言語圏の境目に建つ都市フリブール

 

過去の記事でも申し上げたことがあるので既にご存知だと思いますが、スイスにはそれぞれの言語圏を有する4つの公用語があります。

そのため、本ブログでは特定の言語圏をえこひいきせず、なるべく全ての言語圏を採り上げるようにしています。

特に名所に関してはドイツ語圏だけでなく、フランス語圏やイタリア語圏の都市もご紹介していますし、他の記事においてもそういったバランスを考慮し、可能な限り4つの言語圏に言及してきました。

しかし、言語とはそれを話す人間によって形を変え、空間的にも移動することから、言語圏もまた一定不変なものではありません。

現にスイスでは言語圏が時間の経過とともに複雑に入り乱れて、今となってはそれらの境界線がはっきりしない地域が多々あります。

しかも、その中にはなんとひとつの市町村で2つの異なる言語を使用するという、日本人からしてみればおそらく想像もできない珍しいケースまで存在します。

したがって、今回はそんな言語圏の境目に建っている代表例としてフリブール州(Canton de FribourgまたはKanton Freiburg)の州都フリブールをご紹介させていただきます。

 

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アルプスの少女ハイジも愛したラクレット

 

スイス人として日本で生活しているとあの人気アニメ「アルプスの少女ハイジ」を話題にされることが非常に多く、中でもアルムおんじが暖炉でチーズを溶かしてハイジに「ラクレット」(Raclette)を振る舞うシーンには大半の方が衝撃を受けたと度々お聞きします。その影響もあって、「私もラクレットを食べてみたい」と思っただけでなく、わざわざスイスを訪れてその目標を達成された人までいるそうです。

とはいえ、近頃は日本国内でラクレットを提供するお店が増えていることもあって、遠く離れた現地に足を運ばなくてもハイジと同じ体験ができるようになっています。

しかし、「ラクレット」の名前が付いているからといってそれが必ずしも本場スイスのラクレットと同じ料理であるとは限りません

というのも、私自身も日本で何度かラクレットをいただいたことがありますが、アレンジレシピなどオリジナルとは少し違うものが出てきたケースが多かったので、少し残念な気持ちになったのが正直なところです。

また、ラクレットは誰でも容易に作れるチーズ料理と思われがちですが、食材、調理法、食べ方などが形式化された独自の食文化が存在するため、それらをある程度遵守しないとラクレットではなく、ただの焼きチーズになってしまいます。

そこで、スイス人としては日本の皆様にせめて正統派を知った上でアレンジバージョンを楽しんでいただきたいと強く思っておりますので、今回はアルプスの少女ハイジも愛したラクレットについて色々とお話しさせていただきます。

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スイスドイツ語講座その11:体の部位

 

皆様は外国語を学ぶ際に体の部位を覚えることをどれほど重視しますか?

これは私の勝手な推測ですが、外国語をしっかり学習するにあたっては体のパーツも避けられない一方、観光目的などのために簡単な会話のみを身に付ける時は意外と不要に感じている人も少なくはないのではないでしょうか?

確かに、旅行では「〇〇はどこですか?」などのお決まりフレーズを集中的に習得しておけば、大したトラブルに遭うことはありません。

しかし、思いも寄らない事態でいきなり救急車を呼んだり、病院を訪れたりすることになったのに、「頭を打ちました」も言えないと何かと困ります。

また、異常がなくても、「顔色がよくない」といった体の部位が含まれる簡単な日常会話も成立しませんし、衛生用品の購入に際してどの商品がどの部位のためのものかの区別すら付きません。

したがって、今回のスイスドイツ語講座では案外甘く見られているけど、知っておくと様々な場面で非常に役に立つ体の部位の表現についてのお話をします。

 

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チューリッヒの春祭り

 

日本の冬は乾燥していて、晴れる日が比較的多いのに対して、スイスでは曇りや雨の日が多いです。そんな少し憂鬱な冬が終わり、ますます晴れ天候が増えてきて、さまざまなお花が咲き綻びる春になりました。

今回は、そんなチューリッヒの春を語る上で欠かせないチューリッヒ独自のお祭りを紹介したいと思います。

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スイス連邦の標語の起源となった人物ヴィンケルリート

 

かなり前になりますが、過去にスイス建国の英雄ヴィルヘルム・テル(Wilhelm Tell)をご紹介したことを覚えていますでしょうか?

