サービス砂漠、サービス天国 お客様は本当に神様?

ドイツのサービスに関して揶揄される「サービス砂漠」ということばをご存じでしょうか。スーパー、小売店、レストランといった接客業のみならず、電話会社、交通機関を使用する際などに受けるあらゆるドイツのサービスは、不親切なことも多く、営業時間の短さも相まって、良い評判は少ないのが現状。今日はそんなドイツのサービス事情についてお伝えします。

お客様は神様?

 

「お客様は神様です」-こちらのフレーズは元々、昭和を代表する歌手、三波春夫さんのことばで、ステージに立つときは、観客(お客様)を神様と見立てて、常に襟を正し、神聖な気持ちで歌を披露したいという心意気が本来の意図でした。今日では若干意味合いが転じて、サービスする側は客の要望を全て引き受けるべきという態度が、場合によってはクレーマーの強気な姿勢を助長してしまう背景にまでなっています。

一方のドイツでは、「サービス砂漠」というキーワードがあります。こちらはドイツの実業家・経営思想家のハーマン・サイモンによって1995年にドイツのメディア『シュピーゲル』(Spiegel)で提唱された概念です。ことばの通り、サービスの枯渇した産業体系を指しており、商品購買後のサービスがなかったり、消費者や顧客のニーズが見過ごされたりしていることを指しており、主にドイツに対して揶揄されるキーワードとなっているようです。

たとえば良く例に挙げられるのはスーパーマーケットや郵便局、さらには電話会社などの対応ですが、日本人からすると想像もしないことが起こります。総じて言えるのは営業時間が日本と比べて短い、郵便物が届かない、電話会社のカスタマーセンターでたらい回しにされ、結局対応してもらえないetc.

とはいえ、このような背景には、労働者の権利を優先して、過剰なサービスに対する対価を上乗せした商品を消費者自身が求めていないことがある点は見落とせません。営業時間に関しては日本でも近年、コンビニやファミレスの営業時間が見直されていることを思うと、消費者に便利であることが社会全体にとって必ずしも良い事といえないのは明白ですね。

日本のサービスは過剰?

 

サービスに関しては日本とドイツは対照的な状況にあるようです。丁寧な言葉遣いとおもてなしに感動する外国人観光客がいるのも確かですが、マニュアル化された応対に、無機質で心無いものと感じている人々もいます。また、過剰なサービス業務を提供する側のストレスも見過ごせず、サービス従事者の負担となり、職場環境を圧迫しているともいえます。

サービス砂漠のドイツで生活していると、なんでも自分でできるようにならねば!とサバイバル精神も鍛えられます。あくまで個人的な経験ですが、ドイツではサービスが悪い分、困ったときに見知らぬ人が助けてくれる機会に恵まれました。反対に、日本のサービスはおそらく世界一かもしれませんが、金銭的取引が発生しない場での見知らぬ人への親切に関しては、かなりハードルが高いようで、困っている人がいても、見て見ぬふりをすることにドイツとの大きな違いを感じたこともあります。そしてドイツではマニュアル化されていない接客だからこそ感じる人間臭さも、魅力のひとつなのかもしれません。

サービス天国の日本。これはあくまでも消費者側からの見方であることを自覚しなければいけないのかもしれません。


参考HP

 

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