ドイツの祝祭 カーニバル

 

3月に入り、厳しい寒さも終わりに近づいてきました。この季節のドイツのお祭りといえば、カーニバルです。ドイツでは5番目の季節ともいわれ、人々は盛大に祝います。そして、今日3月5日は、一週間にわたるカーニバルの最終日です。カーニバルといえば、ブラジルに代表されるような賑やかなパレードをイメージしますが、もともとの由来はご存じですか?ドイツの代表的なお祭りのひとつ、カーニバルについて今日はご紹介します。

 

 

 

カーニバルとは?

カーニバルとは、日本語に訳すと謝肉祭といわれ、キリスト教カトリック教徒が多い諸国の民衆の祝祭とされています。キリストの復活を祝う復活祭(イースター)前の40日間を四旬節といい、この期間はキリストの受難を思い断食することで、禁欲生活に入ります。そのため、この四旬節に入る一週間前は、肉食を楽しみ、羽目を外して祭りを楽しむという習慣ができました。これが謝肉祭といわれる所以です。しかし一説によると、起源はキリスト教以前の、ローマ時代の農耕儀礼にまで遡るとも言われており、さらにドイツでは、古来ゲルマン民族の春の到来を祝う風習と、後のキリスト教文化が融合し、独自の様式を築いたともいわれています。このように、カーニバルは長い歴史と伝統を受け継ぎながら変遷を重ねており、同じカーニバルでも、国や地方によって、それぞれの特色がみられます。

 

ラインラント地方のカーニバル、南西ドイツのファスナハト

一般的にはカーニバルとよばれるこの祝祭ですが、実はドイツ国内では地方によって名前が違います。ラインラント地方のデュッセルドルフ、ケルン、マインツではカーニバル(Karneval)、南ドイツ、スイスではファスナハト(Fastnacht)、バイエルン州、チューリンゲン州、ザクセン、ブランデンブルク、オーストリアではファッシング(Fasching)と様々です。

様々な国と地域で祝われる、名前の異なるカーニバルですが、どの地域でも、祭りのハイライトは仮装した人々のパレードです。パレードの際のかけ声や、仮装もそれぞれに特徴があります。ライン川流域のケルン、デュッセルドルフ、マインツのパレードの仮装は、ピエロや水兵、海賊など現代的なコスチュームが多く、大きな山車からお菓子を撒きます。一方、南西ドイツのファスナハトでは、ゲルマン民族の風合いが色濃く残っており、伝統を重んじているという自負があるようです。主に木製の奇妙な仮面や、魔女、悪魔、愚者といったモチーフのものが数多くみられます。こうして見ると、恐ろしい形相の仮面は何だか、日本のなまはげのようにも見えるし、お菓子を撒くパフォーマンスは、節分を思い出させます。

 

 

しかし、謝肉祭の背景があるといえども、宗教的意味合いが薄くなった今日では、カーニバルの後、イースターまでの40日間に断食をする人々は多くありません。とはいえ、アルコール、コーヒー、チョコレートなどを控えて、こころばかりの節制生活を営む人々はいるようです。さて、カーニバル最終日の今日、ドイツ人家庭の食卓を覗いてみたいものですね。

 

 


参考HP


 

\\スイスのカーニバル文化についての記事はこちらからお読みいただけます//

 

Comments

(0 Comments)

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA