ウィーンで学生生活

 

こんにちは、『オーストリア留学日記』を担当しているmona_tです。

第3回は、大学留学中の生活って実際どういうもの?という疑問にお答えするべく、学生のリアルな平日、休日の過ごし方をレポートします。

 

学生の平日

午前(授業)

 

この日は、9時45分から13時までの授業がありました。

地下鉄に乗ってHerrengasse駅まで行き、ウィーンで最も有名なカフェの1つ、カフェツェントラル(Café Central)を通り過ぎて10分ほど歩きます。

授業はトータルで3時間15分と、日本の通常の授業に比べると少し長め。途中で10分ほどの休憩があり、学生のもぐもぐタイムが始まります。

オーストリアの学生がどんなスナックを食べるのかここで少しご紹介すると、まず王道はバナナやリンゴなどのヘルシー系

特にオーストリアのリンゴは日本のリンゴよりも小ぶりで持ち歩きにも丸かじりにもぴったりです。

それから甘い系が好きなら、やっぱりManner社のウエハース。ピンク色のパッケージが目印のこのお菓子も、オーストリアの学生ならば所有率高め。学内の自動販売機でも必ず売っています。

そしてもっとがっつりお腹を満たしたい学生は、授業の前にスーパーやパン屋さんで調達したヴルストゼンメル(Wurstsemmel

オーストリアの国民食である白パン、カイザーゼンメルにハムやソーセージを挟んだだけのこのシンプルなパンも、教室内の誰か必ず1人は食べています。

ちなみにオーストリアのスタンダード紙が出した最近の記事によると、ヴルストゼンメルがオーストリアで一番人気のお昼のスナック(Mittagssnack)であることが調査で明らかになったそうです。

ついつい食べ物の話が長くなりましたが、まあ実際の所は、それまでの授業内容を復習して追いつくのにみんな精一杯。

のんびり軽食を食べる余裕がないこともままあります。かく言う私も、この日は結局お腹をすかせたまま後半に突入・・。

 

ウィーン大学の授業形態は主に3種類あり、1つ目は講義(Vorlesung)型の授業

大きな教室で行われることが多く、講師が入れ替わるリレー形式の講義もあります。

出席がマストではないため、毎回来る真面目な学生からごくたまにしか顔を出さない気ままな学生まで、出席している学生の顔ぶれは様々。

ただし授業の進行は早く、学期末の試験に向けて各自予習・復習をする必要があります。

授業時間は基本的に1時間半と、日本の大学の一般的な授業時間と同じです。

2つ目はゼミ(Seminar)形式の授業。こちらは教授によって評価方法も変わり、出席、授業ごとの課題、授業内発表、期末レポートなどが組み合わされます。

授業時間は長めのものが多く、回を重ねるごとに脱落する学生が出て最後にはかなり少数精鋭になることも。

授業のための準備や課題などは大変ですが、教授や他の学生とコミュニケーションを取りながら学ぶことができるのが最大の良さ。

3つ目は、実習(Übung)型の授業。これは例えば課外活動を含むものを指します。

ちなみにウィーン大学の日本学(Japanologie)のÜbung型の授業の中には、実際に日本の地方に赴いてプロジェクトを行う現地学習もあるようです。

日本の大学との大きな違いとして、ヨーロッパの学生は個人個人でかなりバラバラな時間割りで学期を過ごします。

卒業時期(論文執筆時期)も様々なので、学年という意識はあまり強くなく、何セメスター(学期)目かという数え方をします。

同時に入学して全く同じ単位を取り、同時期に卒業する・・というパターンが多い日本とは違い、より自分のペースと希望に合わせて卒業までの過ごし方を組み立てるイメージでしょうか。

他にも違いとしては、日本のように1日に何コマも授業が詰まっているということは少ないように思います。

先ほども紹介したように講義型の授業は出席点がなく、単位を取得するには期末試験をパスするしかありません。

またゼミ型の授業の期末レポートは20ページから30ページの“論文”を課されることがほとんどなので、長期休暇の間中かけて完成させる大仕事。

そのため学期中の1日のコマ数は少なめですが、その代わり学期末の試験やレポートに向けてきちんと勉強する必要があります。

 

午後(自習)

 

先ほどの授業で課題が出てしまったので、授業の後は持ってきたお昼を食べ、またコンピューターに向かいます。

勉強場所は様々ですが、私はPC室から各図書館、開放的なスタディスペース、中庭などその都度目的と気分に合わせて選んでいます。

特に天気の良い日の中庭には芝生に座ってノートパソコンを広げている学生や寝そべって本を読んでいる学生がたくさんいて、とにかく外に出て日光を浴びるヨーロッパ・・を体験できます。

