ドイツ人の健康　―平均寿命は？　健康寿命は？　死因は？－

日本人からみると不思議なドイツ事情 HH 2021年6月1日

Gesundheit! ドイツで、くしゃみをするとかけられるこの言葉、意味は「お大事に！」と訳せますが、通例の単語としては「健康」という言葉で訳されています。健康という概念は、コロナウィルスの感染拡大以前から、どの国でもひとつの価値基準とされており、このコロナ時代には誰しもが強く意識する問題となりました。

「人生100年時代」に突入するといわれている現代社会。ドイツ人の平均寿命は？死因は？ドイツの実情を紐解きましょう。

ドイツと日本の平均寿命・健康寿命の比較

まずは寿命という観点からみてみましょう。平均寿命に関する数値は、様々な機関が算出していますが、ここではＷＨＯ（世界保健機関）が発表している世界保健統計の2020年版からのドイツと日本の平均寿命と健康寿命を参照してみます。以下のような数値となっています。

	出生時の平均寿命			出生時の健康寿命
	全体	男性	女性	全体	男性	女性
ドイツ	81.72歳	78.72歳	84.77歳	70.89歳	69.66歳	72.11歳
日本	84.26歳	81.49歳	86.94歳	74.09歳	72.64歳	75.48歳

(Life expectancy and Healthy life expectancy　2020年版　WHO世界保健機関調べ参照)　
※「出生時の平均寿命」とは、0歳での平均余命の事で、これがいわゆる平均寿命（Lebenserwartung）として算出されています。（統計調査には「60歳時の平均余命の数値」という項目もあります）また、健康寿命（独：Gesundheitserwartung）というのは、心身ともに自立し健康的に生活できる年齢を指しており、「出生時の健康寿命」は、0歳時での健康寿命が算出されています。

ドイツと日本の平均寿命の長さの差は、約2年半なので、そこまで大差はないようです。健康寿命においては、その差は約3年少々に留まっています。とはいえ、世界の国別平均寿命ランキングでは日本、スイス、韓国がＴＯＰ３を占めており、ドイツは20位にランクイン、これはヨーロッパ内ではやや低めの順位ではありますが、ドイツ人の寿命は、この20年で3年半以上長くなっているのも事実です。また、健康寿命においては、両国ともに平均寿命からマイナス10年ほどになります。

世界国別平均寿命ランキング（2020年版）

	国 / 歳
1	日本 (84.26)
2	スイス (83.45)
3	韓国 (83.30)
4	スペイン (83.22)
5	シンガポール (83.22)
～	…
20	ドイツ (81.72)

（Life expectancy at birth (years) 2020年版　WHO世界保健機関調べ参照）

ランキングを見ると、第２位にランクインしているスイスの存在がちょっと気になりますね。ドイツの隣国でありながら、ここまで大きな差があるのはなぜなのでしょう？長寿の秘訣としては、1．物質的豊かさ、２．国連の「世界幸福度報告」（World Happiness report）によって定義されている幸福度の高さ（スイスは2015年の調査では世界第1位、日本は46位）、そして３．チーズや牛乳といった乳製品との関連性という３つが指摘されています。しかし、長寿ランキングの首位常連の日本では幸福度が年々ランキングを下げているのが実情です（2020年、日本は64位）。これを考えると、寿命と幸福度との関連性はそれほどないような気もしますね…。

死因のランキングは？

次に死因も比較してみましょう。日本の2019年の死因の順位は、第１位「悪性新生物（腫瘍）」27.3％、第２位「心疾患（高血圧性を除く）」15.0％、第３位「老衰」8.8％、第４位「脳血管疾患」7.7％、第5位「肺炎」6.9％となっており、前年と同じ並びとなっています。一方2018年のドイツ統計局の調査によると、国民の死因の第１位は「心疾患（虚血性心疾患、心筋梗塞など高血圧含む）」36.16％、第2位「悪性新生物（腫瘍）」24.96％、第３位「呼吸器疾患」7.51％、第４位「精神および行動の障害」6.08％、第5位「消化器疾患」4.35％という数字が出ています。

心疾患と悪性新生物（いわゆるガン）以外は、少し疾患の内容が違いますね。日本の3位の老衰というのは定義が曖昧ですし、ドイツの第4位の「精神および行動の障害」が指している病気とは一体なに？実はこれは精神疾患及び、アルコール中毒や薬物中毒等々を指しています。ドイツも日本も先進国としての類似点は少なくありませんが、食習慣や文化性の違いなども、それぞれの統計に反映されているようにも感じますね。

参考ＨＰ

これまで【日本人からみると不思議なドイツ事情】、【ものづくりの国ドイツ】を担当してまいりました、HHです。京都生まれ。ドイツ・フライブルク大学卒。留学中に得た経験をもとに、独自のアンテナを張って様々な側面からみたドイツをお伝えしていきたいと思います！皆さまのドイツ文化に関する興味・関心、ブログの感想もぜひ聞かせて下さいね。

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