(Auf Wiedersehen ) 少し短い形で「ビーダーゼーエン」(Wiedersehen)は地方でも都市でも使えます。友達に対してはドイツの「チュウッス」(Tschüss)もウィーンでよく聴きますが、「ハロー」のようにウィーン以外では使わない方がいいと思います。ウィーンで「チュウッス」(Tschüss)と同様に使えるウィーン方言の言葉は「ババ」(Baba)です。地方では「グリアス・ディ」や「グリアス・アイヒ」の挨拶語に対応する送別の言葉として、「フィアト ディ」(Pfiat Di) や「フィアト アイヒ」 (Pfiat Eich)などがあります。

挨拶として頬にキスをしますか?

 

最後に、挨拶する時のジェスチャーについてお話しましょう。現在の新型コロナの状況では日本の様にオーストリアでも相手になるべく触らずに挨拶します。ニュースで握手の代わりに肘を打ち当てる欧米の政治家を見ましたでしょうか。やはり相手に触るのは挨拶の重要なところみたいですね。皆様は握手をご存知だと思いますが、挨拶のキスはどうでしょうか。挨拶のキスはオーストリアドイツ語で「ブシ」(Bussi)と言います。「ブシ」には「キス」というよりは「チュー」という翻訳の方が正しいでしょう。

Integralが2017年に行った世論調査によると、オーストリアでは挨拶の際に63%の人が友人にキスをします。それに対してドイツでは42%の人が友人に挨拶のキスをするそうです(Integral) 。確かにオーストリアでは家族や友人との挨拶にキスをする人が多いと言えます。挨拶のキスのルールもあります。ます左の方、つまり相手の右の頬、をキスしてから、右の方に、つまり相手の左の頬にキスします。そして実はこのとき実際には相手の頬にキスはしないのです。お互いの頬が少し触るか触れないかの微妙な動きです。その時、擬似的なキス音を発する人もいます。キスでは相手に愛情を伝えますので、挨拶のたびにオーストリア人は必ずキスをします。

ではまたお会いしましょう!

Pfiat Eich!

Schmankerl


参加文

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(1 Comment)

  • 新たにオーストリアブログの配信決定!&ブログ更新スケジュールの変更のお知らせ – トランスユーロアカデミー

    […] なお、Schmankerlさんのブログ「ちょっと気になるオーストリア」の第1弾はすでに公開されていますので、ちょっと気になる方は是非チェック…。次回の公開は7月22日(木)を予定しています。また、これに伴い7月22日(木)以降の木曜日のブログ更新スケジュールを変更いたします。 […]

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