ドイツの中世祭り Mittelaltermarkt

 

欧米諸国、主に英米圏の各地で開催されている中世祭りをご存じですか?

英語圏では、ルネッサンス・フェア(Renaissance fair)、ドイツ語圏ではMittelaltermarktと呼ばれており、中世やルネッサンス期をモチーフにして当時を再現したお祭りのことを言います。

ドイツでは1980年代に始まり、2010年代のピーク時には国内で1000以上も開催されてきました。

日本でも戦国時代の武将にちなんだお祭りは津々浦々で開催されており、歴史をモチーフにした文化的イベントは世界中で親しまれています。

 

 

ヨーロッパ中世を再現!

 

ドイツの中世祭りは、年間を通して行われており、初夏から秋にかけて多く開催されています。

人々はコスプレさながらに中世の衣装をまとい、市場には中世の工芸品や装飾品、剣や弓などを扱う武器屋などの屋台が出店され、中世の鍛冶職人を再現した実演や剣術などのパフォーマンスといった様々な催し物が開催され、騎士団のパレードや馬上槍試合は一番の見所です。

今年2023年にドイツ国内で行われる中世祭りは、実に706カ所の町々で開催される予定です(Marktkalender2023調べ)。

開催されるのは主に、ライン川の流れるラインラント=プファルツ州からノルトライン=ヴェストファーレン州ですが、この地方はライン川沿いに古城が多いため、祭りを演出するには最適のようです。

 

 

映画さながらの馬上槍試合 カルテンベルク騎士祭り

 

さて、ドイツ国内で最も有名な中世祭りといえば、毎年7月半ばからの毎週末にバイエルン州のミュンヘン郊外の小さな町、ゲルテンベルフで行われる『カルテンベルクの騎士祭り(Kaltenberger Ritterturnier)』で、その規模は世界最大級ともいわれています。

カルテンベルク城は1292年に築城されていますが、騎士祭りは1980年、かつてのバイエルン王国のルートヴィヒ3世の孫にあたるルイポルト王子(Luitpold Rupprecht Heinrich Prinz von Bayern)が、イギリス滞在中に見聞した馬上槍試合大会に感動し、自身の王朝であるヴィッテルスバッハ王朝800周年の祝祭のためにイギリス人騎士を集めて開催したのがはじまりです。

 

今日、特設アリーナで行われるメインの馬上槍試合は、映画の世界と思わせるほどの大迫力ですが、それもそのはず。この馬上槍試合は、映画作品にも起用されているフランスのプロのスタント集団による上演なのです。

世界最大級の名は伊達ではなく、訪れる観客は約12万人にも及び、中世ファンのみならず、多くの人々を惹きつけてやまないイベントのようです。

 

このように様々な規模で開催されている中世祭りですが、祭りの中で見られる諸々の衣装や表現については史実と一致しないと指摘する声もあがっています。

気軽に“中世らしさ”を楽しむ人々がいる一方で、厳密な時代考証を求める人々もおり、来訪客にも様々なスタンスがあるようです。

とはいえ、中世は現代人のロマン。中世への思いを馳せる人々にしばし時間旅行させてくれる中世祭りは、大人子供問わずドイツでは人気のイベントのようです。

 


参考HP

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