勉強は1人ですることもあれば、友人と予定を合わせて一緒にすることもあります。ゼミ形式の授業に参加する良さは、なんと言っても互いに助け合えること。

ウィーン大学には留学生専用のプログラムなどはなく、容赦なく正規生と同じ授業を受けることになるので、(それが魅力でもあります)様々な学生と切磋琢磨しながら、学期を乗り越えなくてはなりません。

課題が終わったら、明日の授業の予習として事前文献を読みます。

講義型の授業にも基本的に事前または事後学習文献が指定され、それが期末試験の内容にもなるので、コンスタントに勉強を続ける必要があります。

またヨーロッパの大学の春休み・夏休みは約3ヶ月と長いですが、この期間も「休暇」という名前ではなく、「講義がない期間(Vorlesungsfreie Zeit)」とされているので、まさに勉学に休みなし、というところでしょうか。

 

大学本館の中庭。日差しが強い日には、Tシャツを脱いで日光浴している学生もいたりとかなり自由・・

 

学生のコミュニティサークル活動

 

この日の夕方から夜にかけては大学の本館でオーケストラの練習がありました。

練習は3時間半とこちらも長丁場。来月のコンサートに向けて、練習にも熱が入ります。

ウィーン大学には様々な運動系・文化系のコミュニティサークルがあります。

私が参加するオーケストラはウィーン大生だけでなく他大学の学生やすでに卒業した元学生、一般の人も含む大学の枠を越えたコミュニティです。今学期の活動内容は、ウィーン大学の創立記念日に合わせて行われたセミナーでの演奏、大学の大ホールでの演奏会、ウィーン市内の職業系学校の改装記念式典を祝うコンサート、市内の教会でのレクイエムコンサートなど、場所も内容も様々。

私自身は参加しませんが、秋にはインドへの演奏旅行も予定しているなど、非常に精力的に活動しています。

個人的に素晴らしいと感じるのは、参加に費用がかからないこと。日本では大学の部活動やサークル活動のためにアルバイトをする学生も多いと思いますが、こちらでは大学からの援助が非常に厚いのを感じます。さすがは音楽の都ウィーン!

大学の大ホールにて2日間の日程で行った演奏会。演目は、「英雄の生涯」(Heldenleben)

 

 

学生の週末

 

5月最後の週末は、聖霊降臨祭(Pfingsten)の月曜日を含む3連休でした。

大学は火曜日も講義なしとしていたので実質4連休に。多くの学生がオーストリア国内の家族のもとに帰省したり、近隣のヨーロッパ都市に小旅行をしたりしていました。

ウィーンは近隣の都市へのアクセスが非常に良く、例えばブダペストやプラハまではバスで3時間以内、ブラチスラバは列車で1時間ほど。そのため各都市から学生が集まっています。

ちなみに私はウィーンに残って春の終わりを楽しみました。ドナウ川沿いの森をレンタルサイクルで廻り、プラーター(Prater)を散歩すると、地元民になった気分をちょっぴり味わえます。

オーストリアでは他の多くのヨーロッパ諸国と同じく、日曜祝日になると基本的にスーパーなどのお店が閉まります。

そのため特に連休前には買い出しを済ませておく必要があり、また大学も基本的には閉まってしまうので、家で勉強することが多くなります。

こちらに来たばかりの頃は日曜日に買い物ができないのを不便に感じていましたが、今では忙しい平日と、のんびり掃除をしたり友人や家族と過ごしたりする日曜日、というメリハリがつくところは良いなとも感じています。

 

レンタルサイクルを利用してドナウ川沿いをサイクリング。市民の憩いとなる場所が街から非常に近いのも、ウィーンの魅力の1つ

 

いかがでしたか?

なかなか想像が付きにくい留学生の生活が少しイメージできたでしょうか。

今回の学生の1日は、あくまでウィーン大学に通う私の個人的な例ですが、これから海外の大学での留学を経験したい!という方や、かつて留学していた!という方にとっても興味深いブログ記事になっていればと思います。

まだまだ学期は続きますので、引き続き精進して参ります!ブログ「オーストリア留学日記」は次回が最終回です。そちらもぜひよろしくお願いいたします。


参考ページ

Wurstsemmel ist nach wie vor der beliebteste Mittagssnack in Österreich – Essen & Trinken – derStandard.at › Lifestyle

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