ドイツの公衆トイレはなぜ有料?

 

ドイツの公衆トイレは有料です。ご存じでしたか?トイレの入り口にゲートがあり、コインをいれて中に入るシステムもあれば、トイレの入り口付近に小さなテーブルがあり、横には椅子に座った清掃係の方がいて、テーブルの上のお皿にコインを支払う有人のシステムもあります。一律で料金が決まっているわけではないのですが、入場ゲートがあるタイプのものは、およそ70セントから1ユーロに設定されており、有人タイプの場合は、値段設定がない場合もあれば、何セントと書いてある場合もあります。さて、日本にはないシステムですが、ドイツの公衆トイレはなぜ有料なのでしょう。

 

 

 

 

ドイツで公衆トイレの利用が有料化され始めたのは1990年代のことで、それ以前は無料の時代もあったようです。90年代中頃から無料で使えるトイレが少なくなりはじめ、鉄道の駅のトイレも1994年にドイツ鉄道が私営化されてからは、外部の企業によって経営・管理され、使用料が徴収されるようになりました。エッセンやドルトムントでは、すでに1993年にトイレの設置を地方自治体の課題ではないとして、町の訪問者にはレストランや図書館などのトイレの使用を促すようになったそうです。

無料のトイレを撤廃した理由としては、破壊行為と掃除が行き届かず不衛生だったためとも言われています。いわゆる管理費の問題と治安の悪化を防ぐための対策といえるでしょう。そして、レストランなどの飲食店のトイレに関しては2006年の連邦制度改革(Föderalismusreform)により、設置を義務づけられることがなくなり、州ごと、自治体ごとに規則が定められるようになったので、使用料を取る店、チップとして徴収する店、使用料はとらない店など様々な形態を取る店が増えました。ファストフードチェーン店などでは、レシートにコード番号が書いてあり、これを入力するとトイレのロックが開くというシステムもあります。

 

新しいビジネスモデル

さて、公衆トイレは大きく2つのタイプが主流となっていますが、有人タイプのトイレでは実は法的には支払い義務はありません。あくまでも「チップ」であり、使用者側の好意として認識されています。

近年ドイツ及びヨーロッパ内で広まってきたのは、Sanifairというアウトバーン(高速道路)のサービスエリアとガソリンスタンドの会社を母体としたトイレのサービス会社が提供する公衆トイレサービスです。これがいわゆる、トイレの出入り口に入場ゲートが設けられた改札型トイレで、70セントの使用料を支払うシステムです。入場ゲートでコインを投入すると、50セント分のクーポン券が発券されて、サービスエリア内や、トイレのある駅構内、ショッピングモール内で使用することができます。クーポンを使用すれば、実質20セントの使用料ということですね。

しかし、この新しいビジネスモデルには賛否両論があります。というのも実際には、トイレの使用者のほぼ約半数がこのクーポン券をほとんど使用したことない、もしくは一度も使用したことないそうで、十分に機能していないからです。

 

 

スマートフォンでトイレ検索

こちらも現代ならではの一風変わったサービスです。無料の公衆トイレが少なくなった対策としてか、スマートフォンでのトイレ検索ができるようになりました。インターネットの無料トイレ検索ポータルサイトや、アプリが存在しますが、トイレごとに使用者が評価までつけられるそうで、なんとも奇妙な印象を受けます。ゆくゆくは、使用状況までわかったりする時代が来るのでしょうか・・・。

 

日本では駅、コンビニエンスストア、公衆トイレなどどこでも無料で使用することができますが、これって当たり前のことではないのですね。世界規模でみるとトイレの数は全世界の人口に対して圧倒的に足りていないという統計もあります。ともかく、ドイツで公衆トイレに行くときには小銭をお忘れなく!

 

 


参考HP

 

  • https://www.derwesten.de/region/wie-die-deutschen-die-gratistoilette-abschafften-und-wie-sie-sie-jetzt-wieder-suchen-id8678794.html
  • http://www.gratispinkeln.de/
  • https://de.wikipedia.org/wiki/Tank_%26_Rast
  • https://www.ksta.de/rechtsfragen-toilettengeld-muss-nicht-bezahlt-werden-13629830
  • http://www.asaho.com/jpn/bkno/2016/0523.html
  • https://www.berliner-zeitung.de/ratgeber/verbraucher/recht/nutzungsgebuehr-wann-darf-ich-im-restaurant-oder-caf%C3%A9-kostenlos-auf-die-toilette–24146482-seite2

Comments

(0 Comments)

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA