ドイツの貧困問題

ドイツは世界でもトップクラスの経済大国です。EUを牽引する存在とも認識されており、失業率もEUの中内でもっとも低いことで有名です。しかし、街を歩くと、日本に比べてホームレスが多い印象があり、顕在化していない「見えざる貧困」が問題となっているようです。今回はドイツの貧困問題についてお伝えします。

写真はイメージです
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上昇する貧困リスク率

 

2020年8月、ドイツ連邦統計局から、ドイツ国内の“貧困リスク率”-Armutsgefährdungsquote(1人あたりの等価所得が中央値の60%に満たない世帯の構成員の人数の割合。相対的貧困の指標となる)についての新しい調査結果が発表されました。この調査によると、2009年から2019年までの貧困リスク率は、旧西ドイツの全州と、ベルリンで上昇し続けているとの結果がでており、中でもブレーメンが最も高く、24.9%、4人に1人が貧困に晒されているという数値となりました。貧困リスク率が一番低いのは、バイエルン州、続いてバーデン=ビュルテンブルク州と南ドイツの2つの州が占めています。
その一方では、ベルリンを除く旧東ドイツの全州で貧困リスク率は低下しており、メクレンブルク=フォアポンメルン州では、2009年の23.1%から19.4%へ大幅に低下していますが、これらの数値は旧東ドイツの経済成長によるものといっても良いのでしょうか?

地域による経済格差、子供の貧困問題

 

ドイツの貧困問題対策は、1990年の東西ドイツ統一と2005年に導入された求職者基礎保障制度“ハルツⅣ”が大きな転換期と言われています。統一後、旧東ドイツに貧困率の高い地域が集中しており、失業率は高く、数値の上昇が続いたため、就労促進、規制緩和、失業手当等の見直しといった労働市場改革-ハルツIV、通称ハルツ改革が行われました。この政策は失業率の改善に貢献した一方で、長期失業者が手当を受給する割合は横ばいもしくは逓減しており、改正への議論が近年活発化しているとのことです。
また、子供の貧困も問題視されており、ここ30年で子供の貧困率が二倍以上上昇しています。単身世帯や外国人世帯で暮らす子供にリスクが高いと分析されており、外国人世帯においては、言語の問題による高等教育機関への進学が危ぶまれることも、貧困の連鎖の要因となり得るようです。

日本も相対的貧困率が高く、2017年の世界ランキングでは15位(ドイツは26位)となってしまい、貧困問題も深刻化しています。どの国であろうとも、より効果的な対策が望まれるばかりです。


参考HP

 

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