その際にご説明したように、テルはスイスと言う国を設立した人物ではなく、ハプスブルク家からの独立を決意したアイトゲノッセンシャフト結成のきっかけを作ったとされている人です。

つまり、テルはスイスの建国に直接関与していませんし、そもそもスイスは長い時を経て数多くの人の犠牲と努力によって誕生したので、スイス史におけるキーパーソンのひとりに過ぎません。

そして、そのキーパーソンの中にはテル以上にハプスブルク家からの独立に貢献し、その存在なくしてはスイスの建国はありえなかったとされる人物がいます。

日本でその名前を耳にすることはまずありませんが、スイス人にとっては国民的英雄であるため、今回はそんなスイスを知る上で欠かせない存在とも言えるアルノルト・フォン・ヴィンケルリート(Arnold von Winkelried)をご紹介させていただきます。

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さくらんぼの町ツーク

 

今まで様々なスイスの名所をご紹介させていただきましたが、どれも個性豊かで独特な味わいを持っている場所ばかりであることに気付いていただけたでしょうか?

以前、ご説明したようにスイスは多言語ならびに多文化国家である故、同じ国でありながら各地域に他と異なる特色が表れるのも不思議ではないと言えます。

そして、今回新たにご紹介する都市も決してその例外ではありません。というよりも、歴史を感じさせながらモダンであり、自然が多いにも拘わらずスイスを代表するビジネス街であるなどその極端な両面性に驚かされるほどです。

しかも、存在感が薄い訳ではないのに、ガイドブックに掲載されることもあまりないという点においても珍しいと言えます。

その場所とはツーク州(Kanton Zug)の州都であり、さくらんぼの町とも呼ばれるツークです。

名前を聞いたことがない方が多いと思いますので、どのような所なのかを楽しみにしながらお付き合いください。

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先が読めないスイスの天気

 

お天気は日常における行動などを左右しますので、皆様も普段生活している中でお天気は常に気にされているかと思います。

また、旅行に行く際は雨によって予定していた一日の内容を変更する必要もあるので、やはり無視することはできません。

特に、スイスに関してはユングフラウヨッホを訪れる観光客も多いので、旅行会社には「私が行く時は晴れるでしょうか?」などの問い合わせも多いそうです。

したがって、今回はスイスのお天気についてのお話をさせていただきます。

 

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スイスの国技

スイスはクラブの数が世界一多いと言われるほどクラブ活動が盛んで、国民の約半分が最低1つのクラブに所属しているとの統計まであります1

日本でも、少し前に世間を騒がせた「桜を見る会」を始め、「○○の会」が全国各地に多く存在し、その点では決してスイスに負けていません。

しかし、それらを内容別で比較してみるとスイス、そしてドイツもそうですが、スポーツクラブが大半を占める一方、日本ではスポーツ以外のクラブが多いようです。

そのため、近年では日本の地方自治体が地域住民の交流や地元愛を育む場を設けるといった観点から、特にドイツのクラブ活動に着目していて、日本でも普及させる取り組みを行っています。

日本人は一般的にスポーツが好きな印象を持っていますので、むしろ民間のスポーツクラブが比較的少ないことが不思議です。

というのも、私は様々な国や地域の方とお会いする機会がありますが、今まで「スイスの国技って何?」と、質問してきたのは日本人以外にいませんでした。このような経験から日本の皆様はスポーツにかなりの関心があるとつくづく感じさせられます。

したがって、今回は日本で意外と興味を引いているスイスの国技についてのお話をさせていただきます。

 

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3つの古城を持つ要塞都市ベッリンツォーナ

 

スイスにイタリア語圏があることについては過去の記事でも触れてきましたが、皆様の中にはスイスとイタリア語が何となくしっくりこないという方もいるのではないでしょうか?

そもそもイタリア語圏はスイスのほんの小さな一部に過ぎませんし、歴史や文化の観点からも他の地域と大きく異なるのですが、スイスを語る上では決して忘れてはならない地方なのです。

むしろ、その独自性からスイス人の間でも非常に人気が高く、別の意味でスイスを代表すると言っても過言ではありません。したがって、今回はイタリア語が唯一の公用語として使用されているティチーノ州(Canton TicinoまたはKanton Tessin)の州都であるベッリンツォーナ(Bellinzona)をご紹介したいと思います。

 

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アンバサダーの町と呼ばれる都市ソロトゥルン

 

過去に何度かにわたってスイスの名所を採り上げてきましたが、それらは何れもスイスを代表する都市であったことから、皆様も今更新しい話でもないと感じていたことでしょう。
しかし、いきなり観光ガイドにも掲載されていないような秘境から攻めていくと、逆にマニアックすぎると思われることを恐れたため、ある程度メジャーなものから始めてマイナーなものへと進もうと考えた次第です。

数えたところ、名所に関する記事は今回でかれこれ10回目となりますので、そろそろ著名でない場所に触れてもいい頃だと感じました。したがって、今回は個人的にとても好きで、スイスの穴場として是非皆様にも知っていただきたいソロトゥルン州(Kanton Solothurn)の州都であるソロトゥルン市をご紹介いたします。

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