「今日は死体を掘り出すよ」? オーストリアのポップな音楽シーン

 

このブログでは、オーストリアドイツ語を紹介したいのですが、ブログで言葉について書くのはなかなか難しいです。以前Austriazismus記事でご説明したように、オーストリアのドイツ語とドイツのドイツ語には単語の違いがあります。そしてもう一つの大きな違いは発音です。しかしブログで発音をうまく伝える事は出来ませんね。ですので、今回はオーストリアの方言で歌っているアーティストをご紹介しますので、彼らの歌からドイツのドイツ語との発音の違いを分かっていただけたら嬉しいです。特にウィーンの方言を活かしているアーティストですので、ウイーンの発音が楽しめるはずです。

ウィーンは音楽の都だと言われますね。音楽と言っても、クラシック音楽を想像している人が多いでしょう。でもクラシック音楽を抜きにしてもオーストリアには素晴らしい才能を持ったアーティストがたくさんいます。劇、コンサート、ライブ等、オーストリアにはいつも面白い行事があります。この文化の豊かさはオーストリア人が自慢出来るところだと思います。その上、音楽は言語の勉強にはもってこいです。発音の練習にもなりますし、語順やイントネーションを学んだり、それに教科書に載っていない流行語にだって出会えますし、言葉の感覚をつかむには最良の方法だと思います。

Austropop

 

多分、世界のどこでも同じでしょうが、オーストリアにも英語の影響が大きいです。でもドイツ語の歌が少ないわけでもありません。現在のアーティストをご紹介する前にオーストリア音楽シーンのちょっとした概要をご説明しましょう。70年以前では「シュラゲルムシク」(Schlagermusik) という民俗音楽のジャンルが人気でした。これは日本の演歌に似ているかもしれません。演歌と同様にこのジャンルは年輩のの方の間でいまだに人気があります。その後、60年代から始まり、70年代から80年代にかけて人気が頂点に達した「アウストロポップ」(Austropop)という音楽ジャンルが発生しました。Austropopはポップスと言っても、ロックやフォーク等、色々なジャンルの総称です。その特徴は人気のある音楽とオーストリアの方言との融合でした。若者が好きな音楽と方言の歌詞とのミックスが初めて試みられ、とてもカッコ良かったです。Austropopの時代の歌は大人気を博しましたが、90年代に入ると、どんどん英語の影響が強くなってきて、アーティストは主に英語の曲を歌いだしました。世界に打って出たいという気持ちがあったからでしょう。現実的に考えるとドイツ語の曲を作っても、活動範囲はドイツ、スィス、リヒテンシュタイン、オーストリアに限られてしまいますが、英語ならもっとチャンスが広がりますからね。でも、2010年頃から再び少しずつオーストリアのドイツ語の曲を作るアーティストが増えてきました。おそらく英語があふれすぎて魅力がなくなったため、再びオーストリアのドイツ語の曲が新鮮に感じられたみたいです。

オーストリアドイツ語を活かしているアーティスト

 

昔も今も、オーストリアには日本のようなアイドルの文化がありません。有名なバンドやソロアーティストでも主にシンガーソングライターとしてキャリアをスタートします。ドイツ語ではシンガーソングライターに対して「リーデルマヘル」(Liedermacher)という昔の言葉が使われる事が良くあります。「歌を作る人」という意味でシンガーソングライターにとってカッコいい表現だと思います。次にご紹介するアーティストもこの様にキャリアをスタートさせました。

音楽が大好きでワクワクしてたくさんのバンドをご紹介したかったのですが、記事が長くなりすぎてしまいますので、今回は涙をのんで、厳選した3アーティストをご紹介しますね。

Wanda

 

Wandaはかなり有名なバンドです。音楽はポップスやインディー・ロックのジャンルで、現代的というよりは少し懐かしくてレトロなサウンドだと言えます。バンドメンバーはビンテージのレザージャケットとくわえタバコのいでたちでレトロな雰囲気があります。

Wanda – Columbo

Wanda – Columbo 歌詞

 

Wiener Blond

 

最近私がよく聞いているバンドです。2人のアーティストのビートボックスデュオです。面白く賢い歌詞が特徴です。ホームシックになったときによく聴くのがウィーンについて歌ったDer letzte Kaiserという曲です。とても心にしみ癒やされます。

Wiener Blond – Der Letzte Kaiser

Wiener Blond – Der letzte Kaiserの歌詞

 

 

Voodoo Jürgens

 

とても素晴らしいアーティストだと思いますが、方言が濃すぎて一番わかりにくいのではないでしょうか。例えば、Heite grob ma Tote ausという曲ですが、これは標準ドイツ語に直すとHeute graben wir Tote ausになります。日本語に訳すと「今日は死体を掘り出すよ」です!実はオーストリアドイツ語では「今日は楽しく過ごそうよ」という意味のイディオムなのですが、実際にはあまりよく使われる表現ではありません。このアーティストのファッションや音楽性も昔のウィーンを体現しています。

Voodoo Jürgens – Heite grob ma Tote aus

Voodoo Jürgens – Heite grob ma Tote ausの歌詞

 

オーストリアにはもっと凄いアーティストがたくさんいます。音楽が好きでオーストリアドイツ語の発音にも興味ある方は是非一度聴いてみてください。

Baba,

Schmankerl


参考文

Jánez Verdianz. 2013. Austropop – Ein Begriff im Wandel (Diplomarbeit). 

 

 

Comments

(0 Comments)

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA