ドイツの医療制度 健康保険・ホームドクター編-コロナ事情の中で

新型コロナの感染拡大による影響で医療崩壊が各国で問題となっており、日本でも先行きが懸念されています。ドイツでは感染者数に対する死者数の割合が低いのは、病床数の多さにあるとの見解もあり、3月のテレビ演説において、メルケル首相は、ドイツの医療制度の高さを称えていました。今回は、「医学の国」ドイツの医療制度についてお伝えします。

医療保険、ホームドクター

 

ドイツ医療制度は、明治維新以後に日本に導入され、日本医療制度の原型となりました。戦前の日本でも、ドイツの社会保険方式の公的医療保険制度も導入しており、また介護保険制度もドイツをモデルとしています。

ドイツの医療保険制度は、公的医療保険(Gesetzliche Krankenversicherung)と、民間医療保険(Private Krankenversicherung)のいずれかを選択する方式がとられています。公的医療保険は、公法人の保険者組織、Krankenkasse(疾病金庫)が運営しており、これも日本の健保組合の元となっているそうです。保険料は収入、身分で決まり、学生は月90ユーロ(約10,600円)ほど、社会人でおよそ300ユーロ(約35,000円)ほどとなります。日本の国民健康保険も収入に応じて保険料は決まりますが、病院での治療費は通常三割自己負担です。ドイツの公的医療保険に加入すると、ほぼ100%カバーされ、手術を伴う入院の場合も1日10ユーロの負担に留まります。入院費が家賃よりも安いから病院にいたほうが経済的…などという冗談すら聞いたことがあります。

また、ホームドクター(Hausarzt,-arztin)も日本にはない概念ではないでしょうか。健康面に関してなんでも相談に乗ってくれる身近な医師であるホームドクターを個人で決めておくことがドイツでは一般的で、大学病院や専門病院への橋渡し役にもなります。ドイツではこのようなプライマリーケアを施すホームドクターの重要性も考慮し、育成にも余念がありません。日本でもかかりつけのお医者さんがいる場合もありますがドイツほど親しみは無いように見えます。ドイツのホームドクターは、患者と密接に関わっており、包括的な診断をしてくれるのです。

ホームドクターのイメージ
ホームドクターのイメージ

しかし私が実際ドイツで生活していた時には、ホームドクターを定めていなかったので、病院にいく際も色々と苦労しました。ちょっと風邪をひいた、皮膚炎になった―というくらいでは診みてもらえず、どこのクリニックでも門前払いになり、取れる予約は2週間後という時もありました。少し大げさに40度の熱があります!と訴えてやっと診てもらえた留学生の友人もいましたし、薬を出してもらえることも少なく、少しもどかしい思いをしました。個人的には医療先進国を実感できる機会にはそれほど恵まれませんでした。

冒頭にも書いたとおり、昨今の新型コロナ感染拡大においては、ドイツの致死率の低さを世界が注目しています。検査数の多さが致死率を低くしている要因のひとつでもありますが、人工呼吸器が2万5千台あることもおおきな強みとなっているようです。


参考HP

 

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