オーストリアと君主制

Schmankerlさんのブログシリーズ『ちょっと気になるオーストリア』ですが、Schmankerlさんには今後はドイツ語で執筆していただくことなり、今回はその第1号のオリジナルドイツ語版を当アカデミーにて日本語に翻訳した翻訳文を掲載しております。あらかじめご了承くださいませ。なお、Schmankerlさんのオリジナルドイツ語版はこちらよりご覧いただけます

 

オーストリアは、皇帝がいなくなってから既に100年以上も経っていますが、今でも何らかの形で君主制時代の華やかさや絢爛さを残しています。特に、歴史的に帝室と深い関わりを持つウィーンのような都市では、君主制時代の霊のようなものを如実に感じることができます。

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スイス連邦の標語の起源となった人物ヴィンケルリート

 

かなり前になりますが、過去にスイス建国の英雄ヴィルヘルム・テル(Wilhelm Tell)をご紹介したことを覚えていますでしょうか?

その際にご説明したように、テルはスイスと言う国を設立した人物ではなく、ハプスブルク家からの独立を決意したアイトゲノッセンシャフト結成のきっかけを作ったとされている人です。

つまり、テルはスイスの建国に直接関与していませんし、そもそもスイスは長い時を経て数多くの人の犠牲と努力によって誕生したので、スイス史におけるキーパーソンのひとりに過ぎません。

そして、そのキーパーソンの中にはテル以上にハプスブルク家からの独立に貢献し、その存在なくしてはスイスの建国はありえなかったとされる人物がいます。

日本でその名前を耳にすることはまずありませんが、スイス人にとっては国民的英雄であるため、今回はそんなスイスを知る上で欠かせない存在とも言えるアルノルト・フォン・ヴィンケルリート(Arnold von Winkelried)をご紹介させていただきます。

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ドイツの中世祭り Mittelaltermarkt

 

欧米諸国、主に英米圏の各地で開催されている中世祭りをご存じですか?

英語圏では、ルネッサンス・フェア(Renaissance fair)、ドイツ語圏ではMittelaltermarktと呼ばれており、中世やルネッサンス期をモチーフにして当時を再現したお祭りのことを言います。

ドイツでは1980年代に始まり、2010年代のピーク時には国内で1000以上も開催されてきました。

日本でも戦国時代の武将にちなんだお祭りは津々浦々で開催されており、歴史をモチーフにした文化的イベントは世界中で親しまれています。

 

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アンバサダーの町と呼ばれる都市ソロトゥルン

 

過去に何度かにわたってスイスの名所を採り上げてきましたが、それらは何れもスイスを代表する都市であったことから、皆様も今更新しい話でもないと感じていたことでしょう。
しかし、いきなり観光ガイドにも掲載されていないような秘境から攻めていくと、逆にマニアックすぎると思われることを恐れたため、ある程度メジャーなものから始めてマイナーなものへと進もうと考えた次第です。

数えたところ、名所に関する記事は今回でかれこれ10回目となりますので、そろそろ著名でない場所に触れてもいい頃だと感じました。したがって、今回は個人的にとても好きで、スイスの穴場として是非皆様にも知っていただきたいソロトゥルン州(Kanton Solothurn)の州都であるソロトゥルン市をご紹介いたします。

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ベアテ・ウーゼ ドイツの性の革命家

フランクフルト空港内のショッピングゾーンに、アダルトグッズショップが入っているのをみて、かなり衝撃を覚えたことがあります。たしかにドイツの街中にも、割とカジュアルにこのような店舗がありますが、空港内にまであるのをみて、ドイツ人の性に関する価値観、倫理観はだいぶ違うのかなと感じました。それもそのはず、ご存じでしたか?世界初のアダルトグッズショップが誕生したのは、実はドイツ。しかも、創業者は元ドイツ軍のパイロットでもあったベアテ・ウーゼという女性です。

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実はスイス出身だったハプスブルク家

お気付きの方もいると思いますが、本ブログでスイスの名所や歴史的な内容をご紹介した際には必ずと言っていいほど「ハプスブルク家」の名前が登場しただけでなく、「ハプスブルク家」がスイスを征服しようとした因縁の相手のような存在として紹介されていました。

しかし、それは長い歴史の中での一定の期間における傾向であるに過ぎず、中世から現代までの全体的な流れを辿って見ると、むしろスイスとハプスブルク家の関係は思っている以上に複雑であり、単に「宿敵」や「ライバル」という言葉だけでは片付けられません。また、ハプスブルク家は別名「オーストリア家」(Haus Österreich)とも呼ばれていることからオーストリアの貴族というイメージが強いのですが、実は出身がスイスであるという事実をご存知でしたか?

つまり、ハプスブルク家とスイスの衝突は敵対する国同士による紛争というよりも一種の内戦であったと言えます。エリザベート皇后(Elisabeth von Österreich)を始め、個性豊かなキャラクターを多数輩出してきたハプスブルク家は日本でも認知度が高いので、その背景についても詳しく調べられた人も少なくないことかと考えますが、同家が元々スイスと深い関係にある一族であることを知らない方も多いため、今回はハプスブルク家とスイスの繋がりについてのお話しをさせていただきます。

 

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“奇跡”が必要なオーストリアのサッカー

ヨーロッパのサッカー大国といえば、真っ先に思い浮かべるのはドイツ、イタリア、スぺインでしょうか?有名なサッカーネーションとして、オーストリアを挙げる人は滅多にいないと思います。でもでも、オーストリアは間違いなくサッカーの国なんです!冬はスキー、夏はサッカーです。日本の子供たちが公園でキャッチボールをするように、オーストリアではサッカーをします。オーストリアはEM (Europameisterschaft = UEFA欧州選手権)やWM (Weltmeisterschaft = FIFAワールドカップ)などの大きな選手権の本大会にはなかなか進めません。しかし、最近では、1年延期されて2021年に開催されたUEFA欧州選手権の2020年大会で、オーストリアのナショナルチームが初めてグループステージを突破しノックアウトステージまで進出しました。

今回は100年以上もの歴史があるのに、なぜかいつも奇跡が必要になるオーストリアのサッカー事情についてお話ししたいと思います。まずはオーストリアサッカー史上、おそらく一番有名な試合からご紹介しましょう。

 

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