見本市大国ドイツ

世界規模の見本市が、年間およそ180回も開催されているドイツ。ライプツィヒ、ケルン、フランクフルトその他多くの都市に大規模な見本市会場があり、その中でもハノーファーの見本市会場は、世界最大といわれています。ドイツは「見本市の国」ともいわれ、輸出が盛んなドイツにとっての見本市は重要な産業のひとつでもあります。

見本市とは?

 

見本市とは、特定分野の企業が、各々のサービスや商品見本を陳列して、宣伝、紹介する場で、これを通しての販売促進、さらには商談取引が行われ、契約にまでも結び付けられるビジネスチャンスのための重要な機会とされています。

ドイツで行われる有名な見本市には、500年以上の歴史を誇る世界最大級の書籍見本市「フランクフルト・ブックフェア」(Frankfurter Buchmesse)、ドイツ自動車工業会(VDA)主催の「国際モーターショー」(Internationale Automobile-Ausstellung)、世界最大の産業見本市である「ハノーファーメッセ」(Hannover-Messe)、3年に一度、ミュンヘンで開催される「国際建設機械・建設資材製造機械・建設用車輌専門見本市」(Bauma)などが代表的です。ものづくりの国に相応しく、工業系の見本市が多く開催されていますが、他にも様々な業界分野の見本市もあり、近年では、環境やエネルギー関連の見本市も盛んとのことです。

ドイツ国内の見本市の年間の来場者数は約1000万人にも達しており、各地で催される大規模な見本市は、遠方からの訪問客も多いため地域経済への貢献度も高く、見本市の開催は地域振興策としても有用で、州や市からの出資が多いのも、ドイツの見本市の特徴です。このように、見本市はドイツ経済を支える一大産業でもあります。

起源は教会のミサ?

 

一大産業であるドイツの見本市には、800年以上の歴史があります。見本市の起源は、キリスト教の祝祭や日曜のミサなど、定期的に人々が集まる場で物品交換が行われていたことに由来します。ドイツ語のMesseという単語には、カトリックにおける儀式、そして見本市という意味があるのは、このような背景にあります。

ザクセン州ライプツィヒの見本市は1190年から続いており、現在も開催されている世界最古の見本市ともいわれています。ライプツィヒは、神聖ローマ帝国皇帝による通行料の徴収と引き換えに旅行者への保護が与えられていた「帝国の道」(Reichsstraße)である二つの重要な通商路、「インペリイ街道」(Via Imperii)と「レギア街道」(Via Regia)の交差点であったため、重要な交易地点として発展しました。

産業革命以降の19世紀半ばには、屋内会場を使用した現代の見本市の形式が導入され、1901年には世界初の見本市会場がライプツィヒに建設されました。

2020年から続くコロナ禍の影響で、見本市は中止やオンラインでの開催へとシフトしています。世界が分断されているコロナ時代、国際的見本市という形式はどのように変化していくのでしょうか。


参考HP

 

 

 

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