アウトバーンで見た異様な光景と、ドイツに横たわる東西格差
ザクセン=アンハルト州議選でAfDが圧勝
2026年9月6日にドイツのザクセン=アンハルト州で州議会選挙の投開票が行われ、反移民や欧州懐疑主義を掲げる極右・右翼ポピュリスト政党「AfD:Alternative für Deutschland(ドイツのための選択肢)」が得票率43.8%を獲得して圧勝しました。
AfDの議席数は単独過半数まであと3議席というところまで迫り、かろうじて単独過半数こそ逃したものの、メルツ首相率いる保守与党「CDU:Christlich-Demokratische Union Deutschlands(キリスト教民主同盟)」は惨敗を喫する結果となりました。
もしもAfDが過半数を獲得していたら……と想像するだけで、私は背筋がヒヤリとします。

私はこの選挙の前日、車でベルリンへ行く用事があり、アウトバーンでザクセン=アンハルト州の州都マクデブルクを通過しました。
その際、アウトバーンの橋の上からドイツ国旗を掲げ、喜びの声を上げながら不気味なガッツポーズを繰り返す集団を目にしたのです。
一目で「あ、AfDの支持者たちだな」と分かりました。
例えは悪いですが、サッカースタジアムにいるフーリガンのような独特の危うい雰囲気が漂っていたからです。
州選挙は翌日であるにもかかわらず、彼らはすでに圧勝を確信し、前祝いをしていたのでしょう。
私が普段暮らしている旧西ドイツのラインラント=プファルツ州ではまず見かけることのない異様な光景に強い衝撃を受けると同時に、旧東ドイツと旧西ドイツの間に未だ根深く横たわる「差」を痛感せずにはいられませんでした。
同じドイツという国なのに、まるで「全く異なる空間にいる」といった感覚です。

有権者たちのフラストレーション
ザクセン=アンハルト州は、ドイツ16州の中でも人口約220万人と規模が小さく、旧東ドイツ地域特有の経済格差や人材流出、過疎化といった深刻な課題を抱えています。
今回の州議選は77.8%という歴史的な高投票率を記録しました。
選挙という民主主義的なプロセスによってAfDが圧勝したという事実は、現政権への強い不満や、いまだ解消されない東西格差、そして「自分たちは国から取り残されているのではないか」という有権者たちの不安やフラストレーションが一気に爆発した結果なのだと思います。
従来のデータでは、AfDの支持層は低学歴の男性が多いとされていましたが、今回の選挙では大学教育を受けたエリート層や自営業者、年金生活者といった幅広いグループからも多くの票を集めました。
さらに勝敗を大きく分けたのは、これまで選挙に行かなかった「棄権層」です。
新たに約16万人もの元棄権層がAfDに投票したとされており、彼らの支持がなければこれほどの歴史的快挙にはならなかったかもしれません。
AfDはTikTokなどのソーシャルメディアを用いた宣伝戦略が非常に巧みで、これまで政治に関心の薄かった若者や棄権層の共感を集めるのが上手なのです。
しかし、私は疑問を抱かずにはいられません。
今回AfDに投票した人々は、本当にその「政策」をしっかりと理解した上で一票を投じたのでしょうか?
例えばザクセン=アンハルト州のAfDは、障害のある子どもたちが通常の学校で共に学ぶ「インクルーシブ教育」の廃止を政策の一つとして掲げています。
もしAfDが同州で過半数の議席を獲得し、政策がそのまま実行されてしまったなら、障害を持つ子どもたちの親たちは、我が子を通常学級に通わせることが不可能になってしまいます。
目先の不満やSNSの勢いに流されるだけでなく、その政策が自分たちの社会や生活にどんな未来をもたらすのか、冷静に考える必要があるのではないでしょうか。
「歴史は繰り返す」という言葉の重みをひしひしと感じる近頃です。
参考メディア
https://www.deutschlandfunk.de/afd-inklusion-schule-sachsen-anhalt-100.html
Warum der Kanzler wackelt – und weitere Lehren aus der Wahl in Sachsen-Anhalt | tagesschau.de













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