ドイツを襲う今夏の猛暑と、          夏なのに薪が売り切れ続出の怪

こんにちは。今年2022年のドイツの夏は、早くも6月にしてHitzewelle (熱波)が到来し、7月に入って30度を超える日が続いています。先週は40度近くまで上がる猛暑となったため、Hitzefrei(暑気休み)で学校の授業が通常より早めに終了しました。子供たちは大喜びで、学校帰りにアイスを食べたり、いつもより早い時間帯にプールに行ったりと、なんだか嬉しそう。ドイツでは冷房設備が日本と比べてまだ普及しておらず、暑さで仕事がはかどらないためか、公務員の友人は猛暑の日は有休を取って、朝からプールに行って涼んでいるそうです。そんなことを日本の職場でしたら、ひんしゅくを買って今後仕事がしづらくなるかも?と心配になるところですが、ドイツ社会は有休が取りやすいため、上司や同僚に気を遣う必要なんてありません。う~ん、羨ましいですね!

 

 

 

エアコンのないドイツを襲う今夏の猛暑

 

1960年代のドイツでは気温が30度を超える日は、年間わずか1~2日だったそうですが、温暖化が進み、2018年には気温が30度を超える日が年間20日以上を数えるほどに増加しました。昔は夏に冷房なんて一切必要がなかったドイツですが、近年はエアコンや扇風機を購入する人が増えています。といっても、日本の住宅のようにエアコンが一家に最低一台あるという訳ではなく、もちろん我が家にもありません。でも冷房設備がなくても、ドイツの家の窓に必ずと言ってよいほど取り付けられている「巻き上げブラインド」を活用すれば、湿度の低いドイツでは猛暑を乗り切ることができます。巻き上げブラインドは、窓の外側に取り付けられており、普通は夜に寝る際に、外からの光が入って睡眠の邪魔とならないよう、室内を暗くしたり、また日本の雨戸のように雷雨から窓を保護するために使うものなのですが、暑い日は、ブラインドをしっかりと下まで降ろし、高温の外気が室内に入り込まないようにすると、断熱の役割も果たしてくれる優れものです。この手段だと、電気代もかからなくて家計にも環境に優しいというメリットがあり、まさにドイツの知恵ですね。しかし、日中の屋内が暗くなるというデメリットもあり、またDachgeschoß(屋根の部分に設けた最上階)の住居の場合は、ブラインドによる断熱だけでは到底足りず、どうしても冷房が必要となる場合も多いようです。

 

 

 

 

夏なのに薪が売り切れ続出の怪~早くも冬の暖房への懸念

 

このように暑さに参っている現在ですが、夏はあと数か月で過ぎて、すぐに冬がやってきます。そしてドイツ人は2022年の冬、そして来年の冬を非常に危惧しています。ドイツは4150万世帯の半分が暖房を天然ガスに頼っていますが、ウクライナ危機でロシアからの天然ガス供給が大幅に制限されているため、エネルギー価格が現在高騰しています。このため、この冬は高額な暖房費を支払うことができなくなるケースが急増するおそれや、最悪の場合、製造業の生産ラインが停止する可能性もあるため、ドイツ経済への打撃も懸念されています。このため、ガスを節約するために、冬の間は例えば、屋内プールの暖房を停止する、サウナは使用しない、体育館の暖房も切る、オフィスや住居の暖房温度を数度下げ、家の中でコートを着用して過ごしたらどうか?など、真剣に様々な議論が交わされています。また家に暖炉が備わっている住居の場合、冬の暖房をガスに頼らず、暖炉で暖を取ろうと、今、ドイツでは薪の需要が非常に高くなっており、薪が売り切れる状態が続いています。我が家も、夏がすでに始まる前に薪を大量に購入し、早くも来るべき冬に備えています。

 

「暑い!暑い!」と言っている今の状況は、まだ良いのかもしれません。今冬と来冬は、ウクライナ危機によるエネルギー価格の高騰によって厳しい冬になることを覚悟しているドイツ人。果たして一致団結して、冬を乗り越えることができるのでしょうか?

 


 

参考URL

https://www.reuters.com/article/ukraine-crisis-germany-gas-idJPKBN2L609V

Süddeutsche Zeitung 16.17.Juli 2022, Nr. 162

Süddeutsche Zeitung 22. Juli 2022 Nr. 167

Comments

(0 Comments)

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA