Schtange, Chübel, Schtifel  スイスドイツ語講座その8:ビールに関する用語

皆様は「ビールといえばドイツ」というイメージを持っていませんか?

ドイツは数えきれないほどビールの種類が多く、一生かけてもその全てを飲むことは不可能だと言われているほどですので、そのようなイメージが根付くのは無理もありません。しかし、ドイツに足を運んでビールを飲む際に問題なく注文ができる自信はありますか?というのも、種類の多さ故、ドイツのお店でビールを飲みたい時、もちろん単に「ビール」と言うだけでは自分が希望したものを得られないので、注文の際にはドイツならではの様々な用語や表現を使う必要があるのです。

例えば日本では「生」という魔法の合言葉を使わないと、店員さんから「○○ですか?それとも○○ですか?」などと聞かれ、注文がスムーズに行かないという経験をすることも少なくありません。

ドイツやスイスにおいてもお決まりの用語を言わなければ似たような目に遭うことが度々ありますので、今回は皆様が注文時に困ることがないよう、ビールに関するスイスドイツ語をご紹介したいと思います。

 

 

 

 

ビールには容量によって決まった名称がある

 

外国でビールを注文する時、自分が希望するものを相手に正しく伝えるには、まずその国でビールに関してどのような言い方があるのかを把握しておく必要があります。

例えば、オクトーバーフェストを始め、南ドイツでは「マース」(Maß)という単語が使用されているのをご存知の方も少なくないでしょう。これは1リットルの液体が入るマースクルーク(Maßkrug)の略語で、ビール1リットルを注文する際に用いる表現です。それ以外にも「ショッペン」(Schoppen)や「ザイデル」(Seidel)などの言葉があり、容器に応じてサイズが区別されていることが多いです。

しかし、ビールの量を必ずしも容器名や単位で表すとは限りません。特にスイスではビールに対して実に様々な表現が使用されています。

まず、メジャーなものから挙げていきますと、ジョッキに入った500mLの生ビールはスイスドイツ語で元々「桶」を意味する「ヒュベル」(Chübel)と呼ばれており、グラスで飲む300mLのものは本来「棒」を指す「シュタンゲ」(Schtange)や「コップ」に該当する「ベッヘル」(Bächer)と言います。

また、日本ではさほど馴染みがない量かも知れませんが、200mLの生ビールは「ヘルゲットリ」(Herrgöttli)、即ち「小さな神様」の名前で知られており、400mLのものは一般的に「ガンブリヌス」(Gambrinus)という呼び名で親しまれています。

さらに、1リットルの特大ジョッキに入っているビールは「瓶」を表す「フルエク」(Chrueg)と言い、普段はあまり注文しませんが、生ビール2リットルにはなんと「長靴」を意味する「シュティフェル」(Schtifel)という名称が当てられているのです。

 

 

 

 

ビールは種類によっても名称が異なる

 

このように、ビールは量で言い方が変わりますが、色や分類法(「スタイル」と云います)など種類によっても違いがあります。

日本では、通常の黄金色のビールではない黒や茶色のものに対しては一括して「黒ビール」という総称を使いますよね?

それに対してドイツでは、ビールとはそもそもそれぞれ違う色を持っているものとの認識がありますので、それらを大きく分けて「ヘレス・ビアー」(helles Bier)と「ドゥンクレス・ビアー」(dunkles Bier)、即ち「明るいビール」と「暗いビール」に分類します。

これはスイスにおいても同じで、発音が少し変わりますが「ヘルス・ビエル」(hells Biär)と「ドゥンケルス・ビエル」(dunkels Biär)に分けています。

しかし、ビールスタイルになると、スイスとドイツでは単なる発音の違いに留まらず、全く別の言い方を使用します。例えばホップの割合が高い下面発酵ビールは、当該醸造法の発祥地であるボヘミアの「プルゼニ」(Plzeň)に因んで「ピルスナー」(Pilsner)の名前で知られていますが、スイスではそのビールスタイルはなんと「シュペツリ」(Schpezli)という別名で販売されています。

これは1920年代にスイスと当時のチェコスロバキアの間で締結された原産地名称保護契約の影響によるもので、チェコで生産されたもの以外に、その産地名を使うことが禁止されていたことから、スイス国内で醸造された同類のビールについてはスペシャルビールを意味する「シュペツリ」という名称が広まったのです。

また、ドイツではビールをレモネードや炭酸水で割って飲むのも人気で、それを「ラドラー」(Radler)または「アルスター」(Alster)と呼んでいます。

もちろん、スイスにも同様な飲み方が存在しますが、名前についてはフランス語でビールの炭酸割を指す「パナシェ」(Panaché)に由来する「パナシュ」(Panache)を使うのが一般的です。

 

 

 

さて、ビールに関する様々な表現をご紹介させていただきましたが、ビール大国ドイツのみならず、スイスでも実にバラエティー豊富な言い方が存在することをご理解いただけましたでしょうか?

特定の地方によってはそれ以外の名称を用いる場合もありますが、今回採り上げた用語を知っていれば少なくともスイスのドイツ語圏でビールの注文に困ることはありません。

観光に行かれる際は地元のビールを飲むのが楽しみのひとつだという方も多いと思いますので、是非以前の講座で登場した「プロシュト」(Proscht)と本講座のビール関連用語をマスターして、スイスで現地住民と共に楽しいひと時を過ごしてみてはいかがですか?

では

Proscht!

Birewegge

 


 

今回の対訳用語集

 

日本語 標準ドイツ語 スイスドイツ語
注文する bestellen

(ベシュテレン)

pschtelle

(プシュテレ)

Menge

(メンゲ)

Mängi

(メンギ)

容器 Gefäß

(ゲフェース)

Gfäss

(クフェース)

Kübel

(キューベル)

Chübel

(ヒュベル)

コップ Becher

(ベッヒャー)

Bächer

(ベッヘル)

ジョッキ Bierkrug

(ビアークルーク)

Humpe

(フンペ)

Krug

(クルーク)

Chrueg

(フルエク)

長靴 Stiefel

(シュティーフェル)

Schtifel

(シュティフェル)

ピルスナー Pilsner

(ピルスナー)

Schpezli

(シュペツリ)

ビールのレモネード割 Radler/Alster

(ラドラー/アルスター)

Panache

(パナシュ)

 

 

 

 

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